ビジネスプロジェクター/「新商品」レポートレーザー光源搭載したビジネス機を投入
空間演出や教育など新領域でシェア拡大へ

セイコーエプソンとエプソン販売が、光源にレーザー方式を採用したビジネス向けプロジェクター全8機種(明るい常設モデル5機種/超短焦点壁掛け対応モデル3機種)を2017年11月から順次発売すると発表しました。

新製品の注目ポイント

●ビジネス向けに投入したレーザー光源搭載プロジェクターの新製品
明るい常設モデル EB-L1755U EB-L1750U EB-L1505UH EB-L1500UH EB-L1000U
明るさ 15000lm 15000lm 12000lm 12000lm 5000lm
解像度 WUXGA WUXGA WUXGA WUXGA WUXGA
光源 レーザーダイオード レーザーダイオード レーザーダイオード レーザーダイオード レーザーダイオード
コントラスト
※ダイナミックコントラストON
250万:1 250万:1 250万:1 250万:1 250万:1
重量
※レンズ含まず
22.3kg 22.3kg 21.9kg 21.9kg 19.0kg
超短焦点モデル EB-1470UT EB-710UT EB-700U
機能 ホワイトボード機能 電子黒板機能 ――
明るさ 4000lm 4000lm 4000lm
解像度 WUXGA WUXGA WUXGA
光源 レーザーダイオード レーザーダイオード レーザーダイオード
コントラスト
※ダイナミックコントラストON
250万:1 250万:1 250万:1
重量 11.4kg 11.2kg 11.0kg

新製品は、いずれも光源にレーザーダイオードが採用されており、さらに無機素材を使用した蛍光体やLCDパネルと組み合わせることで、約2万時間のメンテナンスフリーが実現されています。仮に1日8時間で365日フル稼働させたとして、約7年間はランプ交換などメンテナンスの手間が削減される計算になります。休日やエコモードの利用などを加味すれば、実質10年近くは使い倒せるのではないでしょうか。

教育と常設高輝度の分野で積極展開

都内で開催された新製品発表会には、セイコーエプソンのビジュアルプロダクツ事業部の小川恭範事業部長が登壇。「2016年にエプソンとして初めてレーザー光源搭載モデルを発表。2017年はラインアップの拡充により、新たな価値を提供していく」と語りました。

さらに、エプソン販売からは販売推進本部長の小川浩司取締役が出席し、「国内プロジェクター市場において、エプソンは22年連続シェアトップ。2016年は同シェア61.9%(*1)を占める。これは、国内約50モデルとラインアップが充実していること、開発から製造まで垂直統合によりニーズに適したモデルをタイムリーに市場投入していることが理由」といい、「新モデルは成長領域である教育分野や常設高輝度分野向けニーズを意識しており、エプソンの市場シェア拡大に貢献すると期待している」と述べています。
(*1)出展:富士キメラ総研「プロジェクター市場の徹底分析調査(2017年版)」

●エプソンがターゲットとするプロジェクター市場領域の2020年市場規模予測(富士キメラ総研「プロジェクター市場の徹底分析調査(2017年版)」)

実際、同社が成長領域として掲げた分野である教育と常設高輝度での用途は今後の市場拡大が見込まれています。例えば、文部科学省が2016年に公表している「教育の情報化加速プラン」に基づき、学校現場では様々なICT化が加速しています。

電子黒板もその1つで、数年前に総務省「フューチャースクール推進事業」や文部科学省「学びのイノベーション事業」などを背景に、学校現場では電子黒板用途などとして60インチ前後を中心に大型ディスプレイの学校現場への導入が進みました。しかし、「60インチでは後方の席からは見えにくい」との声が多く、エプソンの独自調査でも同事実が明らかになったとのこと。

また、プロジェクタータイプの電子黒板を導入した現場からも、「3000lm程度では日照状態によっては見えにくい」「ランプ交換の手間が負担である」「起動が遅い」といった不満が寄せられていました。

こうした背景から、新規導入はもちろんリプレイスも含めた需要が大きく期待できると判断。レーザー光源採用により長寿命光源や高速起動を実現すると共に、インタラクティブ機能や電子黒板機能を搭載した高輝度タイプの超短焦点モデルを投入したというわけです。

●教育分野だけでなく、オフィス会議での導入も期待される超短焦点壁掛け対応モデル「EB-1470UT」シリーズ

空間演出&デジタルサイネージ

また、常設高輝度領域における成長分野の筆頭は空間演出やデジタルサイネージでしょう。エプソンも同分野での積極展開を掲げています。本誌SHANIMUの60号「商品研究2 プロジェクター」でも解説したように、空間演出やデジタルサイネージでは「プロジェクションサイネージ」ともよばれ、プロジェクターが注目を集めています。

店舗内での演出や小規模なデジタルサイネージ、短期間のビジュアル投写などは3000lm前後の水銀ランプ搭載プロジェクターでも十分に可能ですが、明所などで常設投映するような用途では、やはり高輝度でランプ交換の負担が少ないレーザー光源タイプが利便性に優れることはいうまでもありません。さらにスペース的な制約がある場合、焦点距離が短いことも機種の選択要件となってきます。

こうしたポイントを踏まえた新製品が、明るい常設モデル「EB-L1750U」シリーズといえます。1万5000lmの高輝度ながら、同等用途が想定されていた同社従来機から明るさで50%、筐体サイズで30%も削減されています。電源は100Vで駆動するとのことですから、設置場所の自由度が高く、様々な場所での空間演出に活用できるのではないでしょうか。

●明るい常設モデル「EB-L1750U」シリーズ

豊富なオプションレンズも用意されており、その1つに超短焦点ゼロオフセットレンズ「ELPLX02」があります。プロジェクターでは本体位置と投写面のズレをオフセットといいますが、同レンズの装着によりオフセットを埋めて超短焦点時でも壁面全体への投写が可能となります。

オフィスエントランスをリニューアル

エプソンでは、同社の長期ビジョン「Epson 25」の中でビジュアルイノベーションを掲げており、この世界観を具現化するために自社のオフィスエントランス(JR新宿ミライナタワー29階)をリニューアル。新製品の発表会に合わせて、新エントランスの見学会も開催されました。同社レーザー光源プロジェクターを駆使して、壁はもちろん、天井や床まで360度プロジェクションマッピングによる空間演出を実現し、新たな映像体験の場を提供しています。

映像コンテンツの第一弾は「Nature(自然)」をテーマに、緑や川面、雲の流れ、動物などの映像が刻々と変化。今後は定期的にコンテンツを変更していくといいます。

●リニューアルされたエプソンのオフィスエントランス
●天井は超短焦点ゼロオフセットレンズを用いた3台のプロジェクターで雲の流れが再現されている

これまで半導体光源を搭載したモデルをビジネス向けに展開してきたメーカーは一部でしたが、シェアトップのエプソンが本格的にレーザー光源搭載モデルのラインアップを拡充したことで、半導体光源モデルも賑わうのではないでしょうか。「ビジネス向けスタンダードクラスへのレーザー光源搭載は市場ニーズを見ながら進めていく」とのこと。その動向にも注目しておきたいところです。(長谷川丈一)