【CES 2018】グーグルが提唱「スマートディスプレイとは?」持ち運び使用を前提とするタブレットと異なり
基本コンセプトは「置いて&ハンズフリー」

【CES 208】ここ数年、CESではテーマを決めて、それを重点的に取材することにしています。以前はひたすら面白そうな商品や興味深いアイテムをランダムに探し求めていたのですが、それだとこの広大なCES会場では非常に効率が悪い。

 しかも、大手メディアさんが複数の記者体制で取材をしており、それにはどう頑張っても太刀打ちできないということを実感したからです。ランダムな面白商品の取材はお任せして、自分はテーマを絞ってやっていこうと。

 今回はやはり「グーグル・アシスタント」です。会場でも大通りでもそのプロモーションが破格に目立っていることもありmすが、やはりAIやIoTといった最新テクノロジーを、消費者向けに分かりやすく商品化しているアイテムの、現段階では筆頭だろうと感じているからです。その中でも今回は、日本でもすでに数多く報道されており、興味を持たれている方も多いであろう「スマートディスプレイ」に関してです。

音声認識タブレットとの違いとは!?

 CES2018会場でプロトタイプモデルを展示しているメーカーは、レノボ、LG、JBLの3社。ソニーは商品化のアナウンスこそ発していますが、プロトタイプは今回、見送りのようです。

 スマートディスプレイはグーグルが新たに提唱したIT機器カテゴリーで、一言でいえば8~10インチ程度のディスプレイと、スマートスピーカーとを合体させたもの。当然ながらグーグル・アシスタントを搭載しており、音声による操作が最大の売りです。

レノボ「スマート・ディスプレイ」(10インチモデル)

 ただし、個人的には当初、タブレット端末にグーグル・アシスタントを搭載すれば済む話ではないの? と思っていました。ところが取材を続けていく中で「スマートディスプレイと、グーグル・アシスタント搭載タブレットは基本コンセプトがまったく違う」ということを理解できました。

 例えばタブレットは携帯性を重視しており、手(あるいはカバンなど)で持ち運ぶことが大前提。ところがスマートディスプレイはハンズフリー操作を大前提としているため携帯性よりも、簡単かつしっかりと設置できることを重視。つまり両者は画面サイズこそ同様なものの、筐体はまったくの別物といえます。

 スマートディスプレイは、タブレットにスピーカーを搭載したのではなく、スマートスピーカーにディスプレイを搭載したものと考えることが正しいように思います。さらにいえばスマートディスプレイは、スマートスピーカーでは困難だった情報の表示方法を可能にしたデバイスということだと思います。音声表示だけだったスマートスピーカーに対して、文字や画像、動画などの多彩な表示方法を持たせたことで、スマートデバイスの使い勝手の幅を大きく広げたことは確かです。

 例えば目的地までの道順。音声で説明されるよりも、地図で表示されるほうが遥かに分かりやすい。同様に料理レシピにしても、音声の説明よりも動画の方が利便性が高いでしょう。

グーグルグループの全サービスから最適解を表示

 しかもスマートディスプレイの大きな特徴は、ユーザーの問いかけに対してグーグル・アシスタントが、最適な回答を提示できるグーグルサービスの中から探して表示することです。

 例えば「今日の予定は?」との問いかけには、そのユーザーのグーグルカレンダーを表示し、目的地までの道順に関する問いかけにはグーグルマップを表示するといった具合です。他にもユーチューブやグーグルデュオなどグループ内の全サービスの中から、最適な回答をグーグル・アシスタントが判断して提示してくれるわけです。

 音声対応スマートデバイスの用途を、グーグルはこのように定義づけたわけであり、そこから発生した最適なハードの形状が、音声も文字も静止画も動画も再生できるスマートディスプレイということになったのでしょう。

アマゾン・アレクサとの最大の相違点とは?

 ここまで読まれた読者の中からは、「そんなコンセプトのデバイスは、アマゾンがすでに
アレクサを搭載した“Echo Show”としては発売済みでは」との声も聞かれそうです。確かにその通りであり、スマートディスプレイが二番煎じであることは否めないでしょう。

 実際、某メーカーの担当者は「グーグル・アシスタントでもアマオン・アレクサでも、できることに大差はない」と話していました。ただし、「両者には決定的な違いがある」とも付け加えてくれました。それは“AIサプライヤー”としての基本的な姿勢・戦略の違い、とのこと。

 「グーグルはグーグル・アシスタントをメーカー各社と協業して様々なハードに提供し、新たな機器の中核テクノロジーとして普及させることを第一義にしている。しかし、アマゾンとってアレクサは、Eコマースをさらに拡大するためのツールの一つ。アマゾンがその気になりさえすれば、アレクサ搭載デバイスを無慮配布することも可能。これをやられたらメーカーは太刀打ちできない。アレクサ搭載デバイスには、こうしたリスクがついて回ることを否定できないだろう」

 この担当者が懸念するような無料配布が現実化するのかはまったくの不透明。ただ一つ言えることは、音声対応デバイスの普及は、あくまでもAIサプライヤーの戦略次第ということです。そしてグーグルは、実に多様なメーカーの多様なデバイスに、グーグル・アシスタントを供給しており、そのお披露目の場としてCES 2018をフル活用しています。次回はスマートディスプレイ以外の、実に様々なグーグル・アシスタント搭載デバイスを紹介しましょう。(征矢野毅彦)