パワコン世界トップ「SMA」からの新提案スーパー過積載の太陽光設備で
日中の総発電量が“劇的”アップ!!

買取単価減は発電量増でカバー

 FIT(固定価格買取制度)における太陽光発電の電力買取価格が下がっている。2017年度は1kWh当たり21円+税(10kW以上2MW未満)と、FITがスタートした2012年度のほぼ半額。この状況に市場では「事業としての旨みが減少した」との悲観論がすう勢である。

 だが、SMAジャパンのセールスダイレクター豊原秀彦氏は「買取単価がダウンしても、発電量を大幅にアップすれば、買取総額を高めることができる」と語る。

 SMAはドイツを拠点とし、グローバルに展開するPCS(パワーコンディショナ)メーカー。その優れた品質や手厚いサポート等により世界トップシェアを維持。日本でも急速にユーザーを増やしている。

 そんな同社がこの秋、新製品として販売を開始したPCSが「Sunny Tripower 60」(STP60)である。出力60kW、最大効率98.8%のミドルクラス機で、主に高圧発電所(50kW以上2MW未満)や特別高圧発電所(2MW以上)の分散型設備をターゲットとしている。

 STP60が何よりも優れていることは、豊原氏が語ったように買取総額を高めるために、当初から「過積載を前提とした設計」がなされていることだ。その主なポイントをまとめると、次の2点である。

  1. 太陽光パネルの最大積載量:90kW
  2. STP60用インバータマネージャー「IM-20」の新機能「Export Limitation(合計出力制御)」の搭載

 この2点が過積載の効用を最大限に引き出す重要なポイントだが、これらを解説する前に、まず過積載の意味やその有効性などについて振り返ってみよう。

出力60kW、最大効率98.8%のミドルクラス機
SMA SunnyTripower 60

「Export Limitation(合計出力制御)」の搭載
SMA IM-20

太陽光発電の過積載とは!?

 太陽光発電における過積載とは、太陽光発電パネルの合計出力を、PCSの合計出力よりも大幅に増やしたシステムのこと。これにより1日の総発電量を増加させようという考え方だ。一般的にはPCS出力の、10〜20%増となるような枚数の太陽光パネルを設置するケースが多い。

 その効用を表しているのが図である。まず従来型の場合、昼間の発電ピーク時にPCSの出力が最大となるように設計されており、PCS出力と同程度の出力となる枚数の太陽光パネルが設置される。

 太陽光発電設備は基本的に、パネルがPCSの出力を超えて発電した場合、PCSがパネルの発電量を制限し、出力を超えないように発電を制御する仕組みになっている(これを「ピークカット」と呼ぶ)。

 ピークカットされた電力はすべて無駄になるため、従来の設計では無駄を出さないよう、ピークカットを起こすかどうかのぎりぎりのレベルに出力を設定することで、最も効率よく発電する設備を実現している。

 ただし、1日の中で発電がピークに達する時間は長くはなく、従来型では1日の大半は最大出力を大幅に下回る発電しか期待できなかった。

 そこで出てきた考え方が過積載である。パネルの出力をアップすれば、発電量は増加する。だがPCSの制御によるピークカットの発生頻度も高まる。その分、無駄に捨てられる電力が増加することになり、ピーク時間帯だけでいえば「非効率なシステム」といえる。

 だが、1日トータルの時間帯で設備を見た場合、評価はまったく異なってくる。図のように過積載設備は、従来型に比べて昼間にピークカットされる発電量は増えているが、日射量が少ない朝夕の発電量も底上げされ、発電総量は大きく高まる。

 しかも過積載では入力電圧がアップするため、朝はPCSの起動時間が早まり、夕方はPCS停止までの時間が延長される。1日のトータル稼働時間が延長することになり、これによる発電量の増大効果も期待できる。

 また、図には表されていないが、曇りや薄日など日射量を多く見込めない日の発電量も、従来型よりは高まる。つまり過積載とは、発電ロスの増加以上に、日中トータルでの発電量を大幅にアップさせて、売電収入を高めようという考え方である。

