北米向け音声対話デバイスを発表/東芝アマゾン「アレクサ」搭載端末を
2017年末から300ドル未満で発売へ

 東芝がAI&音声技術を搭載した北米向けスマートスピーカー「TH-GW10」を発表しました。スマートスピーカーと書きましたが、正確には「スマートスピーカー」と「ホームゲートウェイ」、そして「セキュリティIoTデバイス」の3つの機能を合体させた、“音声対話デバイス”と呼称するデバイスです。

一般的なスマートスピーカーとの違いは?

 いわゆるスマートスピーカーとは何が違うのかというと、東芝によれば「一般的なスマートスピーカーの機能は“知る”“聞く”まで。それ以外のことをやるためには、関連するデバイスなどを別途購入しなければならない。TH-GW10は知る・聞く以外にも多くの機能を持っており、1台で完結する要素が非常に多い」とのこと。

 確かに一般的なスマートスピーカーの場合、現状ではネットを通して好きな音楽を再生したり、ニュースや株価などの情報を入手したりという使い方がメイン。しかしながらTH-GW10は、それ以外の多くの機能を持っています。

 例えば本体にはモーションセンサー付きカメラを内蔵しており、設置した部屋のリアルタイム映像を遠隔からスマホで監視できるセキュリティ機能があります。また北米で普及している家庭用スマートロック(玄関の鍵)を音声で開閉する機能や、照明やエアコンをオン・オフする機能など。

 個人的に注目したのは音声認識のプラットホームとして「アマゾン・アレクサ」を採用していること。アレクサについては今年のCESでその存在を知り、それ以降、かなり気になるテクノロジーとしてウォッチしてきました。

 その際のレポートでもお伝えしたように、アレクサを採用しているメーカーはLGエレクトロニクス、ワールプール、ファーウェイ、レノボ、そしてフォードなど多士済々。彼らのプロトタイプモデルが広大なCES 2017展示場の至る所で披露されており、その広がり方の規模と早さに圧倒されました。ただし、日本メーカーには採用モデルがなく、今後、どう推移するのかが興味深いと思っていたところです。

 音声認識プラットホームとしてのアレクサが、技術的に他のプラットホームと比較して、どのレベルにあるのかは、正直分からないのですが、それよりもアマゾンが展開している他のサービス(Eコマースや音楽・映像配信等)とどう連携し、どんな新しいベネフィットをもたらすのかに興味があります。

 CES2017では、LGがアレクサ搭載冷蔵庫で、料理しながらの声によるレシピ呼び出しや食材の注文などを提案し、フォードは車中からの家電制御や、運転しながらの声による買い物などを提案していました。これらにどの程度のニーズがあるのかはまだ分かりませんが、ボイス・インターフェースの可能性はかなり大きいように感じますし、実際に「やってみたい」とも思いました。

 東芝が発表したTH-GW10は単なるスマートスピーカーではなく、こうしたボイス・インターフェースの可能性を広げてくれるデバイスであることは確かでしょう。北米では2017年12月に発売を開始する予定で、現在、大手家電量販店数社と商談中とのこと。価格は200~300ドルの間とのことなので、買いやすいものになりそうです。

 そこで気になる日本での発売ですが、TH-GW10の日本語版というのはまったくの未定。日本では音声技術を搭載したまったく異なるデバイスとなる可能性も大きいとのことでした。しかも音声認識プラットホームに何を採用するのかも未定、とのこと。個人的には日本語版アレクサの搭載を期待していただけに、かなり拍子抜けしました。

 いろいろと話を聞いてみると、北米ではTH-GW10はB2C商品として発売されますが、日本での音声認識デバイスはB2B2C商品が先行するとのこと。スマートフォンのように東芝はキャリアに端末を収め、キャリアが自社ブランドでユーザーに供給するスタイルですね。そして、そこで採用する音声認識プラットホームも、キャリアに相当する企業の意向に沿うものになるようです。

 音声認識プラットホームはアマゾン以外にもグーグルやマイクロソフト、そして東芝(リカイアス)などが群雄割拠しており、「日本市場では複数のプラットホームを展開する可能性も大きい」とのこと。北米ではアレクサ1本ですが、これはすでに北米市場ではアマゾンエコー(アレクサ搭載のスマートスピーカー)が圧倒的なシェアを持っており、ユーザーの使い勝手を考慮した結果だそうです。

 日本では音声認識デバイス市場が、まだ起ち上がっていないに等しく、現段階でどこか1社との連携を深めるのはリスキーとの判断があるのかも知れません。東芝では「2018年中に国内で、何らかの音声認識デバイスを発売開始する予定」と話しています。どんな製品に、どんなプラットホームが採用されるのでしょうか。注目したいと思います。(征矢野毅彦)