日立が家電コンセプトを刷新! 新たな方針とは多様化するライフスタイルに対応
“コネクテッド家電”の販売を強化

日立グループで家電事業を担う日立アプライアンスは、2018年2月1日に都内でプレス発表会を開催。多様化する顧客ニーズの変化に対応することを目的とした新コンセプトを発表すると共に、その第一弾となる家電製品の発売を2月から開始するとしました。新コンセプトと新製品についてレポートします。

ひとりひとりに寄り添い、暮らしをデザインする

日立といえば、これまで家電向けコンセプトとして“省エネ”を強く訴求してきました。「日立はエコに足し算」をキャッチフレーズにメディアでコンセプト展開していたことを記憶している読者の方もいるのではないでしょうか。

今回、同社が掲げた新しいコンセプトは「ひとりひとりに寄り添い、暮らしをデザインする」というもの。従来の省エネの文字は、どこにも見当たりません。これについて、日立アプライアンスの德永俊昭取締役社長は、次のように語っています。

「人々のライフスタイルが多様化する中で、家電に求められるものも急速に変わりつつある。省エネという環境性能はこれからも当然のこととして追及していくが、コンセプトとしては今の多様化した消費スタイルには適切ではないだろう。新たな技術を駆使して付加価値の高い製品を提供していく」

●日立家電の新コンセプトと事業展開

そして、新コンセプトを具現化するために、同社がキーテクノロジーとして掲げたのがIoT(モノのインターネット)。この技術を活用した「コネクテッド家電(インターネットやスマートフォンとデータ送受信する機能を持つ家電製品)」を製品化し、販売を強化するとしました。

「基本的に家電製品は十数年と長く使うもの。その間にも子供の成長や独立などによる家族構成や生活スタイルは変わる。コネクテッド技術を搭載した家電製品なら、ソフトウエアをアップデートすることで製品の使い勝手を向上できる」と德永社長。個人的には、この点に興味を覚えました。

最近の家電製品は、ハイエンドクラスはもちろん、エントリークラスでも多機能化しています。とはいえ、実際に使う機能はほんの一部のため、場合によってはオーバースペックです。個人的にも、そう感じることはこれまでも多々あり、「家電製品も必要な機能だけカスタマイズできたら便利だろうな」と感じていました。

極論的にいえば、日立アプライアンスは、家電製品を個々のニーズに合わせてカスタマイズすることをやろうとしているのでしょう。多様化するライフスタイルには、どれほどラインアップを増やしてもすべてに対応することは難しいと思います。しかし、製品がネットにつながることでソフトウエアにより制御できる部分については、アップデートなどで機能変更や機能追加が可能となります。その時々で必要な機能を選ぶことができれば、細かなニーズや生活スタイルの変化にも対応できそうです。

德永社長は、「将来的に、用途に応じて冷蔵室と冷凍庫を切り替えられる冷蔵庫や、様々なモードをネット経由で選べる洗濯機など、コネクテッドを柱に個々の顧客に寄り添う進化する家電を実現していきたい」と、今後の展望を語りました。

●コネクテッド家電
●コネクテッド家電プラットフォーム

新コンセプトに基づく3製品を発表

東京都内で開催されたプレス向け発表会では、新コンセプトに基づく製品の第一弾として、ロボットクリーナー「minimaru(ミニマル)」とIHクッキングヒーター「火加減マイスター」を発表。また、ネット接続機能は持たないものの、同コンセプトベースの冷蔵庫「真空チルド HWシリーズ」も製品化しました。

●新コンセプトと共に発表された新製品

ロボットクリーナー「minimaru(ミニマル)」

ロボットクリーナー「minimaru(ミニマル)」は、スマートフォンにより遠隔操作できることが特徴。アプリからモードやコース選択、掃除の開始時間などを設定できるので、出かける前に設定しなくとも、外出中に操作して掃除を終わらせておくことができます。手動モードも搭載しており、自宅ではスマートフォンをリモコンとして掃除を行うことも可能。ラジコンやドローンみたいな感覚で掃除ができそうで、楽しそうです。

米アマゾンのスマートスピーカー「Amazon Echo」との連携も可能とのことで、例えば不具合発生時にAmazon Echoに原因を聞くとエラー番号を教えてくれるといった使い方ができるそうです。

●コネクテッド家電:ロボットクリーナー「minimaru(ミニマル)」

IHクッキングヒーター「火加減マイスター」

IHクッキングヒーター「火加減マイスター」も、スマートフォンを使って調理の設定が行えることが特徴。対応アプリからレシピと使うヒーターを選択して、データを送信すればレシピに合わせて火加減や調理時間を自動調整してくれます。

収録レシピ数は300種類。どの程度まで調理が進んでいるかはリアルタイムでスマートフォンに通知されるとのことです。

ネット接続とクッキングヒーターの組み合わせは最初ピンと来ませんでしたが、「今は料理本などを見ない。スマートフォンやタブレットでクックパッドを検索して料理している。料理では火加減や加熱時間の調整が難しく、ネット経由でこの部分を解決できると便利だろうと考えた」(日立アプライアンスの漆原篤彦執行役員 家電・環境機器事業部 商品戦略本部長)とのこと。

個人的にも料理はよくする方ですが、確かに火加減や加熱時はつきっきりで調整しています。これを自動調整して状況まで教えてくれるとなれば、とても便利ではないでしょうか。

●コネクテッド家電:IHクッキングヒーター

冷蔵庫「真空チルド HWシリーズ」

冷蔵庫「真空チルド HWシリーズ」は、新開発の「冷蔵室独立冷却システム」「うるおい低温冷蔵」を搭載したことが特徴です。これらの機能により、庫内の湿度低下を抑えたまま低温を保ち、鮮度を長持ちさせるとのこと。料理や総菜の風味を1週間程度は保持できるとしています。

最近、共働き世帯の増加などにより、週末などに料理をまとめて作り置きしているケースが増えています。今回の新製品は、そうしたニーズに対応するためのもの。この意味で、「ひとりひとりの暮らしに寄り添う」という新コンセプトに適っているといえるのではないでしょうか。

新コンセプトに基づく製品として、今後はコネクテッドを中核に据えると共にデザイン性にも注力していくとのこと。「これまでは残念ながら、デザインがよいから日立の家電を買うという声は聞かれなかった」と德永社長。国内外のデザイナーと組み、スタイリッシュな製品を展開するという方向性も示しています。どのような家電製品が登場するのか、楽しみにしたいところです。(長谷川丈一)