NEC PCとキュレーションズがIoT基盤「plusbenlly」公開横断的なIoT機器やサービスの連携実現
50超の企業・団体がパートナーとして参画

「業界の壁を越え、あらゆる企業や団体、ユーザーを結び付けるプラットホームをIoTで実現する」。こう語ったのは、NECパーソナルコンピュータ(以下、NEC PC)の代表取締役執行役員社長の留目真伸氏。NEC PCは、アプリやWeb開発を手がけるキュレーションズと共同で、IoTオープンイノベーションプラットホーム「plusbenlly(プラスベンリー)」の立ち上げを発表しました。2017年7月19日から試作(ベータ)版を一般公開(*1)しており、正式版を2017年中にリリースするとしています。
(*1)ベータ版の利用は無償だが商用利用は不可

新たなIoTサービスを創出

plusbenllyは、法人向けのクラウド上バックエンドサービスです。IoT家電やウエアラブルデバイス、SNSといったインターネットサービスなどの相互接続を実現し、自由に組み合わせる機能を提供。複雑な機器間の接続やデータ交換などは、あらかじめplusbenllyに装備されているので、同サービスを利用する企業はIoT機器とインターネットサービスを簡単に連携させることが可能です。

現時点(2017年7月19日)で接続可能な機器やサービスは、フィリップスのIoT照明「Hue」やFitbitの活動量計、Facebook、OneDriveなど25社35種類。今後も拡大していく方向としています。

これにより、利用企業などはplusbenllyを経由して異なるメーカー間のIoT機器を組み合わせて新サービスを提供したり、収集データを組み合わせて自社サービスの利用者に有益な情報を提供したりといったことが実現できます。

都内で開催された発表会に登壇した留目氏は、plusbenllyを開発した狙いについて、以下のように語っています。

「IoTというと、様々な機器をスマホやタブレットで操作したり、サプライチェーンを効率化したりといった活用が中心だが、それだけではIoTが存分にいかされているといはいえない。すべてがネットにつながり新サービスや新ビジネスが創出され、ユーザー課題が解決されることがIoTに求められるべきことであり、これを妨げているのは各業界がサービスや製品の開発を垂直型ビジネスとして展開していること。plusbenllyによりIoT機器や企業同士を自由に結びつけることで、新たなデバイスが連携し新たなデータの使われ方が生まれ、新しいビジネスやサービスが創出されるという流れを実現させたい」。

●NECパーソナルコンピュータの代表取締役執行役員社長の留目真伸氏

IoT機器の自由な接続をフックに業界の垣根を越えた企業同士の横断的な連携を促進。これまでにない新たなサービスやビジネスを創出するプラットホームとしてplusbenllyを位置づけているわけです。

plusbenllyが提供するのは、サービス事業者のIoT機器の接続機能とデバイスなどと紐づいた情報の管理など。ユーザーデータの収集や利用はせず、データはあくまでもサービスを展開する事業者が所有することとなり、plusbenllyはプラットホーム上のデータ流通の利用料を得るとのことです。

●plusbenllyの全体像

様々なパートナー企業が参画

すでに50社を超える企業や団体がデバイス接続やテクノロジー提供、システム利用などのパートナーとしてplusbenllyに参画しているとのこと(2017年7月19日現在)。

例えば、大和リビングマネジメントと東京電力パワーグリッドは、今年の8月から3カ月にわたり、plusbenllyを活用した共同実証実験に取り組むことを発表しました。plusbenllyで収集される温度や湿度データ、および東京電力パワーグリッドが収集した電力データなどを分析し、賃貸住宅における家電製品の効率的な制御や生活の快適性向上を目指すとしています。

また、記者発表会にはNEC PCとキュレーションズの他、オムロンやオイシックスドット大地などのパートナー企業も登壇。plusbenllyに接続する機器やサービス面で協力するコネクティッドパートナーであるオムロンは以下のように語っています。

「plusbenlly経由で当社の機器が収集したセンシングデータが自由に活用され、まったく新しいサービスが構成されることを期待している。例えば、年配者の血圧が上がりやすい冬の朝に、患者の血圧データと室内の温度データから医者が適正な室温環境を調べ、起床前にエアコンの暖房を自動で稼動させるといった利用が考えられる。自宅内の様々なセンサーが横断的に使われるようになれば、サービスの幅も広がる」(オムロン 技術・知財本部 SDTM推進室長の竹林一氏)

●記者発表会の登壇パートナー企業によるパネルディスカッションも開催。IoTプラットホーム「plusbenlly」への期待に口を揃えた

plusbenllyの興味深いところは、様々なIoT機器を接続できるプラットホームもさることながら、“横断的なユーザーデータの流通”にあるのではないでしょうか。「Tポイント」や「ポンタ」などの異なる店舗やサービスで利用できるポイントカードを通じて、幅広いユーザーデータの収集や共有は進んでいますが、NEC PCの留目氏が指摘するように現状は垂直型のデータ活用がほとんどです。

これが、plusbenllyという仕組みを通じて幅広いデータが流通し相互利用されるようになれば、新ビジネスや新サービス、あるいはこれまで解決できなかった課題に対するソリューションなどが登場する可能性に期待が高まります。

プライバシー保護などの個人情報の問題もありますが、2017年5月の改正個人情報保護法で規定された「匿名加工情報」により、収集データをビッグデータとして活用しやすい環境が整備されました。

現段階では、plusbenllyにパートナー企業が意識的に連携するような仕組みは用意されておらず、「要望があれば利用企業へのコンサルティングやパートナーのマッチングサービスに対応する」といった状況ですが、今後は「積極的な連携を促す仕組みの構築なども含めてオープンイノベーションのプラットホームとしてplusbenllyを拡大していきたい」としています。(長谷川丈一)