ミニプロジェクター/「新商品」レポートPCレス投写、Wi-Fi、輝度70lm、etc.
実用段階に入ったミニプロジェクター

キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)が、小型・軽量の「ミニプロジェクター」シリーズの最新モデル「M-i1」を発表しました。バッテリー内蔵でモバイル利用に適しており、外出先でのちょっとしたプレゼンテーションやオープンスペースでの会議、工事現場など様々なビジネスから、アウトドアや自宅などのプライベートまで幅広いシーンで手軽に活用できる機種として位置づけています。

PCレス投写が可能な超小型機

筐体は、W105×D105×H22mm/重さ235gの手のひらサイズ。ビジネスバッグなどに入れ常に携行して気軽に活用できることはもちろん、その大きな特徴はPC、スマートフォンやタブレット端末などを使うことなく投写が可能なことです。

内蔵メモリーに保存したデータだけでなく、プレゼン資料などを保存したUSBメモリーを接続して本体上部のタッチパッドを操作してデータを呼び出してダイレクトに投写できます。一般的なビジネスプロジェクターではほぼ標準化されている機能ですが、超小型のミニプロジェクターでは珍しい機能ではないでしょうか。

Wi-Fi機能を搭載し無線接続に対応しているので、スマートフォンやタブレット端末、PCからのワイヤレス投写が可能です。さらに、Android OSを搭載し、本機にインストールした各種アプリケーションソフト(以下、アプリ)を使うこともできます。また、キヤノンのデジカメ向け無償アプリ「Camera Connect」を介して、カメラ内のメモリーカードに記録された画像データを本機に転送して、その場で投写できます。撮影画像を、大きな画面で自由に共有できるので、新たな写真の楽しみ方を広げてくれそうです。

内蔵バッテリーにより駆動時間は最長2時間。USB経由による充電に対応しています。輝度は70lmですが、光源に色再現性に優れるLED方式を採用すると共に、高いコントラストが特徴のDLP方式が映像デバイスとして搭載されているので、実際の投写画面はスペック以上に明るく感じられます。

●キヤノンMJが発表した「M-i1」。シルバーで統一された筐体デザインもスタイリッシュ
項目 スペック
映像素子 DMD×1枚
有効画素 WVGA(854×480)
最大入力解像度 フルHD(1920×1080)
ズーム 固定
投写距離 0.5 m(14型)~3m(84型)
光源 LED光源(寿命目安:1万時間)
輝度(Center/ANSIルーメン) 70lm(センター)/50lm
コントラスト比 800:1
接続端子 映像入力USB2.0/音声入力Bluetooth4.0/音声出力ステレオミニジャック×1
無線通信 対応規格IEEE802.11 a/b/g/n
内蔵スピーカー 3W(モノラル)
バッテリー駆動 最長2時間
本体サイズ/質量 W105×D105×H22mm/約235g

高まる「ミニプロジェクター」への注目度

今回、キヤノンMJが発表したミニプロジェクターは、最近になって注目を集めはじめたカテゴリーです。同社では「高解像度製品や高輝度モデルが普及する一方、スマートフォンやタブレットの普及に加え、通信環境の高速化に伴い、小型・軽量サイズで外出先でも手軽に投写可能なモバイル用途の市場が見込まれている」と分析しています。民間の市場分析企業による調査でも、「ワールドワイドで2016年から2022年にかけて、年十数パーセントの成長率で拡大する」と見られています。

そもそもミニプロジェクターとは、一般的に小型といわれるモバイルタイプの製品よりも、さらに小型軽量で気軽に持ち運びができるプロジェクターのこと。サイズ的には、手のひらサイズのイメージです。ピコ・プロジェクターともいわれますが、この場合は携帯型電子機器に搭載できる小型の投写型ディスプレイ技術も含めた超小型プロジェクターの総称として使われていることが多く、特に単体製品のことをミニプロジェクターと呼ぶ傾向があるようです。

製品は、以前から存在していました。光源にLEDを採用したモデルが2006年に発売されましたが、性能も価格も実用的といえるレベルではありませんでした。以降、2008年には米国の3M社や台湾メーカーなどが電池駆動式のミニプロジェクターを製品化。さらに、ピコ・プロジェクターの技術を活用し、韓国のSamsungはプロジェクター内蔵の携帯電話を、ニコンはプロジェクター機能を搭載したコンパクトカメラ「COOLPIX S1000pj」を、いずれも2009年2月に製品化しています。

当時、そこそこ話題になったことを覚えていますが、売り上げが大きく伸びるといった製品ではありませんでした。その後も、ミニプロジェクターはいくつか製品化されてきましたが、輝度が高いモデルでも明るさは十数lm程度。それでいながら価格は3万円台後半と表示性能と価格のバランスの悪さが課題とされていました。

それが、ここ数年で表示性能や機能が向上したモデルが続々と登場しています。例えば、キヤノンMJを例に挙げると、2015年に輝度50lmの「C-5」、さらに2016年2月には輝度100lmで多彩な無線LAN接続を実現した「C-10W」を発売しています。今回の「M-i1」は、それに続くモデルというわけです。

●画像はキヤノンMJの「C-10W」。「M-i1」発売後も継続して販売される

M-i1は前述したような多彩な機能を備えながら、想定価格は税別2万9800円(参考価格:キヤノンオンラインショップの販売予定価格)。C-10Wが発売開始当初は4万円台後半だっただけに、コストパフォーマンスは高そうです。

ミニプロジェクターは、一般的なプロジェクターと同じようの使い方は難しいですが、少人数の打ち合わせでの資料共有や、常に携行しておいて緊急時の情報提示、省スペースでの簡単なサイネージ環境の実現などアイデア次第で様々な用途に使うことが可能です。今後のさらなる性能や機能進化と共に、その活用をイメージしてみるのも楽しい製品ではないでしょうか。(長谷川丈一)