白モノ家電「2017年度国内出荷実績」伸びている商品をさらに3分類して分析
成長の理想型は「401L以上の大型冷蔵庫」

 JEMA(一般社団法人日本電機工業会)が2017年度の民生用機器「国内出荷実績」を発表しました。民生用機器とは空調機器や調理家電、家事家電など、IT機器やAV機器を除いた家電製品の総称。いわゆる“白モノ”家電全般のことです。その国内総出荷金額は、2兆3665億円。この伸長率は2016年度比で101.7%と、僅かではありますがプラス成長を遂げています。

 一般には家電需要の低迷がいわれていますが、白モノについては話が別、ということを立証したともいえるでしょう。実際、プラス成長は3年連続とのこと。伸び率自体は大きくないものの、着実に成長していることは確かです。

 下表は2017年度の伸長率を、主要15商品(17品目)に絞って個別に表したもの。金額ベースで見ると、前年を割っているのはジャー炊飯器、電気掃除機、電気カーペットの3品目だけとなっており、業界的には万々歳ともいえるでしょう。

 しかし、こうした統計を見てその良否を判断する場合、伸びている品目であっても、「もう少しシビアな見方をしなければならない」ということを、実は駆け出し時代に上司に教わりました。そこで今回は、その手法を使って2017年度民生機器国内出荷実績を見てみましょう。

3分類できる出荷実績

 こうした統計で成長品目の良否を計る場合、次の3つに分類できます。
 ①数量、金額とも前年比プラスで、かつ金額の前年比数値の方が大きいもの⇒需要規模も金額規模も拡大し、単価もアップした(表内黄色バック)。
 ②数量、金額とも前年比プラスだが、数量の前年比数値の方が大きいもの⇒需要規模も金額規模も拡大したが、単価はダウンした(表内青バック)。
 ③数量は前年比ダウンだが、金額の前年比はプラス⇒需要規模はダウンしたが、単価がアップして金額規模がアップした(表内グレイバック)。

 家電業界的には、最も望ましい分類が①であることはいうまでもありません。より多く、しかも効率よく売れたことになるわけですから、売り上げアップだけでなく、利益の拡大なども実現しやすいわけです。

 ところが表では、①に分類できる品目は換気扇と401L以上の冷蔵庫のみ。これでは白モノが好調といっても、諸手を挙げて万々歳とまではいえない状況のように感じます。

換気扇はどちらかといえば、住宅設備業者や住宅メーカーの推奨品をそのまま購入するケースが多いでしょうから、業界的には単価アップをしやすい商品といえます。これに対して冷蔵庫は、ユーザーが店頭で比較購入するケースが多い商品ですから、単価アップが簡単ではない商品ともいえます。それにもかかわらず、冷蔵庫が単価アップしたということは、メーカーの付加価値提案や店頭スタッフの説明力などが実を結んだ結果だとえるでしょう。

 これは家電業界として、最も理想的な状態。JEMAでは「まとめ買いや省エネ性能の向上も後押しし401L以上の大型タイプも2年ぶりのプラスとなった」と解説しています。その意味ではユーザーの暮らし方や価値観の変化なども、単価アップの要因といえるでしょう。いずれにしても家電業界的には、こうした商品をもっと増やすことが、本当の意味での好調につながることになるはずです。

糖質制限ブーム下での炊飯器開発

 しかしながら現実的には②分類が最も多く、その数は9品目。これらは、単価が下がったものの、需要規模は拡大しており、結果として金額規模も拡大した商品であり、「全体では数量・金額ともにプラスなのだから問題ない」という声が多いのも確かです。そうした品目が半数以上を占めている現状は、今の白モノ市場の着実な安定成長ぶりを表しているのだと思います。

 さらにいえば数量が伸びている以上、ニーズはまだ十分あるわけであり、今後何らかの画期的な付加価値やサービスが加味されれば、単価アップが実現する可能性も小さくない、といえることも確かです。これは、メーカーにとっては永遠のテーマ。そうした高付加価値商品が多数出てくることに期待します。

 もっとも商品によっては、単価ダウンの事情が異なる場合もあります。例えばルームエアコンですが、数量の905万台は過去最高だった2013年度に次ぐ水準とのこと。出荷がそこまでのレベルに達すると、ユーザーの商品選びも付加価値などより、モノの確保や設置の迅速性などが優先されることも多いと予想され、結果として単価ダウンにつながったことも考えられます。

 今回の発表で意外だと思った商品は、ジャー炊飯器です。イメージとしては高付加価値商品が好調だと思っていただけに、数量94.4%はともかくとして、金額の89.8%という二桁ダウンの実績には正直驚きました。JEMAの解説では「全体として減少傾向にあるものの、IH式が全体の7割を維持しており、高付加価値製品を中心とした市場トレンドは継続している」とのこと。

 これを素直に受け止めれば、7割を占めるIH式が単価ダウンし、すでに高付加価値製品の役割を果たしていないか、それとも残り3割の普及品が一層激しく単価ダウンしているのか、あるいはその両方か、ということになるのだろうと思われます。

いずれにしても、その背景には糖質制限ダイエットのブームがあるのでしょう。ご飯を制限することがブームになっている中では、本来ならば最大の訴求ポイントであるはずの「お米が美味しく炊ける」ことが付加価値にはなりません。それどころか炊飯器自体が不要との流れも顕在化してきているのかも知れません。

 環境がこう変化してくると、商品開発は本当に難しいだろうと思います。糖質制限しない人をターゲットにするのか、制限している人にも魅力的だと感じさせる新たな付加価値を開発するのか――。ジャー炊飯器の今後の新商品開発が注目されます。(征矢野毅彦)