展示会レポート/デジタルサイネージジャパン2017広がる用途、新たな提案が続々
AIとマネキンの融合製品も

DSJ2017開催

2017年6月7日~6月9日まで幕張メッセ(千葉県)で開催された「デジタルサイネージジャパン(DSJ)2017」に足を運びました。デジタルサイネージはディスプレイやプロジェクターを使って情報を表示するイメージですが、「デジタル表示機器により様々な情報を発信するメディア」(一般社団法人のデジタルサイネージコンソーシアム)と定義されているように、その用途は多岐に渡ります。

今回の展示会でも、4Kや8K、透過型、ミラー型といったディスプレイ技術だけでなくプロジェクターや電子ペーパー、タブレットなどの幅広い映像表示機器を活用した斬新な製品が並んでいました。その中から、“これは”と思ったものを紹介したいと思います。

●賑わいを見せる展示会場。セミナーも満席になるなど関心の高さがうかがえた

先進技術採用の様々なアイデア製品

会場内で来場者の目を引いていた製品が、七彩(大阪府大阪市)の「IMP(インタラクティブ・マネキン)」です。IMPは同社が早稲田大学メディアデザイン研究所とのコラボレーションにより開発したもの。マネキン内部に小型プロジェクターを内蔵し、顔の部分に搭載した透過型スクリーン上に情報を表示するツールです。

無味乾燥な感じのマネキンですが、IMPは投写映像により喜怒哀楽を表現することができますし、広告や案内、ブランドイメージなどの映像を表示することも可能。「ブランドを重視するアパレルメーカーなどがイベントなどで採用している。注目度も高く評判も上々」(ブース担当者)とのことです。

さらに、参考展示として開発中のAIを搭載したIMP AI「おもてなしマネキン」がお披露目されていました。

おもてなしマネキンは、IMPにAI、カメラ、マイク/スピーカーなどを搭載し、人との会話を通じてインタラクティブで自然なコミュニケーションを可能とするマネキンです。「空港での各種案内役を担わせることで、利用者やスタッフをサポートするために開発した」(同前)とのこと。近未来的航空カウンターを模した展示で活用イメージを提案していました。

今後は、「アパレルを中心にショップなどでの接客用途での活用も検討していきたい」とのこと。近い将来、ショッピング時にはAI搭載マネキンと話すことになるのでしょうか。

●IMP。透過型スクリーンを搭載した顔に様々な情報を提示

パナソニックの社内ベンチャーとして創業したPDCが展示した「4Kインタラクティブダイニングテーブル」も注目を集めていました。

50/65インチのタッチパネル対応の4Kモニターを搭載したテーブルで、厚さ8mmの防水防滴ダイヤモンドコートガラス、多点認識マルチタッチ、自撮り用カメラ内蔵などを特徴としています。

多点認識マルチタッチは1000点以上とのこと。料理皿を置いた状態での複数人による同時使用にも、操作はまったく影響されないといいます。ウクライナのスティーブジョブスと呼ばれる人物が複数の動作原理を併用して実現した技術で、特許も取得しています。

画面上から注文ができるので人件費削減、広告表示による広告収入など飲食店のコスト削減や収入アップにつながりそうです。「海外では人気が高く、特に中東では高級飲食店などを中心に導入が進んでいる」(同前)とのことです。

●PDCの「4Kインタラクティブダイニングテーブル」
●PDCの「スタイリッシュサイネージ―床面設置LEDビジョン―」。画面上での動きに合わせた演出が可能で、1㎡あたり2.5tの耐荷重。写真は人が乗ると波紋が広がる

また、国内で今後の普及が見込めるツールとして、ボックス型サイネージを展示するメーカーが複数ありました。

透過型ディスプレイを搭載することでボックス内に展示した商品が見られるようにし、透明なスクリーン上に映像表示を行うデジタルサイネージです。特に、ブランド品やフィギアといったキャラクター商品などの広告用途として期待されています。

●E3が販売を手掛ける「4view Box」。4面に32インチの透過型ディスプレイを搭載
●エヴァーツリー・ジャパンの透明LCDショーケース「LUGE(リージュ)」

使い勝手も便利に

個人的に注目したのが、エレコムのコンテンツ管理システム「iSignWeb(アイサイン)」です。というのも、小さな飲食店や小売店などがデジタルサイネージの導入に踏み切れない大きな理由の1つが、コンテンツ作成が難しく面倒なこと。iSignWebは、この課題を解決してくれそうだからです。

業種や目的別に用意された1000種類を超えるテンプレート、素材を使ってコンテンツを作成でき、配信スケジュールも自由に設定できます。作成や配信設定などの操作は、すべてクラウド経由。また、管理システムだけでなく、情報表示用のタブレット端末(7/10/15/21インチから選択可能)とハード保守もセットになったデジタルサイネージのトータルソリューションとして月額費用(契約期間:1年/2年、契約期間満了後自動更新)スタイルで提供されるので、初期導入コストがかかりません。

デジタルサイネージの入門用途や、小型サイネージを簡単に活用したいといったニーズに役立ちそうです。

●エレコムのコンテンツ管理システム「iSignWeb」

また、エプソンはデジタルサイネージやPOS、組み込み端末向けのウルトラコンパクトPC「Endeavor ST」シリーズを展示していました。デジタルサイネージのコンテンツ表示では基本的にPCを必要とし、最近はスティック型PCやディスプレイ内蔵タイプなどが人気です。

しかし、リッチコンテンツなどデータ容量が大きい映像を流す場合、安定した配信環境を実現するには、スティック型などでは物足りず高スペックPCが必要となるケースがあります。ただし、一般的なPCは筐体も大きく、設置場所も制約されます。これを解決する製品が、Endevor STシリーズというわけです。

特に、ファンレス設計、ゼロスピンドルなどを実現した幅33mm×高さ150mmの「Endevor ST20E」は来場者に注目されていました。本格的なスペックを備えたコンパクトな筐体は、ディスプレイの背面に隠れるのでスマートに設置できそうです。

●エプソン「Endeavor ST20E」

街中や店内、駅、空港など、いつの間にか様々な場所でデジタルサイネージを目にするようになり、見慣れた風景となりつつありますが、2020年に向けて市場はさらに拡大していくといわれているだけに、今回の展示製品が実際にどう活用されていくのか興味深いところです。(長谷川丈一)