安全な「つながる世界」実現! トレンドマイクロが事業戦略発表IoT普及に向け法人・個人ともSOCに注力
国内市場でビジネスパートナーと連携強化

トレンドマイクロは、3月28日に都内でプレス向けの「2018年事業戦略発表会」を開催。同社の代表取締役兼CEOのエバ・チェン氏と取締役副社長の大三川彰彦氏が出席し、同社が取り組む重点事業について語りました。その模様をレポートします。

2018年はSOCに注力

最初に登壇したのは、エバ・チェン氏。冒頭、同社30年の歴史を振り返ると共に、「これからもトレンドマイクロのビジョンと使命は変わらない。『デジタルインフォメーションを安全に交換する世界の実現』を目指す」と語りました。

●トレンドマイクロのエバ・チェン代表取締役兼CEO

その上で、2018年の重点的な取り組みとして掲げたのが、セキュリティオペレーションセンター(以下、SOC)です。SOCは「ソック」と発音され、企業の情報システムなどに対する脅威の監視や分析を行う専門的な組織のこと。高度化するセキュリティの脅威分析には高い専門性が求められ、適切に対応するには人や時間のリソースが必要であることから、専門組織としてのSOCが設けられるようになってきました。

チェン氏がSOCに注力する要因として指摘したのが、IoT普及を背景にインターネットにつながるデバイス数が急増すること。2020年に、その数は204億にも達すると予測されている中、IoTデバイスを悪用したサイバー攻撃が増えることは確実です。

「多くのサイバー犯罪者が機械学習や暗号通過を検出回避に利用するようになるため、これまで以上に脅威予測は困難になる。さらに、IoT時代のネットワークインフラの中心は5Gであり、従来の技術では検知が難しい」(エバ・チェン氏)と指摘。このため、「つながる組織を脅かすさまざまな脅威に対抗するには、一元的な可視化と迅速な対応が可能なSOCは今後必要なセキュリティとして重要」(同前)というわけです。

SOCというと、企業内に専門組織を設けるだけに、大企業向け対策としてのイメージが強いですが、前述のようなセキュリティを取り巻く環境変化を背景に、中小企業や小規模事業者、さらにはコンシューマーなどにも欠かせないものになると強調しました。とはいえ、求められるセキュリティ製品やソリューション、レベルは企業規模や事業内容により異なるため、規模や要求に応じたさまざまな製品や支援策を提供していくとしました。

●中小企業/コンシューマーはサブスクリプション、中堅・準大手企業はSOCをアウトソース、大手企業は自社内にSOC設立。それぞれ規模別に適切な製品やソリューションを提供

例えば、中小企業や小規模事業者ではセキュリティ専用人材の確保や育成は困難。このため、「コンシューマー向けSOC」のような専門機関によるサポート体制が不可欠といい、トレンドマイクロはもちろん、ISPや通信事業者などのパートナーがサービスを提供できるソシューションを開発するとしました。

●コンシューマー向けSOC
●トレンドマイクロによる支援策

また、エバ・チェン氏は現状のSOCが抱えるさまざまな課題についても指摘しました。日々膨大なアラート通知が報告されるため、それらを監視して未知の脅威を検知することが困難なこと、個々のイベント管理が分散して連携されていないこと、レポート作成が遅く迅速な脅威への対応ができていないことなどを列挙。トレンドマイクロでは、こうした課題をAI技術の活用や複数のセキュリティレイヤーからの脅威情報の自動連携などにより支援するとしています。

●現状のSOCが抱える課題
●トレンドマイクロによるSOC課題の支援策

日本市場で注力する3つの市場

続いて登壇した大三川彰彦取締役副社長は、日本市場でのビジネス戦略について言及。「新規領域と新サービスの拡張に注力し、具体的な市場ターゲットはエンタープライズとコンシューマー、IoTである」と語りました。

●トレンドマイクロの大三川彰彦取締役副社長
●日本市場でのビジネス戦略

エンタープライズ(法人)市場向けでは、「XGen IPSビジネスを本格的に立ち上げる」(大三川氏)とのこと。XGenは、既存のセキュリティ技術にAIによる機械学習を加えて新たな脅威にも対応できるテクノロジーです。これまでも積極的に取り組んできましたが、2018年はパートナーとの連携を強化するなど企業への導入を加速させる意向です。

加えて、「企業課題別でのSOC支援戦略の推進」にも注力。自社でSOCを保有する企業向けに効率的な運用を支援すると共に、SOCを社内に設けることが難しい企業向けにはマネージドセキュリティサービスパートナー(MSSP)を介して、SOCの運用を支援するツールを提供していくとのことです。

一方、コンシューマー向けでは、「ホームネットワーク・モバイルセキュリティの普及加速」と「プロアクティブなデジタルライフサポートの開発」を注力施策と掲げており、通信事業者やネットワーク機器ベンダーとのパートナーシップを強化することで、ネットワークセキュリティ製品やモバイル向けビジネスを拡充するとしています。

●エンタープライズ市場における注力施策
●コンシューマー市場における注力施策

IoT市場向けでも、通信事業者やサービスプロバイダー、デバイスメーカーとの協業を強化するとしました。

「IoT時代には使われるデバイスは多種多様で利用形態もさまざまであり、しかも脅威が深刻化する中では、個人や法人に関係なくユーザー自身がセキュリティを考えて対策することは困難。ユーザーが意識せずともセキュリティが継続的に確保される仕組みが欠かせない」(大三川氏)。

これを、ビジネスパートナーと連携して、セキュリティを実装したサービスとして提供。具体的には、クルマやIoTゲートウェイ、監視カメラ、ロボットなどの分野で求められる要件に合わせたセキュリティ機能を提供すると共に、通信事業者のネットワークサービスにセキュリティを組み込むなど、新しいセキュリティビジネスを創出すると意気込んでいます。(長谷川丈一)

●IoTデバイス向けソリューション
●IoTネットワーク向けソリューション