デジタルカメラ/新商品「PowerShot G1 X MarkⅢ」レポート小型ボディにAPS-Cセンサーを搭載
ミラーレス機並みの画質と性能に期待

先日、とても気になるデジタルカメラの新製品が発表されました。キヤノンの「PowerShot G1 X MarkⅢ」です(2017年11月下旬発売予定)。カテゴリー的にはコンパクトカメラの高級タイプ(高級コンデジ)に分類されるモデルですが、その性能や筐体、使用感などは従来の高級コンデジの枠を飛び出したともいえそうです。今回は、この新モデルをレポートします。

APS-CサイズCMOSセンサーを初搭載

PowerShot G1 X MarkⅢは、2014年3月に発売された「G1 X MarkⅡ」の後継機に相当します。アップグレードされた主なスペックは下記の表にまとめた通りです。

●キヤノン「PowerShot G1 X MarkⅢ」。想定価格は税込13万7700円(キヤノンオンラインショップ)
モデル名 PowerShot G1 X MarkⅢ PowerShot G1 X MarkⅡ
センサーサイズ APS-Cサイズ 1.5型
有効画素数(アスペクト比3:2) 2420万画素 1280万画素
映像エンジン DIGIC7 DIGIC6
ISO感度 100~25600 100~12800
連写速度 最高約9コマ/秒 最高約5.2コマ/秒
内蔵EVF ×
重さ 399g 516g

最も大きく進化したポイントは、イメージセンサーにキヤノンのコンパクトカメラとして初となるAPS-CサイズのCMOSセンサーを搭載したことでしょう。従来機の1.5型(約18.7×12.5mm)から、APS-Cサイズ(約22.3×14.9mm)にセンサーが大型化したことにより、描写性能は格段に向上します。

APS-Cサイズはレンズ交換式のデジタル一眼レフやミラーレス機にも採用されているもので、それがわずか399gのコンパクトカメラに搭載されたインパクトは大きいのではないでしょうか。しかも、同社の最新映像エンジンDIGIC7を採用するなど、スペック的には同社のハイエンドミラーレス機「EOS M5」に匹敵する高い性能が実現されています。

●アクセサリーが充実しており、幅広いシーンで活用することもできそうだ

個人的には、ファインダー派なので内蔵EVF(電子ビューファインダー)はうれしい限りですし、液晶モニターのタッチ操作もかなり利便性は高いはずです。また、操作性が同社デジタル一眼やミラーレス機のEOSに近いスタイルに変更されているようで、キヤノンユーザーであればスムーズに使いこなせるのではないでしょうか。

唯一、不満があるとすれば、焦点距離とF値です。前モデルが24mm~120mm(35ミリ版換算)であったのに対し、G1 X MarkⅢは24mm~70mm(同前)とズーム倍率がスペックダウンしています。とはいえ、考えてみれば仕事やプライベートで普段使いしているミラーレス機に装着しているレンズも、ほぼ同じ焦点域のもの。物足りなさを感じることはあっても、困ったということはないので、個人的には不便というわけではありません。

ただし、開放F値については広角(W)側がF2.8/望遠(T)側がF5.6と非常に物足りなさを感じます。前モデルのF2.0(W)-F3.9(T)とスペックダウンしているだけに、なお更です。

それでも、これだけの高スペックと高性能を手のひらサイズの軽量ボディで実現している点は画期的ではないでしょうか。新製品の特徴や詳細スペックなどは、こちらを参照してください。

コンデジの概念を変革!?

周知のように、コンパクトカメラの国内市場は約10年前をピークに急速に縮小しています。2010年から2016年までは毎年のように数十%規模でシュリンクし、2016年は約223万7000台(CIPA統計、出荷ベース)。ピーク時の5分の1程度にまで減少しました。

大きな要因は、ご存じの通りスマートフォンの普及とそのカメラ性能の高性能化です。これにより、一部の特殊機能を持つモデル以外、一般的なコンパクトカメラの需要は激減しました。

また、性能を追求した高級コンデジとよばれるカテゴリーが新たに登場し多少なりともコンパクトカメラ市場も盛り上がりましたが、中途半端感は否めませんでした。本格的な写真表現を求めるユーザー向けに画質や機能を追求しているとはいえ、要はレンズ一体型のコンパクトカメラです。やはり、突き詰めればミラーレス機はやエントリークラスのデジタル一眼レフにも性能面で譲りますし、価格も10万円前後とコンパクトとして考えると安くはありません。

個人的には、コンパクトカメラにまったく興味がなく、購入もしませでしたし、今後も買わないだろうと思っていました。しかし、PowerShot G1 X MarkⅢの発表は、その考え方を変えるきっかけとなりました。

本格的に作品を撮ろうとなれば、やはりミドルクラス以上のデジタル一眼レフを使いますが、日常的には持ち運びが楽なミラーレスタイプがメイン機として活躍しています。デジタル一眼レフよりは携帯しやすいとはいえ、本体とレンズはカバンの中でそれなりにかさばります。特に、レンズを装着した状態では場所を取るため、移動時などはレンズを外して収納するため機動性にも欠けます。

これに対して、PowerShot G1 X MarkⅢはミラーレス機とそん色ない性能を持ちながらミラーレス機以上に小型軽量。しかも、コンパクトカメラなのでレンズが沈胴式なので収納時も邪魔になりません。レンズ交換ができないため使える焦点距離は限定されてしまいますが、最も一般的に使われる基本的な広角から標準域までの焦点距離をカバーしています。

今後、ますますミラーレス機が隆盛を極めるものと思っていました。しかし、キヤノンのPowerShot G1 X MarkⅢのような機種が増え、さらに進化することで新たなカテゴリーが生まれる可能性もあるのではないでしょうか。いずれにしても、発売後に市場でどう評価されるのか期待したいところです。(長谷川丈一)