知ってトクする「年金講座」基礎の基礎第2章:年金制度の基本
2階建て年金とは?(第14回)

 今回から、第2章「年金制度の基本」である。まず、よくいわれる「2階建て年金」という言葉から入ろう。

 「2階建て年金」とは、サラリーマンの年金を示す言葉だ。サラリーマンが年金受給者になると、報酬比例の年金である「厚生年金」と、定額年金である「基礎年金」の二種類の年金を受給する。この性格が異なる二種類の年金を「2階建て年金」という。

 サラリーマンは厚生年金に加入するが、同時に国民年金に加入していることになっており、厚生年金の加入に対して支給される年金を「厚生年金」といい、国民年金の加入に対して支給される年金を「基礎年金」という。

 一方、自営業者は国民年金だけに加入するから、支給される年金は「基礎年金」のみである。「基礎年金」だけだから「1階建て年金」という。また、サラリーマンの妻(被扶養配偶者)は、保険料を払う必要はないが「第3号被保険者」という名称の国民年金加入者になる。支給される年金はやはり、国民年金加入に対して支給される「基礎年金」のみで、こちらも「1階建て年金」である。

 現在の日本の年金制度は、年金加入者はすべて国民年金加入者になる。サラリーマンは厚生年金に加入し、保険料は厚生年金の保険料を支払うだけだから、国民年金にも加入しているという認識はないかもしれないが、年金制度上、厚生年金加入者は国民年金の「第2号被保険者」と位置付けられている。

 つまり、厚生年金加入者は、国民年金における「第2号被保険者」であり、厚生年金と国民年金の両方に加入しているということだ。

「専業主婦」「自営業者」の年金

 「第2号被保険者=厚生年金加入者」の被扶養配偶者が国民年金の「第3号被保険者」だ。第3号被保険者は、20歳から60歳までという年齢の要件が付く。そして、残りが(国民年金の)「第1号被保険者」である。分かりやすく説明するために、自営業者等ということが多いが、法律上は、「国内に居住する20歳以上60歳未満の第2号被保険者、第3号被保険者以外の者」とされている。

 実際には自営業者に限らず、例えば失業すると、厚生年金から脱退するので「第1号被保険者」となり、20歳以上の学生も「第1号被保険者」になる。「第1号被保険者」とは、第2号、第3号以外のいわば「その他全員」である。

 この「第1号被保険者」が、一般的には「国民年金加入者」と認識されているが、年金制度上は、すべての年金加入者が国民年金加入者なのである。その中でも「第1号被保険者」は、年金制度が国民年金、厚生年金、共済年金に分かれていた時代の国民年金の加入者がそのまま新しい年金制度に移行したものなので、現在でも「第1号被保険者」といわれるよりも、単に「国民年金加入者」といわれることが多い。

 年金給付の形は、年金の適用(どういう人がどういう加入者になるか)の形と連動している。その中で、「2階建て年金」になるのは「第2号被保険者=厚生年金加入者=サラリーマン(公務員含む)」だけなのだが、日本ではサラリーマンの割合が高い(約8割)ので、年金の説明において、「2階建て年金」という言葉が良く使われるのである。

 なお、国民年金対応の年金が「基礎年金」と名付けられたのは、「基礎年金」がすべての年金加入者に支給される「基礎的」な年金だからである。

渋谷康雄(しぶや やすお)
社会保険労務士 / 昭和32年生まれ。社会保険労務士。明治大学卒業。平成13年「渋谷社会保険労務士事務所」開業。平成18年「特定社会保険労務士資格」取得。得意分野は公的年金・65歳までの継続雇用制度構築・高齢者賃金設計・就業規則・個別労働関係紛争の相談等(年金、社会保険、労働法に関する分野)等。他に講演やセミナー講師、テレビコメンテーターなどとしても活躍。主な著書に「60歳からの年金・健保・雇用保険・税金の判断基準」(平成25年三訂版、日本法令)、「ケース別サラリーマン夫婦の年金がわかる本」(平成26年、日本法令)がある。
URL: http://yasuo-shibuya.main.jp/