電源別置型LED非常灯を発売/パナソニックようやく追いついた!? LED非常灯の法整備

 今回は多くの人にとって身近な存在ながら、ほとんどの人が気にしたことがないであろう「非常用照明」の話です。パナソニックが、2018年2月1日から“業界初”の「LED非常用照明器具 電源別置型」の販売を開始すると発表しました。

 この記事を目にしたときに、実は「あれ?」っと思ったのです。

 というのもLED照明の導入事例記事取材などで、確かに数年前までは非常用照明だけは蛍光灯や白熱電球が残されていたのですが、最近では非常用も含めてすべての照明をLED化しているケースがほとんどだからです。

 にもかかわらずパナソニックが“業界初”をうたっているのはどういうことなのだろうと。いい機会だと思い、非常用照明についていろいろと調べてみました。

 まず非常用照明の定義ですが、「電池を用いて停電時でも一定時間の照度を確保できる照明」のこと。照明内部には電池が収納されており、電源供給が絶たれても自動で給電され、火災などに際して避難するための明るさを確保できる照明です。これは建築基準法によって設置基準が定められています。

 そして非常用照明器具の構造についても同法によって定められているわけですが、それが2014年以降、二度にわたって改正されており、そのことが話をややこしくしていたわけです。これを時系列で整理しましょう。

 ●2014年10月まで:非常用照明の光源は「白熱電球」と「蛍光灯」に限定。
 ●2014年11月から:「国土交通大臣認定」(※1)を取得すれば電池内蔵型LED照明に限って非常用照明器具に利用可能。
 ●2017年6月から:電源別置型LED照明も非常用照明器具に利用可能。

 パナソニックが来年2月に発売開始するLED非常用照明器具の“業界初”とは、2017年6月の改正を受けてのもの。そして自分が過去の取材で目にしてきたLED非常用照明は、2014年11月の改正を受けたものだったわけです。

電源内蔵型と電源別置型の決定的な違い

 それにしても、低消費電力や優れた発光効率、長寿命といったLED照明の基本スペックは、本来であれば非常用照明で使ってこそ威力を発揮しそうなもの。ところが、その全面的な解禁は今年の6月から。「いくらなんでも、ちょっと遅いのでは」と感じたのは、私だけではないでしょう。何しろ家庭用白熱電球はすでに全メーカーが生産を中止しており、蛍光灯についても2020年までには器具の生産が中止され、それに伴って光源の生産も一気に縮小することが確実視されています。

 関係者に話を聞くと、2014年10月までの規定では、非常用照明器具の光源は「白熱電球」と「蛍光灯」に限定されていたため、LED化ができなかったとのこと。そして2014年11月以降も非常用LED照明は電池内蔵型に限られていたため、設置可能場所が限定的だったとのことです。その意味ではパナソニックの「LED非常用照明器具 電源別置型」は、業界全体としても満を持しての発売開始といえそうで、今後、各社が追随することは確実でしょう。

 電源内蔵型と別置型。どちらも停電時の給電が可能であり、大差がないように感じるかも知れません。ところが大規模施設や高天井施設などへの設置となると雲泥の差になります。

 なぜなら長寿命なLED光源と違い、電池は消耗品。平均すれば4~6年に一度は交換が必要だからです。膨大な数の非常用照明や高所に設定されている非常用照明などの電池を一つひとつ器具に近づいて交換するのでは、その作業コストだけでも大きな負担になります。しかしながら別置型であれば、電池を1カ所に集中設置することが可能になり、LED照明本来の低コスト性を十分に生かすことが可能です。

 パナソニックによれば「LED光源を採用することで従来光源である非常灯用ハロゲン電球と比べて消費電力を85%(※2)以上カットでき、蓄電池や自家発電装置などの予備電源設備に求められる容量も大幅に削減できる。予備電源設備のスペース削減に加えて、電源別置型非常灯と予備電源設備をあわせたトータルイニシャルコストを約188万円(※3)削減可能」とのこと。まずは2モデルからスタートし「今後は随時ラインアップの拡充を進める」としています。

 昨今のLED照明の進化は著しいものがありますが、そこにようやく法整備が追いついてきた、ということなのでしょう。(征矢野毅彦)

※1)火災時において停電した場合に自動的に点灯し、かつ避難するまでの間に、当該建築物の室内温度が上場した場合でも、床面において1ルクス以上の照度を確保できるものとして、国土交通大臣が認定する制度。
※2)従来器具ハロゲン電球(LB95500K)とLED器具(NNFB84665)を比較した場合。
※3)●ハロゲン電球の場合:直流電源装置FG45101(694,000円)×23台+ハロゲン電球LB95500K(12,400円)×500台 ●LED器具の場合:直流電源装置FG45101(694,000円)×4台+LED器具NNFB84665(35,000円)×500台