熱交換器を自動洗浄「日立New白クマくん」空気中の水分を本体内部で急速冷凍
汚れを氷で包み込んで流す「凍結洗浄」

 家電業界のこの時期は、エアコン新製品の発表会ラッシュ。先日も三菱電機のニューモデルをレポートしましたが、今回は日立の新型エアコン「ステンレスクリーン 白クマくん“Xシリーズ”」です。その最大の特徴は、エアコン室内機の新たな洗浄技術「凍結洗浄」を搭載したことです。

 エアコンのお掃除機能の中でもフィルターの自動掃除は、今や定番といえる機能。どこのメーカーのものでも中位クラス以上のモデルであれば、搭載が当たり前になってきています。

 ところが清潔さの観点からいえば、フィルター掃除だけだけでは不十分。各社の既存モデルは従来、“熱交換器”が、十分に洗浄しきれていなかったからです。熱交換器は室内機の中でも汚れが不着しやすく、かつ洗浄度合いが運転効率の良否に直結しやすいパーツ。

 日立の調査によれば、エアコン内部の汚れ量の割合は、1位「フィルター:56%」、2位「通風路:24%」、そして3位が熱交換器で、その量は12%とのこと。1位と2位の自動洗浄技術はほぼ確立されていますが、「熱交換の自動洗浄は技術者にとって残された大きな課題だった」(日立)というわけです。

 実際、熱交換器は本体内部にレイアウトされているため、素人では掃除がしにくいという難点も抱えており、その自動洗浄機能はぜひとも必要な技術だったといえるでしょう。

水分不足の欠点を「冷凍」してカバー

 そこで今回、満を持して登場したのが「凍結洗浄」というわけです。これを簡単に説明すると、熱交換器を急速冷凍し、空気中の水分を凍らせて交換器に付着させ、汚れを氷で包み込んでから一気に解凍して洗い流すという仕組みです。その主な流れをフローで表すとこうなります。

1.急速冷却して熱交換器に大量の氷(霜)を付着(約20分)。
2.汚れ(ホコリ、カビ、油分等)を氷で包み込む。
3.解凍して水に戻し、汚れとともに洗い流す(3~5分)。
4.乾燥(約40分)
5.イオンを内部に放出して除菌(約1時間)

 ( )内は各工程に要する基本的な所要時間で、このプロセスを、内部の汚れ度合いをエアコンが判断しながら、必要に応じて自動で行います。この機能が作動するのは原則として、エアコンの運転が停止され、かつ室内に誰もいなくなった状態をエアコンが感知したとき。それ以外でも、任意の日時設定も可能です。

 エアコンの熱交換器洗浄機について実は、各社とも既存モデルで簡易的なものを搭載しています。熱交換器のアルミファンにはもともと水が付着しやすい特殊なコーディングが施されており、そこに、除湿や冷房で発生した水(結露)を付着させ、汚れを洗い流すという仕組みです。その意味で熱交換器洗浄はまったくの野放し状態だったわけではない「のですが、この方式には3つの欠点がありました。

1.洗い流す水の量が少ない。
2.暖房時には水ができず作動しない。
3.粘着性のある油汚れなどは洗浄しにくい。

 「水が足りないのであれば凍らせればいいとの発想が、凍結洗浄技術の原点だった」とのこと。結露に頼らず、急速冷却で大量の水分を用いることにより、「冷房・除湿・暖房のすべてのシーズンで作動できる」「汚れを包み込んだ氷よりも、包み込んでいない周囲の氷の方が早く溶けるため、包み込んだ氷は汚れを包み込んだまま下へ滑り落ち、油分などを確実に洗浄できる」などと、従来型の欠点をクリアできたわけです。

 理屈だけを聞けば「なるほど」と思いますし「もっと早く実現できなかったの?」とも思うわけですが、実際の商品化となると簡単ではないのでしょう。その意味で日立の技術力は大したものだと思いますし、国内家電メーカーの、潜在能力の高さを実感せずにはいられません。

 前回レポートした三菱電機は快適さの追求を主眼にしたエアコン新技術を発表しましたが、それとは全く異なる視点で新技術を開発し、新商品として発表した日立。同じ商品カテゴリーでありながら、異なる視点での付加価値追求という流れは、エアコンに限らず今後の家電業界で、広く浸透するものと思われます。(征矢野毅彦)

日立の新型白クマくん「RAS-X40H2」