「EV」最前線!!地域社会への新たな貢献策として
注目度アップ!!「EV充電器設置」

概要

「2020年までに100万台」との政府目標が掲げられているEV(電気自動車)。そこまでに達するのかはまだ不透明だが、世界の自動車メーカーの動向や環境保全意識の高まりなどから、EVが今後、急速に普及することは確実だ。これに伴いEV充電ステーションの設置も、全国で進んでいる。しかも、その担い手はこれまでの自治体や道路関連団体などから、民間事業者へとシフトしているという。その理由とは……!?

Q. EVの国内普及台数は?
A.2018年3月末現在で約19万台が登録されており、これを政府は2020年までに100万台へと引き上げる大きな目標を打ち立てている。業界関係者の間でも「少なく見積もっても60万台は堅いだろう」との見方が支配的だ。

60万台でも今後2年間で3倍増となる計算。その要因はトヨタやホンダの本格的なEV・PHV市場参入に加えて、フォルクスワーゲンやBMW等の欧州勢もEV投入を本格化。車種のバラエティの広がりが、需要を大きくけん引すると予測されている。

Q. EV充電器の国内での普及状況は?
A.一般のEVユーザーが利用可能な急速充電器は、現状で国内7300カ所に設置されている。普通充電器とあわせると、国内では現状約2万2000カ所に設置されている。他にも民間事業所が急速充電器を自社EV用に設置するケースも増加している。

高速道路SAや道の駅、自治体庁舎など公共施設への設置はほぼ一巡したといわれており、今後はショッピングモールやコンビニ、ゴルフ場やカーディーラーなど民間施設への設置拡大が見込まれている。また公共施設においても現状は1台設置が多いため、今後のEV普及状況によっては充電渋滞を緩和するための追加設置が予想されている。

Q. 二つのEV充電方式とは?
A.EVへの充電方式には「普通充電(AC充電)」と「急速充電(DC充電)」の二方式があり、EVの充電口にはそれぞれの方式に対応した充電ポートが装備されている。

「普通充電」は家庭の電源コンセントなどと接続し、車載充電器を経由して充電を行うもの。供給電力は3〜7kW程度(AC200V)。フル充電まで約8時間を要する。主に自宅や宿泊施設などでの夜間充電に利用されている。

「急速充電」は道の駅などに設置された急速充電器と接続する充電方式で、供給電力は最大50kW(最大DC500V)。現状では混雑回避などのため、1回当たりの充電時間が30分までに制限されており、これで約80%の充電を行える。主に出先での継ぎ足し充電や緊急充電などで活用されている。

日産リーフの充電口。①急速充電ポート②充電ポートライト③普通充電ポート(充電コネクターロック機構付)。出展:日産EVホームページ

Q. 日本の充電方式「CHAdeMO(チャデモ)規格」とは?
A.チャデモは日本で標準化されている充電規格で、国内メーカーが国内で販売するEVは、すべてこの方式を採用している。特徴は前述した急速(DC)と普通(AC)の二つの充電ポートを持っていること。その対抗馬として欧米が普及を進めている「CCS(コンバインド・チャージング・システム)規格」はACとDCとを組み合わせたポートで充電を行う。

ただし日本に輸入されている外国車は、充電方式を日本のチャデモ規格に変換したり、テスラ(独自のSC/スーパーチャージャー規格を採用)のように「チャデモ対応アダプター」を用意するなどしており、国産車と同様の充電が可能となっている。

Q. EV充電器を利用した際の料金支払い方法は?
A.日本のEVユーザーの9割が加入している日本充電サービス(NCS)発行の、NCSカードを通じた支払いが一般的。急速充電用は月会費3800円、利用料金15円/1分(最長30分まで)、普通充電用は月会費1400円、利用料金2.5円/1分、そして急速・普通併用は月会費4200円(利用料金は専用型と同じ)となっており、他に初回のみ登録手数料1400円がかかる(すべて税別)。

料金設定は充電した電力量ではなく、充電器の使用時間となっているため、理論的には、より大容量の充電器から充電する方が、単位時間当たりの充電量が多くコストパフォーマンスが高いことになる。

また、EVメーカー各社は、NCSカードを基軸にした提携カードを発行。そこで独自の料金プランを打ち出しており、例えばEVの急速普及を推進している日産は、月額2000円で急送充電器が使い放題となるプランなども用意している。

■表 NCSカード(充電カード)の種類

種類 急速充電器用 普通充電器用 急速・普通併用
使える充電器 急速のみ 普通のみ 急速&普通
月会費 3,800円 1,400円 4,200円
利用料金/1分 15円/※1 2.5円 急速15円/普通2.5円
発行手数料 1,400円(初回のみ)

