商品研究商品研究3 パッケージエアコン

概要

快適な業務環境とコスト削減を両立
老朽化したモデルは早期入れ替えを
  • 2020年に向けて老朽化したパッケージエアコンの入れ替えが不可欠
  • R22冷媒は生産終了へ。古い機種は修理できなくなる!?
  • 進化した室内ユニットがオフィスや店舗の快適空間を実現
  • 最新モデルへの入れ替えで、3割から6割の電力コストを削減できる可能性

 店舗やオフィスで使用している店舗・事務所用空調機器(以下、パッケージエアコン)は、老朽化していないだろうか。

 パッケージエアコンの設計上の寿命は10年とされるが、平均使用年数は約15年程度といわれている。実際には、それ以上の長きにわたって稼働しているケースも珍しくない。古い設備をメンテナンスしながら丁寧に使い続ける考え方も大事だが、ことパッケージエアコンに関しては最新モデルへ入れ替えた方がメリットは大きいといえる。

 特に、2018年から2019年にかけては、リプレイスを検討する絶好の機会だ。2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックで、国内外から多くの観光客が足を運ぶことが予想され、関連施設やホテル、商業施設では設備を見直す必要があるだろう。

 さらに、2020年には約15年前まで使用されていたR22冷媒の生産がモントリオール議定書に基づいて終了する。

 いずれも、2020年に向けたトピックであるが、間際になればリプレイス需要は集中する。後述するように、最新機種の電力消費削減のメリットを考えると、早期対応がお勧めだ。

 では、なぜ最新パッケージエアコンへの入れ替えが推奨されているのか。その理由を探っていこう。

温度ムラを自動解消

 結論からいえば、最新モデルは10年~15年以上前の機種と比べ、「快適性」と「コスト削減力」の点で圧倒的に進化しているからだ。

 まず、快適性から見ていきたい。空調機器において、不快を感じる主な原因は室内の温度ムラ。場所により暑さや寒さが異なることに加え、人により温度の感じ方も違う。もともとパッケージエアコンでは「いかに効率的に冷暖するか」に焦点が当てられていたため、ルームエアコンに比べて、こうした課題の解決(快適性の追求)が遅れていた。

 だが、ここ数年でパッケージエアコンの室内ユニットは大きく進化。快適性を向上させる機能が充実し、心地よい空間を実現する能力が以前よりも大きく向上している。

 例えば、三菱電機は2018年5月に新機能「ぐるっとスマート気流」搭載の室内ユニットを発売した。

 これは、独自のセンシング技術「人感ムーブアイ360」と、上下左右に風向きを調整できるフラップ(上下ベーン/新開発の左右ルーバーユニット)を組み合わせ、全周囲360度の気流制御を実現したもの。室内の温度環境を細かく検知して風速や風向きを自動調整すると共に、気流の死角をなくすことで温度ムラをすばやく解消する。

 また、日立は赤外線の変化量から人の活動量を検知する「人感センサー」と、物体(床/デスクなど)や人体から放射される赤外線を検知する「輻射温度センサー」を搭載。2つのセンシング技術による自動制御で、快適な空間を実現する。

 空調面での快適空間づくりは、オフィスであれば社員、店舗なら顧客の満足度を高めるもの。働き方改革が進められる中、ワークスタイルの見直しだけでなく快適な業務環境の提供も重要なファクターであり、店舗では差別化の1つの要因となる。

古いほど削減効果の期待大

 しかも、こうした快適性を実現しながら、電力コストを削減できるといえば、大きな魅力を感じるのではないだろうか。最新パッケージエアコンは省エネ性能が飛躍的に向上していることが理由である。

 パッケージエアコンは終日フル稼働するだけに、平均的なオフィスビルにおける電力需要の48%(夏季/資源エネルギー庁推計)を占めるといわれ、さまざまな設備機器の中でも消費電力量が突出している。この部分にテコ入れすることが、コスト削減の近道であることは明らか。

 とはいえ、既存設備の使い方を工夫して節電に取り組むのでは効果は小さい。省エネ性が飛躍的に向上している最新モデルのコスト削減力をいかす方法が現実的だ。

 最新モデルと2018年に設計寿命を迎える10年前の機種の省エネ性を比べた場合、年間で約30%も電気代を削減できる(図を参照)。

■図 最新モデルと10年前のインバーター機との年間電気代比較

 入れ替えのタイミングで最も多い買替前使用年数は17年以上といわれており、当時の機種と最新モデルとの比較では、電気代カットの効果はさらに大きくなる。年代や機種により異なるが、同じ使い方であっても入れ替えにより消費電力で約6割程度、年間4万円ほどの電気代を削減できる試算が出されている。

 これだけ省エネ力が向上した背景には技術変革が挙げられる。冷暖性能を左右する中軸技術の主流はインバーターだ。コンプレッサー(圧縮機)の能力をきめ細かく制御して温度をコントロールするため、少ない消費電力で冷暖が可能となる。

 市場に出回っている製品がインバーター搭載機にほぼ置き換わった時期は2004年から2006年にかけてのこと。それまでは、圧縮機のオンオフにより温度を制御するため効率が悪く電力消費が大きい一定速機が主流技術となっていた。

 2018年を基準に見ると、17年前のモデルといえば2001年製だ。まだインバーター機が登場したばかりの頃で多くは一定速機。このため当時のモデルならばリプレイスするだけで電力カット効果が大きくなるわけだ。

 また、修理に必要な部品には保有期間があり、古い機種では故障時期によっては直せない可能性がある。その1つが冷媒(熱エネルギーを運ぶ役割を持つ物質)である。

 前述したようにモントリオール議定書(オゾン層を破壊するリスクのある物質の特定と規制)に従い、2002年頃まで使われていたR22冷媒が2020年以降は生産できない。このため入手困難となることは確実だ。

 老朽化している機種ほど故障リスクは高い。機械である以上、使用環境などで差はあるものの経年劣化により、故障率は増す。「まだ動くから大丈夫」と使い続けて、フル稼働が必要な繁忙期に故障したとなれば業務停滞や生産性低下、クレームにもつながりかねない。

 快適性の実現やコスト削減、故障リスクといったことを考えれば、入れ替えが大きなメリットであることは確かだろう。

 設備投資となるパッケージエアコンでは、いくつか減税制度や補助金なども用意されている。制度をうまく活用しながら、早期リニューアルを検討してはいかがだろうか。