必読!これがホントの“節税”講座2017年確定申告で顕在化!?
仮想通貨「バブル」の兆候

寄稿:梅川 貢一郎(有限会社トライアングル 代表取締役・税理士・公認会計士)

http://www.umegawa.com/

仮想通貨バブルの兆候が

今年も確定申告のシーズンが終わりました。毎年恒例となりましたが、今年の確定申告を終えて感じられた「世の中の動き」を述べたいと思います。毎年数百件の確定申告を行いますが、必ずその年の傾向や特徴などが申告内容から読み取ることができます。

今回の確定申告の特徴は「バブル」です。

バブルとは、実体(実態あるいは理論)価格を超えた資産価格の上昇をいい、バブルにともなう景気の過熱を「バブル景気」ともいい、1980年代後半から1991年まで続いた「平成バブル景気」が有名です。

筆者は当時、20代の後半。某銀行の銀座支店の融資営業担当をしており、不動産はもちろん、絵画、ゴルフ会員権、株、スーパーカーなどありとあらゆる資産購入のため融資金を出しまくっていました。

正にバブル膨張の、片棒を担いでいたわけです。もちろん当時は、自分がバブル景気の真っただ中にいるなどとは、夢にも想像していませんでした。

バブルは弾けてみないとバブルであったと気づかないといわれますが、まさに実感した次第です。

さて、昨年の日本でバブルの筆頭は、「仮想通貨」ではないでしょうか。

今年の1月から個人の確定申告の受付を始めたのですが、問い合わせ数トップに躍り出たのが、実は仮想通貨での売却益です。

ビットコインの売買で数億円稼いだ人がいるという話は噂では聞いていましたが、億まで行かなくとも、数百万〜数千万円稼いだ人が本当に多くいたのでびっくりしました。

確定申告の問い合わせの10件に1件が仮想通貨の売却益に関するものです。しかもOLや会社員さらには学生などの若者に多いのです。

ちなみに、1ビットコインの価格は、昨年の1月は10万円程度でしたが、一気に上昇を続け、11月に180万円ぐらいまで暴騰しました。ビットコインがもっと安く手に入ったそれ以前から所有していた方は、それこそ価格が100倍ぐらいになりました。

数年前、外貨FXで大儲けした主婦や学生が話題となりましたが、その時のことを思い出させます。

FXで儲けたお金は「雑所得」となり、申告しなければならないとの認識が当時は一般的に低く、数億円単位の脱税容疑で「普通の主婦」が(見せしめに)逮捕。それ以降、皆さん納税意識が高まったようです。

「FX脱税」が記憶に新しいためか、仮想通貨では「儲けた方はとりあえず申告」と考えたのも当然かもしれません。しかし「利益算出の計算法が分からない」「申告の仕方が分からない」。そのような問い合わせが多数ありました。

仮想通貨のリスク

仮想通貨は「いかがわしいものだ」「詐欺まがいの商法ではないか」。そのような疑念を持たれている方もいるかと思います。私もそのような認識しか持っていませんでした。そこで遅ればせながら仮想通貨について調べてみました。

仮想通貨とは、ブロックチェーンと呼ばれる新技術によって生成されるデジタル通貨のことです。もともとはその名の通り、決済や送金を簡単、安全、安く利用できるようにするためのシステムであり、金(ゴールド)のように目に見える実物の通貨とは違います。

ブロックチェーンの技術は、仮想通貨の中核的な技術です。政府や銀行を介さずに取引データを分散し、すべての参加者がデータを確認できることから、管理者がいなくともデータの改ざんができないというメリットを持っています。

ブロックチェーンの技術を利用すると、支払い決済や送金がほとんどコストをかけずに安全にできることから、日本のメガバンク、日銀を含め多くの金融機関がその実用化を研究しています。その技術は、既存の金融機関のビジネスモデルを変えてしまうぐらいインパクトの強い革新的なものです。

仮想通貨はビットコインが有名ですが、他にもたくさんの銘柄があります。イーサリアム、リップル、ライトコインなど日本では20種類ぐらいの仮想通貨が流通。今後も世界中で新しい仮想通貨が次々と開発されると予想されています。

その流通を担うのが、仮想通貨取引所すなわち交換業者です。ビットフライヤー、ザイフ、ビットポイントなどがありますが、最近はGMOなど大手企業も参入してきました。

仮想通貨はいかがわしいと思わせた事件が、今年1月に起きた仮想通貨取引業者コインチェック社による仮想通貨NEMの流出事件です。

仮想通貨そのものは安全なのですが、それを扱う交換業者のシステムが外部からのハッキングにぜい弱だと、このような事態が起きてしまいます。

金や現金は自宅の金庫で保管するのが一番安全と思っている方もいますが、盗まれたり火災で焼失するリスクもあります。仮想通貨はそういうリアルなリスクはありませんが、交換業者や自分のパソコンからハッキングされ盗まれてしまう「デジタルリスク」があるのです。

日本での主流は投機目的

仮想通貨に関心を示していたのはもともと中国人です。中国の通貨、人民元は価値が不安定であるうえ、ドルのように国際的な信用力も乏しい。しかも中国政府によって国外持ち出しが制限されたりと、中国人にとっては使い勝手の悪い通貨です。

そこで、中国の人たちは、安全でネットにさえつながっていれば、自由にいつでも決済、送金、他の通貨への交換ができる仮想通貨に飛びつきました。しかし、中国当局により仮想通貨の売買が制限されたため、中国での仮想通貨の売買は急減。代わって仮想通貨のメインプレイヤーは、今や日本人になりました。昨年は日本人が仮想通貨を「爆買い」したというわけです。

仮想通貨の取引が制限あるいは禁止されている国は中国以外にも多くあります。おカネの動きを中央政府が管理できなくなる恐れがあることや、仮想通貨が犯罪者のマネーロンダリング、テロ組織の資金移動に利用されることなどが懸念されているからです。

しかし日本では、本格的に利用規制されることは当分なさそうです。仮想通貨は、もともと金融取引に利用するために開発された通貨ですが、日本ではほぼ100%投資目的で売買されています。

仮想通貨の売買は投資(投機)ですから、暴騰もあれば暴落もあり得ます(事実、今年に入ってからは価格が下落している仮想通貨が多い)。

しかし論者によれば、外貨FXや株式に比べると、まだプロの大口投資が参入しておらず、市場が荒らされていないので素人の投資家でも、比較的投資しやすい、との意見もあります。

仮想通貨で真に儲けるのは!?

