「DMS2017」レポート/3Dプリンターデスクトップ機は展示モデル数が激減
HP参入、新技術など話題豊富な業務機

2017年6月21日~6月23日の3日間にわたって開催された「設計・製造ソリューション展(DMS)」に足を運びました。お目当ては、最新機種やニューコンセプトモデルなどが勢揃いする3Dプリンターです。国内では、少し前の第3次ブームも下火になった感はありますが、連日賑わいを見せたようで、取材当日も来場者で会場は熱気に包まれていました。実需に直結というわけにはいかないようですが、関心の高さは相変わらずでした。

展示数が減少したデスクトップモデル

今年の大きな傾向としては、デスクトップモデルの展示が大幅に減ったことでした。昨年までは、大手メーカーからベンチャーまで、コンシューマー向けモデルも含めたデスクトップ機を並べていました。

しかし、今年はパーソナル向けやビジネス入門機としてデスクトップの分野をけん引してきた3Dシステムズの「CUBE」シリーズが生産終了となったこともあり、同社ブースもプロフェッショナル向けモデルが中心。一部、海外メーカーが税別で3万円を切るパーソナル向けモデルを展示していましたが、全体としてデスクトップ機はごくわずかでした。

こうした所にも、「一時の3Dプリンターブームは終わった」と感じとれましたし、ある意味で製造業、開発・デザイン向けの展示会として本来の姿に戻ったのではないでしょうか。

とはいえ、数少ないデスクトップ機の中でも目を引いたモデルはいくつかありました。その1つが、武藤工業が参考展示した光造形方式(*1)を採用したモデル「ML-200」です。
(*1)光硬化性樹脂に紫外線を照射して1層ずつ積層する方式

デスクトップタイプの光造形モデルは少なくありませんが、全般的に造形サイズが小さく、指輪やペンダントヘッド、小型部品などの試作用途などが中心です。同社でも最大造形サイズ48×27×80mmの「ML-48」をすでに製品化していますが、ML-200はこの数倍サイズの造形物を作成できるとのこと。「光造形ではサイズアップが難しい。ML-200は、造形速度や精細感、スペックなどについてML-48と同等ながらより大きな造形が可能」(ブース説明員)としています。

光造形は、デスクトップ機で主流の熱溶解積層方式(*2)より、高精細な造形が可能なだけに、ML-200は注目です。販売開始は2017年秋ごろを予定しているそうです。
(*2)熱可塑性樹脂を溶かしながら、細いノズルで押し出して1層ずつ積層する方式

また、武藤工業は熱溶解積層方式のデスクトップモデル「MF-2500EP」も展示。300度までの高温対応可能なヘッドを搭載しており、強度に優れ耐熱性が高いエンジニアリングプラスチックの溶解温度といわれる250~300度での造形にも耐え得るので、業務用途に存分に使えると注目を集めていました。

●熱溶解(FDM)方式3Dプリンターの「MF-2500EP」
●MF-2500EPの出力サンプル。大きな造形サイズが特徴

業務向け大型モデルの最新動向

一方、業務向けは百花繚乱と形容できるほど、様々な方式、材質などを組み合わせたモデルが展示されていました。以前、メーカー取材時に担当者が語っていた「3Dプリンターは少量多品種のカスタイマイズ製品。造形方式や材料、必要なアプリケーションなどは業種により様々で、ユーザーニーズに適した製品を提供していくことが欠かせない」という言葉を思い出しました。

その中、注目されたのが米ヒューレット・パッカード(HP)ブース。同社は2014年10月に独自の3Dプリンター技術「Multi Jet Fusion」を発表。このMulti Jet Fusion技術を搭載した業務向けモデル「HP Jet Fusion 3D」シリーズを2016年に発表しており、これが2017年後半から日本での販売が本格化します。

Multi Jet Fusion技術は簡単にいえば、HPが得意とするインクジェット技術をベースにした方式で、「市場に流通する最速モデルよりも10倍高速、コスト半減」との触れ込み。高精度、フルカラー化、マルチ素材対応などを特徴としています。

●会場に展示されたHPの業務向けモデル「HP Jet Fusion 3D」シリーズ

目新しさでは、米Stratasysの「Continuous Build 3D Demonstrator」でしょうか。小型3Dプリンター(セル)を3台積み重ねてユニット化。各セルはクラウドを介してソフトウエアにより管理し、造形物は自動排出されるため、様々な部品を手作業なしに連続して造形できるシステムです。ユニットの増設により造形できる生産能力を拡張でき、つなげられるユニット数に制限はないとのことです。

オペレーターレスで連続造形が可能なこともそうですが、増設により生産能力を拡張できるという点はユニークではないでしょうか。各セルで同じ部品を造形することも、異なる部品を造形することも可能とのこと。

例えば、1つのセルに不具合が発生した場合、別のセルに切り替えて造形を継続するといったことも可能(同じ材料をセットしてあることが必要)など、リスクヘッジにも有効だそうです。サポート材の除去などは手作業で行うことが必要ですが、将来的には「機能拡張などにより自動化したい」(ブース説明員)とのこと。製造現場の新しいプラットフォームとして、興味深い製品ではないでしょうか。

同システムは、2017年5月に発表され、アジアではDMS2017が初のお披露目となりました。実機は、これまでの業務用モデルとは異にする外観で、一見するとまるで自動販売機のようなイメージでした。

●Stratasysの「Continuous Build 3D Demonstrator」はアジア初登場

今回の展示会を契機に、日本初上陸したのがドイツのベルリンに本社を構えるBigRep社の大型3Dプリンター「BigRep One」です。

サイズ1㎥超(1005×1005×1005mm)の大型造形に対応し、大型部品の原寸大プロトタイプを作ることが可能。造形方式には、熱溶解積層方式が採用されています。ドイツでは高級車や家具メーカー、鉄道会社、建築会社、設計会社などの他にも、芸術家やデザイナーなどに採用されるなど、幅広い導入実績があるとのことです。

●BigRep社の大型3Dプリンター「BigRep ONE v3」

米国の3DシステムズやStratasysが先行している業務向け3Dプリンターですが、新たにHPや日本のリコーなど大手プリンターメーカーが参入を本格化させています。海外メーカーの日本進出も相変わらずで、群雄割拠する業務向け市場は競争が激しくなりそうです。(長谷川丈一)