4K放送の認知拡大、未だ道半ば!! 老舗情報誌でさえ4K受信機の認識が不足
放送開始まで半年。いかに巻き返すのか!

 先日のことです。ある家電系雑誌の4Kテレビ放送関連記事を読んでいたのですが、その、あまりに筋違いな内容に驚かされました。そこでは、「4K放送を楽しむためにはテレビはもちろん、チューナーやアンテナまですべて4K対応のものを設置しなければならない」と断言していました。

 これは明らかに間違い。少なくともNHK及び民放キー局5社の4Kテレビ放送については、既存のBS/CS110度受信システムと4K対応テレビがあれば、ここに新たに4Kチューナーを加えるだけで視聴できます(図1)。

 上記以外の4Kテレビ放送(WOWOW、スカパー等)を楽しむためには、確かにこの記事が指摘するようにチューナー以外に、「SHマーク」の付いたアンテナ設備を用意する必要があります(図2)。ここまで4K専用システムに投資をすれば、上記6局を含めた全18チャンネルの4Kテレビ放送を見られるようになります。

 ただし、そこまでするかどうかは、あくまでもユーザー個々の判断。(なぜ、そのような放送体制になったのかについては、シャニム本誌63号を参照ください)。すべての人が図2のシステムに投資しなければ4K放送を楽しめないということでは、決してありません。4Kチューナー設置という図1の最小限投資だけでも、4K放送は視聴可能です。ここは、明確に区別しておかないと、ユーザーに混乱を生じさせるだけでしょう。

東芝製4Kチューナーは売価4万円前後

 この雑誌では「4K放送を楽しむためには、4K対応テレビのほかにチューナー、アンテナもすべて4K対応のものに取り替える必要がある。もちろんすべて実費で、工事費を含め10万円以上かかることも」と記されていました。

「10万円以上」とは決してマストではなく、図1のシステムであれば、チューナーのみ4万円前後(東芝TT-4K100の場合)の投資です。難しい工事も不要ですし、これだけの投資でNHKと民放キー局5社(民放5社はすべて無料放送)をすぐに楽しむことができます。まずは、このことをはっきり明言しておきます。

 なぜ、今回のメルマガでこの内容を取り上げたのかというと、冒頭で紹介した雑誌の間違いを、問いただそう・あげつらおうというわけでは決してありません。そうではなく、4Kテレビ放送に関する世間の認知が、放送開始半年前の今の段階で「この程度なのか」ということに強い衝撃を受けたからです。

 冒頭で紹介した雑誌は、家電関連の評価やレポートで定評があり、その客観性において、かなり信頼できる老舗有力誌。個人的にもずいぶんと昔から、さまざまな形で参考にしてきました。それだけの権威ある雑誌ですら、4K放送についてはこの程度の認識。その事実に、愕然としたというのが正直なところです。

 思いおこせば昨年11月、4K放送関連団体と民放キー局5社がパネリストとして登壇したディスカッションに参加したのですが、そこで一番の課題として掲げられたテーマが「4K放送の認知不足」でした。かくいう自分もその時に初めて、4Kテレビ放送の受信には図1と図2の二つのシステムがあるということを認識。「これはけっこう面倒な仕組みだな」と感じたことを記憶しています。

 このディスカッションでは、認知不足の原因や今後の拡大策などが論じられ、最終的に「2018年12月にむけて、業界をあげて4K放送の認知拡大を徹底する」という話で落ち着きました。あれから、半年経ちましたが、状況はあまり変わっていないわけです。

 その意味では4K放送関連業界(放送局、家電メーカー、家電店等)の努力不足ということに尽きるのでしょう。ここ数年のテレビ市場は、4K対応テレビ(4Kチューナーを外付けすれば4Kテレビ放送が見られるテレビ)が主軸となって売り上げを伸ばしてきているだけに、この事実と4Kテレビ放送の認知との大きなギャップは、重大な反省点と言わざるを得ません。4Kテレビ放送の正しい認知を、いかに拡大・浸透できるのか――。放送開始まで半年を切った今、業界はいよいよ正念場を迎えたといえそうです。(征矢野毅彦)

■図1&2出典)東芝映像ソリューション(株)