「8Kスーパーハイビジョンシアター」体験レポート8K映像の立体感・精細感は想像以上
ただし一般家庭で効果を発揮できるのか!?

 5月31日から6月2日まで幕張メッセ(千葉県)で開催された「第4回ライブ・エンターテイメントEXPO」に出向きました。お目当てはNHKブース。300インチスクリーンの「8Kスーパーハイビジョンシアター」を体験するためです。

 4Kの4倍もの超高精細映像(3300万画素)を、4台の最新型4Kレーザープロジェクターを駆使して再現。音響も22.2チャンネルの三次元サラウンドということで、これまでに体験したことのない未知の映像世界です。コンテンツは昨年の紅白歌合戦、和太鼓のライブ映像、そして昨年のリオデジャネイロ五輪などからダイジェストしたものでした。

 そして結論からいえば、300インチの大迫力はもちろんですが、その高精細な映像は想像以上にリアル。以前、どこかの雑誌で「肉眼で見ている映像に近い精細感・立体感」との解説を読みましたが、そんなイメージであることは確かでした。これだけの大スクリーンで、これだけのリアルな映像を見られるということに、素直に驚かされました。

 これまでの8Kシアターは85インチの液晶モニターが主流でしたが、それとの比較で今回のスクリーンは明るさが10倍以上。その差が、映像のリアル感の差としてダイレクトに現れているようです。

 しかも、音響がすごい。特にオリンピックの映像では、スタジアムの観客の歓声に包み込まれてしまうような臨場感。ひとたび得点シーンともなると、その場であがる一際大きな歓声が、本当にダイレクトに伝わってくる印象です。

8K映像は一般家庭向けなのか

 本当にリアルな映像ワールドに打ちのめされてしまったのですが、その一方で8Kには以前から素朴な疑問を感じていました。それは一般家庭のテレビ・システムで、これだけの精細感やリアル感、音響がどこまで再現できるのだろうか、ということです。

 今回のような300インチスクリーンともなると、世界の超富裕層以外にはまず無縁の映像システムですし、これが100インチに小型化されたとしても一般向けとはいえません。その一方で、「8Kは最低でも100インチの画面がなければ無意味」というような論評を読むことが少なくありません。そうだとすれば8K放送・8K映像とは、一体誰をターゲットにしたものなのでしょうか。

 そうした疑問を解決すべく、NHKメディア企画室専任部長の清藤寧(せいとう・やすし)氏に話をうかがいました。清藤部長によれば、NHKでは2018年12月からBSで4K/8K放送の専門チャンネルをスタート。同じタイミングで民放キー局も、既存BSチャンネル内で4K番組の放送を開始するとのことでした。

 そして、放送開始にあわせて複数のメーカーが2018年秋のニューモデルとして、BS4K/8Kチューナーを内蔵した8Kテレビの発売を開始する予定とのこと。さらには同チューナーを内蔵したBDレコーダーやセット・トップ・ボックスなどの発売も開始し、既存4K対応テレビのユーザーにも4K放送を試聴可能にする環境を提供する予定とのことでした。

 発売開始される8Kテレビの画面サイズですが、日本市場では「55~65インチが主流になるだろう」とのこと。メーカーによってはそれ以上の大画面もラインアップすることになるのでしょうが、主力モデルのサイズはあくまで現状通りというわけです。そこで気になっていた疑問を率直にぶつけてみました。

 ―― 8K映像は100インチ以上の超大画面でないとよさが発揮できない、という声が少なくありません。55インチ程度では、4Kとの画質の差が分からないのでは?」
 清藤部長「55インチでも十分にその差をお楽しみいただけます。確かに迫力には欠けるかもしれませんが、映像の質感や立体感が4Kとは明らかに異なります。より肉眼に近い高画質をお楽しみいただけます」

 ―― 画素の密度の違いが、映像の質感の違いとして現れるということですか。
 清藤「そうです。私は13インチの8Kタブレットでも8Kコンテンツを視聴しましたが、画面が小さくなるとその分、画像がクリアで濃厚になり、存在感のある映像が再現されます。小さな画面でも“8K映像には力がある”と私は思っています」

 ―― 音響はいかがでしょう。22.2chは本当に素晴らしいのですが、一般家庭向きとは思えません。
 清藤「確かに22.2chの再現は家庭では簡単ではないでしょう。これについては、例えばサウンドバーを上下左右に配置するなどして擬似的に再現できるシステムを、メーカーさんが開発中と聞いています。またサウンドのデータは22.2ch以外にも5.1chと2chをのせますので、既存のシステムでも十分に高音質をお楽しみいただけます」

 ということで8K映像は55インチ程度でも十分に威力を発揮するとのことでしたが、いかがだったでしょうか。あとは来年秋に実際に発売されてから、自らの目で確かめる以外にないということでしょう。最後に清藤部長は「8Kではテレビ放送以外にも、新たな映像提案を積極化したい」と語っていました。

 その一つが今回のような公の場に設置する「ライブ・ビューイング」とのこと。イベント会場などに特設シアターを設置して、超高精細動画を不特定多数で視聴するスタイルですね。他にもデジタルサイネージなどで、よりリアルなプロモーションが実現可能だとしていました。8K映像の世界が今後、どう拡大するのかは不明ですが、幾多の可能性を秘めていることは間違いないようです。(征矢野毅彦)