世界初の量産8K対応TV“AQUOS 8K”「LC-70X500」来年12月の8K本放送に向けて一番乗り
想定価格「約100万円」は高いか、安いか!?

 8月30日、シャープは世界で初めて8K対応液晶テレビの発売を発表しました。新製品“AQUOS 8K”「LC-70X500」は70インチで、画素数は7680×4320の約3300万画素。日本では2017年12月1日からの発売開始を予定しており、価格は100万円前後(税別)とのことです。

 100万円という設定は、思ったよりは高くないとの印象を持ちましたが、いかがでしょうか。というのもこれまでは、新しいフォーマットの大型テレビというと、300万円ぐらいからのスタートだったように記憶しているからです。それとの比較でいえば、AQUOS 8Kはかなり現実的な価格でのスタートといえるのではないでしょうか?

 今、テレビ市場の高付加価値ゾーンでは、4K有機ELテレビが急速に起ち上がってきており、この年末商戦でも台風の目となりそうです。しかしながら有機ELをラインアップしていないシャープとしては8Kを早期に商品化し、しかも戦略的なプライシングとすることで、明確な対抗軸として打ち出したかったのではないかと推測します。

 シャープは2020年度までに60インチ、65インチ、75インチ、80インチの8Kテレビを順次商品化し、60インチ以上のAQUOSについては、その半数を8Kに置き換えるとしています。

4K・8K対応チューナーは別売り

 では、その8Kテレビで何を見るの? という話になりますが、現状では2Kコンテンツや4Kコンテンツ(ネット配信、ブルーレイ)を、8K解像度にアップコンバートしたものを視聴することになります。

 NHKは今現在も4K・8K番組の試験放送を行っていますが、これを見られるのは全国のNHK放送局(及びNHK関連施設)のみ。AQUOS 8Kで8K放送を見るためには、2018年12月開始予定の4K・8K本放送まで待たなくてはなりません(図参照)。

 2018年12月に4K・8K本放送が開始されて初めて、AQUOS 8Kをはじめとした、各社の既存4Kテレビの実力が発揮されることになります。

 ただし、本放送を視聴するためには、4K・8K放送対応受信機(セットトップボックス、レコーダー等)の別途購入が必要です。価格等の詳細は現段階では未発表ですが、これらのプライシングがどう設定されるのかが、8K放送の普及速度の鍵を握っているといえそうです。裏を返せばセットトップボックスが多少高くても、8Kコンテンツにそれを上回るだけの魅力があるかどうか、でしょう。

 8Kコンテンツの一番の魅力について、シャープでは「実物が目の前にあるようなリアルな臨場感」をあげています。確かにこの6月、NHKの「8Kスーパーハイビジョンシアター」を取材・レポートしましたが、その臨場感・リアル感は既存の4Kコンテンツとは明らかに異質でした。“実物が目の前にある”との表現は決してオーバーではないと思います。

 ただし、この時に体感した臨場感は高精細画像のみならず、凄まじい迫力の音響による相乗効果も大きかったはず。8Kコンテンツの音声は22.2chサラウンドになっており、これをフルに再生して高精細画像と合体させることによって、あの臨場感が生まれたのだと思います。

 それと同じ音響効果を、家庭用テレビにのぞむことには無理があり、AQUOS 8Kにしても、搭載スピーカーはフルレンジ×2、サブウーハー×1で、最大出力は35W。本体だけでは2chの音声データを再生することになります。

 となると8K本来の魅力は、8K音響をホームシアターシステム等でどこまで補えるか、ということになります。この点について6月のNHKシアターで取材したところ、「メーカー各社は8Kテレビの開発と並行して、8K音響を家庭で可能な限り再生可能なサウンドバーなどを開発中。2018年の秋頃までには発表するだろう」とのことでした。これが、どのレベルまでの完成度に達するのかでも、8Kコンテンツの魅力は大きく違って来るように思われます。

 ホームシアターについては、今回のシャープの発表会では特に言及されませんでしたが、8Kの開発・普及に最も力を入れているメーカーだけに、音響再生装置にも抜かりはないことと思われます。

 いずれにしても来年末からの8K放送をフルに満喫するためには、8K対応テレビの購入だけでは不十分。セットトップボックス、ホームシアターなどを組み合わせてはじめて本領発揮となります。ユーザーにそれだけの出費を強いてもなお満足されるような、そんな世界を築けるか!?  いよいよ8Kの魅力が問われることになります。(征矢野毅彦)