商品研究商品研究2 プロジェクター

概要

用途特化型モデルが続々と登場
最新トレンドに新たな活用を探る
  • 会議やプレゼンテーション以外の方向に進み始めたプロジェクターの進化
  • デスクトップ投写で議論の活発化を促す超短焦点レンズ搭載モデル
  • スマートフォン感覚で常時携行できるミニプロジェクターで活用の幅が拡大
  • 空間演出の用途に特化したスポットライト型プロジェクターも登場

周知のように、データプロジェクターは「スクリーンや壁に映像を投写して大画面で情報を共有する」ためのツールだ。このため、基本的に機器の進化は輝度(明るさ)や使い勝手、メンテナンス性、周辺機器との連携性といった点が中心となっていた。

実際、スタンダードクラスの最新機では重さ3kg前後の軽量で4000lmを超えるモデルが登場。エントリー機でもほぼ3000lmが標準仕様となり、以前はハイエンドクラス向けとされていたWi-Fi接続やスマートフォン連携などの機能も標準搭載されるようになった。

とはいえ、こうした進化は会議やプレゼンテーションの快適化やスマート化は実現したが、それを超えるような活用、例えばデジタルサイネージや会議スタイルの変革などを促すようなものではなかったといえる。

だが、最近は単なる資料共有ではない使い方を前提としたモデルが続々と発売されるなど、風向きが変わりつつある。

そこで、今回は「机上(デスクトップ)投写」「モバイル(常時携行)」「プロジェクションサイネージ」の3つをキーワードに、データプロジェクターの最新動向や注目ポイントなどを探っていくことにしよう。

デスクトップ投写で議論活発化

まず、机上(デスクトップ)投写である。これは会議用デスクなどの机にプロジェクターを設置して、天板へダイレクトに映像を投写すること。

従来の壁にかけたスクリーンやホワイトボードに投写した画面を見ながら行う会議やプレゼンテーションよりも、画面や参加者同士の距離が近い環境が構築される。これにより、集中力アップや積極的なコミュニケーションによる議論の活発化が促されるといった効果が実証されているという。

社内の会議やグループミーティング、病院のカンファレンス、研修・教育でのアクティブラーニングといった活用事例が報告されている。

「自然と机を囲む会議スタイルとなるので、スクリーン投写のように座る場所によって見えづらくなるようなことながく、視線移動が少ないのでストレスが軽減され議論にも集中できる」と評判も上々だ。

このデスクトップ投写を実現するために必要なツールが、超短焦点レンズを搭載したプロジェクターである。超短投写モデルともいう。

その登場は数年前だが、ここ最近になってラインアップが増加中だ。投写距離は短いもので25センチ前後(80型投写時)。壁掛けなどにより発表者の背後に機器を配置できるので、光源がまぶしくない。投写映像に影が出にくいため、閲覧者にも画面が見やすいといったメリットから、狭い会議室や学校の教室、デジタルサイネージ向けなどで活用されている。

投写の利便性ばかりが注目されがちだが、今後はデスクトップ投写による会議スタイル変革ツールとしての活用が期待される。

デスクトップ投写では、超短投写モデルとタッチ型スクリーン、あるいはインタラクティブホワイトボード機能を組み合わせることで、さらに高い利便性が得られる。

アプリケーションの起動、資料やホームページの閲覧、動画再生、文字の入力など必要なほとんどの操作を目の前の画面に集約できるからだ。

ただし、デスクトップ投写では、机にプロジェクターを据え付ける専用器具が必要であることが多く、準備に手間や時間がかかり、常設には場所を取られる。こうした課題を解決する机上設置向けセットモデルも登場しており、気軽にデスクトップ投写を実現したいならば、そうした製品を選ぶとよいだろう。

常時携行できるミニタイプ

次にモバイル(常時携行)についてだが、ここでいうモバイルとは従来のモバイル型プロジェクターのことではない。さらに軽量コンパクトなミニプロジェクター(ピコプロジェクター)だ。

ミニプロジェクターとは、手のひらサイズの軽量コンパクトを特徴とするタイプ。これまでモバイル型といわれていた機種は、小型といっても設置面積はA4サイズ程度で、それなりに厚みもある。屋内外で持ち運ぶことはできても、常に携行して気軽に使うというわけにはいかなかった。

だが、ミニプロジェクターはスマートフォン感覚で常時携行して活用することが可能だ。ワイヤレス機能搭載、メモリー内蔵やUSBメモリー対応など、PCレスで使うことができるモデルもラインアップされている。

最近は働き方改革などにより自由な会議スタイルが増え、場所を問わず急に打ち合わせが始まることも少なくない。そうした場合でも、ミニプロジェクターなら、すぐに使うことができるだろう。

また、分譲マンション内覧中の顧客に対して資料を見せたり建設現場で工期を確認したりと、思い立った場所で活用可能だ。

もちろんタブレット端末などでもよいだろうが、画面サイズは大きくとも10型から11型程度。ミニプロジェクターは、それよりも大きく映像を投写でき、状況に合わせて柔軟に画面サイズも変更できる。

スポットライト型モデルが登場

一方、プロジェクションサイネージは、プロジェクターを活用してデジタルサイネージを実現すること。

その中でも、商品やマネキンなどの立体物、壁やショーウィンドウに映像を投写することで場の雰囲気を創り出し顧客の興味を引く空間演出(アンビエント)を実現するツールとしては、プロジェクターが唯一無二の機器といえる。

これらは、高輝度化や小型化、半導体光源の採用による長寿命化など、プロジェクターの進化により会議用やプレゼンテーション以外にも転用できるようになってきたわけだ。

最近は、空間演出以外にも、「設置場所や画面サイズに柔軟性がある」「周囲の環境に溶け込む演出が可能である」といった理由から、デジタルサイネージツールとして注目度が高まっている。

そうした中、新しいプロジェクターとして登場したカテゴリーが、エプソンやパナソニックなどが製品化したスポットライト型モデルである。

ボディは、文字通り円筒のスポットライト型デザイン。サイネージや空間演出向けに特化したモデルだけあって、同用途に適した特徴を持つ。天吊りや床など設置性が高く、本体がフレキシブルな角度に可動するなど設置や投写の自由度が高い。

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「会議やプレゼンテーションなどの一般的な用途で、プロジェクターはほとんどのオフィスに行き渡った。新しい需要を開拓するには、用途提案型のモデルが必要だろう」とメーカー関係者は語っており、こうした特化型モデルは今後も登場してきそうだ。

■表 特定用途で威力を発揮する主なプロジェクター

種類 概要
超短焦点プロジェクター 超短焦点レンズを搭載したモデルのことで、「超短投写プロジェクター」ともよばれる。20数cmの距離から映像を投写できるので、「影が出ない」「発表者がまぶしくない」などの利点を持つ。デスクに設置して天板にダイレクト投写することで、会議やミーティングのスタイルを変革することを可能とする。
ミニプロジェクター 従来のモバイル型プロジェクターより、さらに小型のモデル。手のひらサイズが主流なので、常に携行が可能。輝度は明るくとも100lm前後だが、ちょっとした打ち合わせや映像情報の共有には十分に活用することができる。
スポットライト型プロジェクター プロジェクターの本体が従来の矩形ではなく、スポットライトのように円筒型をしたモデル。主に、店舗などの空間演出向けに特化したタイプで、ボディがフレキシブルに可動し設置の自由度が高い。エプソンやパナソニックなどが製品化している。