※1)1回当たり最大30分まで。※2)金額は全て税別。

Q. NCS(日本充電サービス)とは、どういう団体か?
A.電動車両(PHV、PHEV、EV)の充電インフラネットワーク構築に向けて、トヨタ、日産、ホンダ、三菱などが共同出資し、2014年5月に設立した合同会社。充電器の設置推進、充電ネットワークの充実を図ることで、電動車両のユーザーにとって利便性が高く、電動車両の機能が最大限生かせる充電環境づくりを目標としている。

NCS会員となったEVユーザーは1枚の充電カード(NCSカード)で、NCSのネットワークに繋がった充電器をいつでも利用できる。カード申し込みに関する問い合わせは、日本充電サービスコールセンター 0120-983302(平日9:00〜18:00)。

Q. 民間が急速充電器を使ったEV充電を事業化するには?
A.基本的にはNCSとの間で設置事業者として一般提携契約を結ぶケースが多い。設置事業者には、EVユーザー(NCSカード会員)が充電器利用時かかった従量電気代の相当額が、提携料(電気代権利金)としてNCSから支払われる。その際の単価は以下のようなもの。

急速充電器 支払い単価:9.8円/1分
普通充電器 支払い単価:1.5円/1分

一般提携契約を締結した場合でも、充電器の購入・設置や認証機搭載にかかわる手続きや費用は、すべて設置事業者の負担になる。

Q. EV充電事業は儲かるのか?
A.結論として、電力の売買差益による事業化は、現段階では不採算となる可能性が極めて高い。EVユーザーが充電時間30分で急速充電器を利用した場合、NCSが事業者に支払う提携料は294円。そして事業者が電力会社に支払う電力代金は充電時間30分で170円程度であり、ここだけを見れば採算性に優れているように感じる。

ただし、現状の急速充電器で、平均的な利用頻度は月間50時間程度。この場合、事業者が受け取る提携料は月額2万9400円となる。これに対して急速充電器の維持にかかるランニングコストは年間で80万〜100万円ほど。その回収は現状では、提携料だけでは不可能といえる。

今後、EVが急速に普及して急速充電器の利用頻度が急ピッチで高まったり、充電器価格の大幅下落などがあれば状況が変わる可能性もあるが、現段階では売買差益による事業化は不可能と考えることが一般的だ。

Q. 不採算にも関わらず急速充電器を設置して一般提携契約を結ぶ民間事業者が増えている理由は?
A.民間事業者が自社EVの充電目的以外で、充電事業者となる大きな理由は「地域社会への貢献策」と「集客策」の二つだ。クルマが内燃機関からEVへとシフトする流れは世界的なものであり、止まることはない。

ただし、その普及には充電器インフラの拡充が不可避であるため、そのことの重要性を認識する民間事業者が着実に増加。純粋に地域経済の発展や環境保全へ貢献したいとの思いから、充電器を設置するケースが増えている。しかも、このことをアピールすることでCSR(企業の社会的責任)活動への高評価が期待できることも、急速充電器設置の大きな目的になっている。

その一方で集客策としての効果が大きいことも確かだ。前述したようにEV充電ではガソリンスタンドのような専門事業が成り立ちにくい。そこで小売業などが顧客サービスの一環として急速充電器を設置することで、EVユーザーは急速充電器を設置したショッピングモールや量販店などを頼らざるを得なくなり、結果として自店の集客力アップにつながる可能性が高い。

しかも、前述したCSR活動への評価にもつながるため、企業にとっては一石二鳥の効果が期待できることになる。

4陣営が競う世界のEV充電規格

EVの充電規格は現状、「チャデモ」(日本)、「CCS」(欧米)、「SC」(米テスラ社の独自規格)、そして「GBT」(中国)の4規格が主流だ。バッテリーと充電器を接続するプラグ形状や通信規格が異なっており、各陣営とも世界標準に向けた競争を加速させている。

チャデモ協議会が昨年10月に発表したEV充電器の世界シェア状況(除中国)は、チャデモ32%、SC19%、CCS14%、その他35%。現状ではチャデモが世界で最も普及している充電規格であり、日本以外でもヨーロッパをはじめ世界50カ国以上で設置されている。

その一方で各陣営ともライバル規格との協調路線の動きも見せており、例えばヨーロッパの充電器はチャデモとCCS双方のケーブルを設置するケースも多い。また今後の急速なEV普及が確実視されている中国では、チャデモとGBTとの親和性を高める交渉がなされているという。