進化したSMAの過積載提案

 SMAのSTP60による過積載提案は、この考え方をさらに進化させたものといえる。

 今までの過積載は単に「太陽光パネルの設置枚数を増やす」という考え方に過ぎず、その分、PCSへの負荷が増大。ともすればトラブルの要因となるリスクも否定できなかった。

 このため最大過積載率は120%程度のPCSが多く、中には過積載非対応、過積載した場合にはメーカー保証外となるものも少なくなかった。
 しかしSTP60は開発段階から過積載を念頭に設計されており、最大過積載率は150%を実現。出力60kWでありながら、最大で90kWまでの太陽光発電パネルに対応できる。

 これは接続箱機能をはずして外付けとしたり、複数回路が主流になっているMPPTを1回路として回路密度を低減することなどにより、内部構造をシンプル化して高い冷却性能を確保したことによるもの。

 しかも新機能「Export Limitation(合計出力制御)」の搭載により、過積載による発電量の最大化とPCSへの負荷低減という二律背反なメリットを同時に達成している。

 その要因は、内部構造のシンプル化にともない、PCSの各種制御を本体ではなく、付属するインバータマネージャー「IM-20」で行うからである。IM-20の制御によりSTP60はPCS一台当たりの最大出力を60kWまでの範囲内で、任意に設定することが可能なのである。

 例えば10台設置したSTP60の総出力を600kWではなく、300kWと設定し、300kW設備としてFIT認定を受けることが可能である。

 この場合でも最大過積載率150%を活かして、太陽光発電パネルは900kWまで設置可能となる。つまり設備としては出力300kWだが、太陽光パネルは900kWとなり、過積載率300%の“スーパー過積載”が実現するわけである。

スーパー過積載のメリット

 では、“スーパー過積載”の具体的なメリットを見てみよう。例えば66台のSTP60を用い、総出力を1.98MW(1台当たりの平均出力30kW×66台)に設定した高圧設備を考えてみよう。

 この場合、設置可能な太陽光パネルの総出力は5.94MW(1.98MW×300%)だ。つまり2MW未満の高圧設備として設備申請しつつ、発電能力は特別高圧並みの6MW近い設備となる。1.98MWを超える発電電力はピークカットされるが、ピーク時間帯以外の発電量大幅アップが実現する。

 豊原氏によれは「条件にもより一概にはいえないが、日の出から日の入りまでの連続ピーク発電も、決して不可能ではないだろう」とのこと。少なくともこれまでの2MW設備とは、比較にならないレベルの総発電量が期待できるようだ。

 「PCSの設置台数増により、イニシャルコストは上がる。だが総発電量の大幅アップで、そのコストを十分に賄うことが可能」(豊原氏)。

 ここで見逃せないのは300%もの過積載を行いながら、1台当たりのPCS平均出力は、本来の能力である60kWの半分(30kW)に抑えていることだ。PCSに過剰な負荷がかからず、信頼性や耐久性等を損なうリスクが極めて小さいことである。

 しかもIM-20は、STP60個々の出力を30kWに制御するのではなく、全体の発電量を基にして、個別に出力を指示している。例えば雲による日陰の影響で出力が上がらないSTP60があった場合、別のSTP60に出力アップを指示する。極論すれば仮に6台が故障しても、残りの60台で総出力1.98MWに近づくような制御を行う。PCS分散設置のメリットを最大限に活かし、安定した発電が可能なのである。

 これに加え、STP60の発売に合わせてSMAでは新サービス「安心安全パッケージ」をスタートした。これは従来の機器センドバック保証に加えて、故障時に設置現場での機器交換サービスを最長20年間保証するもの。しかも落雷や火災などの災害補償も付帯している(20年間)。

 SMAは機器としての優れた信頼性や先進性に加えて、こうした手厚いサービスを打ち出していることが、世界トップシェアを保ち続けている大きな要因なのである。