仮想通貨の相場は、景気や為替相場、世界の政治情勢、経済情勢などの影響を受けない。純粋に人の欲望のみで価格が上下する相場なのです。宝くじ感覚でとりあえず購入をする人も増えるのではないでしょうか。

仮想通貨関連の所得税申告では、仮想通貨のアドバイザー(?)なる肩書きの方がセミナーや講演、コンサルタント料で稼いでいる例や、仮想通貨関連のブログや書籍で結構な印税を稼いでいる方、ブロックチェーンの技術に関するアドバイスで名だたる大企業相手に数千万円も請求しているIT技術者の方もいました。

また、仮想通貨の売却益、他の通貨へ交換した時に実現した差益を雑所得として税務申告する必要があるのですが、そもそも通貨交換業者は、利用者が税務申告を行うことを前提としたサービスを準備していません。

各社とも取引記録はエクセルなどで出力することができますが、その取引でいくら儲かったかは分かりません(通常、購入は複数回にわたり、しかもその都度購入価格が違うため、原価の計算が煩雑)。そこで、取引記録をエクセルなどでインポートすると簡単に売却損益が計算できるソフトを売り出した会社もあります。

かつてアメリカのゴールドラッシュの時代、本当に大儲けしたのは一攫千金の山師ではなく、群がる山師相手に日常品、雑貨品や衣服を販売したリーバイスのような会社、そして人や物資を輸送するための鉄道会社であったといいます。仮想通貨も同じことが起こるかもしれません。

不動産譲渡所得が急増

さて、バブルの〆は何といっても不動産です。過去10年ぐらい、マイホームを売却して損をした人は大勢いましたが、利益が出て所得税を払わなければならい人は稀でした。

それがここ2〜3年で不動産の譲渡所得が急増。居住用であったマイホームは売却して利益が出ても、原則3000万円までは税金がかからない仕組みなのですが、昨年度はその3000万円の控除内で収まりきらない売却益が出た例もありました。

2008年のリーマンショック後、下落を続けていた不動産価格は安倍内閣成立を機に2014年から上昇に転じました。

しかしその価格の上昇率は、かつての平成バブルのように、「日本全国一律に年間10%以上上昇する」というものではありません。

商業地は全国の主要都市で上がりましたが、住宅地は東京都、大阪府、愛知県ぐらいです。顕著な二極化現象がみられます。

昨年、東京銀座の山野楽器前の地価が1㎡5000万円を超え、1990年の平成バブルの高値をついに更新しました。

東京で、地価が著しく上昇しているのは、都心の千代田区、中央区、港区。その他、新宿、渋谷、池袋の駅周辺などの再開発地区です。

また、東京の商業地区では、地価の上昇を反映してか、オフィス賃料も上がっています。しかも、オフィスの空室率が2%台という低さです。この数字は、ほぼ満室という状態。空きが出ても、すぐに埋まってしまうでしょう。

都内は平均100万円超/1㎡

それにしても東京のマンション価格の高さは異常に思えます。

都区内のマンション価格は、平均1㎡100万円を超えました。地価が値上がりしているのだから、その土地の上に建つマンションの値段も上昇して当然かもしれません。しかしそれにしても高過ぎませんか。

平均的な年収5〜600万円のサラリーマンが、借りることのできる住宅ローンの上限は約5000万円です。

これを最長の35年ローンで借りたとして、元金の月額返済は12万円です。これに金利がプラスされますから、いくら低金利で借りても、これ以上の金額を借りるのは無理でしょう。

しかも、5000万円で買える都内のマンションとなると、広さは50㎡程度でしかありません。子どもが小さければ何とかという広さです。子どもが育って自分の部屋が欲しいといい出したら、そのマンションはいくらで売れるのでしょうか──。かなりの疑問です。

では70㎡ぐらいのマンションが欲しいと思ったら、それには7000万円を用意しなければなりません。一般的なサラリーマンが買える値段とは、とても思えません。

さらに高くなるのか!?

確かに住宅ローン減税のおかげで、住宅ローンを借りて住宅を購入すると、住宅ローン残高の1%、あるいは最高額40万円まで所得税が減税されます。

また、その住宅を買い替えるときに運よく高く売れたとしても、その売却益が3000万円までは税金が課されません。とはいえ今のマンション高値が、果たしていつまで続くのでしょうか。

2020年危機。「東京オリンピック・パラリンピックが終わったら、一気に景気が後退する」などと、まことしやかに噂されています。一方では、東京の物件を割安と評価する外国人が、引き続き買い続けるという、もっともらしい噂も新聞記事になっています。

ちなみに、過去に投資用マンションとして都内に物件を購入していた方の多くが、今売りに出しています。今回の確定申告でも、数多くの譲渡所得の申告を行いました。売っている人がいるということは、他方で積極的に買っている人もいるということです。

価格が高くなったので今売るのか、それともこれからさらに高くなると見越して今買うのか──。その正解は数年後のこの連載で、ご報告できるかもしれません。