特殊詐欺被害の撲滅へ! ソフトバンク、トビラシステムズ、愛知県警がタッグ愛知県警が迷惑電話番号情報を提供
ソフトバンクは機能拡張で対策強化

2017年9月4日――ソフトバンクとインターネット関連サービスを提供しているトビラシステムズ、愛知県警察本部はソフトバンク本社において、国内の携帯電話から届く迷惑メール対策として、実際に犯行に使われた迷惑電話番号データベース(DB)の共有と活用に関する覚書を締結。協力体制を構築することにより、架空請求や不当請求などによる特殊詐欺(*1)被害の撲滅に乗り出しました。全国で初の試みとのことです。
(*1)面識のない不特定者に対して、電話やメールなどの通信手段により預貯金口座への振込やその他の方法で、現金などをだまし取る詐欺のこと

増加する架空請求詐欺

金銭をだまし取ろうとする架空請求や法外なサイト利用料を要求する不当請求といった迷惑メールはかなり以前から問題とされていますが、その被害件数は一向に減らないそうです。全国規模で見た場合、2017年の特殊詐欺被害の認知件数は1万325件(7月末時点)。その内訳は、オレオレ詐欺が4408件、架空請求詐欺が3162件、還付金等詐欺が2200件といずれも前年同期から増加しており、この3つで特殊詐欺被害の約94%を占めているとのこと。特に、架空請求詐欺被害の増加割合が大きくなっています。

さらに、架空請求詐欺の中でも、「有料サイトの利用料未払い」を名目にしたものが圧倒的に多く、2017年は7月末時点で全国の発生数は2007件。前年の918件から約2.2倍と急増。2016年は年間で1857件であったことから、今年は7月末の段階ですでに前年を上回る勢いで増えているわけです。

こうした状況は愛知県内も同じとのこと。「オレオレ詐欺や融資保証詐欺などの特殊詐欺被害は減少傾向にあるにも関わらず、架空請求詐欺だけが増加している」と愛知県警本部の梶浦哲哉刑事部参事官兼生活安全部参事官。「その多くが有料サイト名目であり、被害のきっかけ(だましの手口)はショートメッセージなどによる迷惑メールが8割以上」といいます。

金銭さく取の方法としては、未納利用分を電子マネーにより支払うよう促す手口が多いことから、愛知県警察ではコンビニに経由などで注意啓発したものの、被害はなかなか減らなかったとのこと。そこで、「もっと根本的なところでメールが届いた段階で詐欺をシャットアウトできないだろうか」との発想が、ソフトバンクやトビラシステムズの考え方と合致したことから、今回の締結に至りました。

●ソフトバンク本社において行われた調印式の模様。愛知県警察本部の梶浦哲哉刑事部参事官兼生活安全部参事官(右)、ソフトバンクのプロダクト&マーケティング統括モバイル事業推進本部の近藤貴幸副本部長(中央)、トビラシステムズ株式会社の明田篤代表取締役(左)

「迷惑電話ブロック」サービスの機能を拡張

3組織による協力体制は以下の通りです。愛知県警本部が犯行に使用された電話番号情報を提供し、それをトビラシステムズがデータベース化。そのデータを基に、ソフトバンクは従来の「迷惑電話ブロック」サービスの機能を拡張して迷惑メールを阻止するというイメージです。

もともとソフトバンクは、2015年12月から通話向け有料機能として「迷惑電話ブロック」サービスを提供。同サービスでは、トビラシステムズが収集した不審な電話番号のデータベースを基に、迷惑電話と思われる番号を自動で判別し、発着信時に警告表示や自動ブロックを行っています。

●「迷惑電話ブロック」サービスは、怪しい電話からの着信に対する警告表示やNTTハローページの情報をベースとした相手先自動表示などによるリスク回避機能

今回の覚書締結に伴い、ソフトバンクは「迷惑電話ブロック」の機能を拡張することにより、迷惑メール対策に取り組みます。愛知県警が提供する電話番号のデータベースを使って不審な電話番号からのメールを自動で検知し、受信時に迷惑メールとして振り分けたり、注意を喚起する警告やアイコンを表示したりといった機能を追加。2017年9月下旬以降に提供を開始するとしています。

●従来の迷惑電話ブロックに、怪しいメールもブロックする機能を追加する
●拡張される迷惑メール対策機能のサービスイメージ

ソフトバンクのプロダクト&マーケティング統括モバイル事業推進本部の近藤貴幸副本部長は、従来の迷惑電話ブロックサービスについて「2015年12月のサービス開始から、これまでに検知した迷惑電話は50万件を超え、同サービス利用者の3人に1人が迷惑電話から着信を受けている」との実績に触れ、データベースに基づく対策には「一定の効果があると考えている」と、迷惑メール対策機能にも期待を寄せています。

愛知県警本部は、すでに80件の番号情報を提供。今後、「週1回は更新していきたい」とし、「最終的には架空請求による被害をゼロにしていきたい」(梶浦参事官)と意気込みを語っています。

また、今回の取り組みにより、「どれくらいの迷惑メールをブロックできたのか」を効果検証するとのこと。期間は「迷惑電話ブロック」サービスの機能強化版の提供が開始される9月下旬以降から2018年3月31日まで。結果については「2018年4月以降に公表する」とのこと。

データベースの構築を担うトビラシステムズの明田篤代表取締役は、「当社の本社が愛知県にあることと、固定電話向けの迷惑電話番号データベース構築時の実証実験で最初に情報提供を受けた背景から、愛知県警との連携が取り組みやすく、それが愛知県警との連携からまずはスタートした理由」といい、「情報が多いほど精度も向上するので特殊詐欺被害の撲滅に向け、他の県警にも呼び掛けていきたい」としています。

詐欺は、「自分は絶対にだまされない」と思っていても、そういう人ほど意外と被害に遭ってしまうものです。人的限界を支援する面からも、こうしたシステムによる対策は欠かせないのではないでしょうか。効果検証の結果に期待したいところです。(長谷川丈一)