商品研究商品研究2 プロジェクター

概要

自由度の高い設置性&低コスト導入
デジタルサイネージで注目度アップ

  • 輝度3000lm以上が標準スペックの最新プロジェクター
  • 会議や打ち合わせ以外にデジタルサイネージの用途で高まる注目度
  • 利点は、床や天井に投写できる柔軟性、映像表現の自由度の高さ
  • 低コストで導入でき、会議用途などと兼用し幅広く活用可能

 データプロジェクターのビジネス用途といえば、会議や打ち合わせ、プレゼンテーションなどにおける資料の共有が一般的だろう。だが、それだけではもったいない。

 というのも、プロジェクターの高輝度化、小型化、長寿命光源や単焦点モデルなどの登場により、単に大画面に資料を映し出すためのツールではなくなってきているからだ。

 会議やプレゼンテーション以外の用途といえば、以前から、飲食店が集客を目的に映像コンテンツを大画面で流したり、小売店がショーウインドウで商品を宣伝したりといった使い方は知られていたが、ハイスペックな高輝度モデルを必要とするなど、どちらかといえば特殊用途だった。

 これが、今ではエントリー機やベーシッククラスでも、輝度は3000lm以上が標準スペックであり、映像を効果的に投写する機能なども進化している。これにより、日常的に会議などで使っているモデルを、気軽に情報発信ツールとして活用できるようになったわけだ。

デジタルサイネージで注目

 その中でも、特に注目を集めているのがプロジェクターをベースとしたデジタルサイネージであり、プロジェクションサイネージなどとも呼ばれている。

 デジタルサイネージは、「2020年に向けた社会全体のICT化アクションプラン」(総務省)で重要ツールと位置付けられており、その発展拡大が後押しされている。実際、商業施設や駅構内、店頭、公共空間など様々な場所で急速に普及が進む。

 それだけに、デジタルサイネージといえば液晶ディスプレイなどによる電子広告のイメージが強いのではないだろうか。

 だが、「デジタル表示機器により様々な情報を発信するメディアを総称してデジタルサイネージと呼んでいる」(一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム)と定義されており、大型ビジョンやタブレットからプロジェクターまで、様々な機器による情報提示がデジタルサイネージだ。

 これらのツールの中で、プロジェクターが注目されている理由は「設置場所や画面サイズに柔軟性がある」「周囲の環境に溶け込む演出が可能である」といった、他の機器の弱みを補う利点を持つことである。

 表1は、デジタルサイネージの用途を類型化したもの。もちろん、どの分野においてもプロジェクターを使うことは可能だが、その利点を最大限にいかせるのは「広告/PR」や「空間演出(アンビエント)」での用途だ。以下、詳細を見ていこう。

■表1 デジタルサイネージの用途分類

用途 概要
広告/PR 屋内外の電照広告や紙ベースの掲示広告をデジタル映像表示機器により置き換えたもの。駅構内や電車内、商業施設などで目にする機会が増えている
販促 店内POPなどにデジタル映像機器を活用したもの
インフォメーション 単純に情報を分かりやすく伝えることを目的としたもの。駅や空港の発着案内など、デジタルサイネージとしては最も初期的な用途といえる
接客支援 ホテル、飲食店や小売店などでスタッフが提供する情報を、デジタル映像端末に置き換えたもの。サービス向上や人件費削減などを目的とする
空間演出 アンビエント。主に場の雰囲気を作ることを目的としたもの。プロジェクションマッピングなどが好例である
空間情報共有 オフィスサイネージとも呼ばれる。メールやグループウエアなどのように機器を操作することなく、社員やスタッフに情報を伝え共有することを目的としたもの

高い設置の自由度

 まず広告/PRとは、屋内外の電照広告や紙の掲示広告をデジタル機器による方法へと置き換えたもの。デジタルサイネージとして最も代表的なものだけに目にする機会も多く、そのほとんどにディスプレイが使われている。

 その理由は外光に強いこと。明るい場所でも、しっかりと映像情報を視認させることが可能だ。デメリットは画面に占有されてしまうため設置場所が限定されることや、複数のディスプレイを組み合わせた場合にフレームの継ぎ目が気になり臨場感が損なわれることなどが挙げられる。

 これに対して、プロジェクターは設置場所の制約が少ないことがメリットだ。床や天井といったディスプレイを設置しにくい場所にも映像を投写することが可能。しかも、画面サイズも投写可能な範囲内で自由に調整できる。

 また、ショーウインドウにディスプレイを設置するとガラス面がふさがれるため、店内が外から見えにくくなる。映像の表示中はよいだろうが、オフにした場合は機器だけが強調され外観を損なうこともある。

 透過型スクリーンをガラス面に貼り、店内から外に向かってリア投写できるプロジェクターなら、店舗の雰囲気を損なうこともない。

 ディスプレイにも高耐久で床に埋め込むことのできるタイプや、透過型モデルなどが登場しているが、導入コストは高い。この点、プロジェクターは導入コストを抑えられることに加え、サイネージとして不要になった場合でも会議などの他用途に転用できることも利点といえるだろう。

 一方、空間演出(アンビエント)は場の雰囲気を作り出すもの。話題のプロジェクションマッピングなどは、その好例だ。立体物に映像を映し出す技術だけに、使われる機器としては基本的にプロジェクターが唯一無二の選択肢となる。

 アンビエントでは、アパレル関連のメガブティックなどが大型ディスプレイを店舗エントランスや壁面などに敷き詰めてイメージ訴求の映像を流している例もあるが、中小店舗などが同じことするのは難しい。

 だが、プロジェクターを使った小規模な空間演出なら十分に実現可能であり、それなりの効果も期待できるだろう。

 どのプロジェクター機でも、デジタルサイネージ用途に使うことはできる。とはいえ、より効果的な活用にはチェックしておきたい性能や機能もある。主なポイントを表2にまとめておいたので参考にしてほしい。

 プロジェクターは、アイデア次第で様々な情報発信ツールとして活用できる。最新モデルを導入してもよいし、出番の少ない機種を会議室から持ち出してもよい──適材適所でディスプレイと併用しながらうまく使い、話題のデジタルサイネージ環境づくりにトライしてはいかがだろうか。