中小企業庁が「事業承継補助金」の公募開始を告知M&A型事業承継の支援を拡充
補助金額上限は最大1200万円

中小企業庁は、2017年(平成29年)度補正予算「事業承継補助金」の公募に関する事前予告を行いました。前年制度から拡充されており、「事業再編・事業統合支援型~M&Aタイプ~(Ⅱ型)」が追加され「後継者承継支援~経営者交代タイプ~(Ⅰ型)」との2類型に。公募期間は2018年7月初旬~2018年8月中旬となっています。

事業再編・事業統合支援型~M&Aタイプ~(Ⅱ型)

もともと「事業承継補助金」では、後述の経営者交代タイプ(Ⅰ型)を念頭に制度設計されていましたが、後継者不足を背景とした中で事業承継を促進するためには積極的なM&Aが欠かせないことから、これを後押しする制度として拡充されたのが事業再編・事業統合支援型(Ⅱ型)です。

その趣旨は、「事業再編や事業統合を契機に経営革新や事業転換を行う中小企業者に対し、その新たな取組に要する経費の一部を補助する」こと。概要については、中小企業庁の資料「事業承継補助金2型の概要」を参照いただくとして、下記では要件や留意点などのポイントをまとめておきます。

対象者と主な要件

同制度の対象は、下記の3点を満たす中小企業や個人事業主。中小企業の定義は中小企業基本法で定められている中小企業者のほか、特定非営利活動法人も含まれます。

●2015年4月1日から、補助事業期間完了日(最長2018年12月31日)までの間に事業再編・事業統合を行った、または行うこと
●取引関係や雇用によって地域に貢献する中小企業であること
●経営革新や事業転換などで新たな取組を行うこと

●事業承継補助金Ⅱ型「事業再編・事業統合支援型(M&Aタイプ)」の事業イメージ(中小企業庁の資料より抜粋)

「地域に貢献する企業や事業である」「承継後の新たな取組である」かどうかについては、認定支援機関(商工会や商工会議所、金融機関、税理士、公認会計士など)による確認が行われるほか、支援を受けることもできます。

●補助事業等の要件(中小企業庁の資料より抜粋)

補助金額と補助率

M&Aタイプの補助率と補助金額の上限については下記の通りです。

事業転換(事業や拠点の廃止) 補助率 補助上限額
3分の2(採択上位) 600万円
2分の1(上記以外の者) 450万円
3分の2(採択上位) 1200万円
2分の1(上記以外の者) 900万円

採択上位とは、新たに取り組む事業が高く評価された応募事業者のこと。応募事業は採点基準(独創性/実現可能性/収益性/継続性など)に従った評価によりランク分けされて、その上位で採択された場合には補助率が高くなります。

また、既存事業の廃止を伴う経営革新の場合には廃業登記費や解体費などの撤退費用などとして最大600万円を上乗せ。採択上位の場合、補助金額上限は最大1200万円となります。Ⅰ型に比べて、補助金額が大きく設定されていることが特徴でしょう。

その他

後述のⅠ型と異なりⅡ型では経営者の交代は必須とされませんが、現在代表権を持っていない者や個人事業主として事業を行っていない者が承継者となる場合、一定程度の知識や経験として「経営経験を有している」「同業種での実務経験などを有している」「創業・承継に関する研修などを受講した」など、いずれかの資格要件が求められます。

後継者承継支援~経営者交代タイプ~(Ⅰ型)

経営者交代タイプ(Ⅰ型)の制度設計は、ほぼ前年通り。Ⅱ型に該当する事業再編・事業統合を除く事業承継を契機として経営革新や事業転換を行う中小企業者に対し、その新たな取組に要する経費の一部を補助する制度です。下記では、要件や留意点などのポイントをまとめておきますが、概要は中小企業庁の資料「事業承継補助金1型の概要」を参照してください。

対象者と主な要件

同制度の対象は、下記の3点を満たす中小企業や個人事業主。中小企業の定義は中小企業基本法で定められている中小企業者のほか、特定非営利活動法人も含まれます。

●2015年4月1日から、補助事業期間完了日(最長2018年12月31日)までの間に事業承継(代表者の交代)を行った、または行うこと
●取引関係や雇用によって地域に貢献する中小企業であること
●経営革新や事業転換などで新たな取組を行うこと

●事業承継補助金Ⅰ型「後継者承継支援型(経営者交代タイプ)」の事業イメージ(中小企業庁の資料より抜粋)

経営者の交代とは、会社の場合は「先代経営者の退任および後継者の代表就任など」であり、個人事業者の場合は「先代経営者の廃業・後継者の開業など、後継者による事業の承継」をいいます。後継者については、一定程度の知識や経験として「経営経験を有している」「同業種での実務経験などを有している」「創業・承継に関する研修などを受講した」など、いずれかの資格要件が求められます。

また、「地域に貢献する中小機企業者であること」「経営革新や事業転換に取り組むこと」については、Ⅱ型と同じく認定支援機関(商工会や商工会議所、金融機関、税理士、公認会計士など)により確認を実施、支援を受けることもできます。

補助金額と補助率

経営者交代タイプの補助率と補助金額の上限については下記の通りです。

事業転換(事業や拠点の廃止) 補助率 補助上限額
3分の2(個人事業主を含む小規模企業者) 200万円
2分の1(上記以外の者) 150万円
3分の2(個人事業主を含む小規模企業者) 500万円
2分の1(上記以外の者) 375万円

表からも見て取れるように、規模の小さな事業者に手厚くされており、個人事業主(*1)を含む小規模企業者の事業承継について、補助率が3分の2に設定されています。
(*1)小規模企業者である個人事業主。小規模企業者の定義は、中小企業基本法第2条第5項に規定される従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者

事業転換の有無により上乗せ措置が講じられている点はⅡ型と同様。事業所や既存事業の廃止、または集約を伴う経営革新や事業転換の場合には廃業登記費・解体費といった既存事業の撤退費用として300万円を上乗せした計500万円を上限(個人事業主を含む小規模企業者の場合)に補助金交付を申請できます。

また、経営者の交代、経営革新や事業転換への実際の取り組みについて、いずれも2018年12月31日までの補助事業期間終了日までに行う必要があります。

スケジュール/問い合わせ先など

「事業再編・事業統合支援型~M&Aタイプ~(Ⅱ型)」と「後継者承継支援~経営者交代タイプ~(Ⅰ型)」ともに、スケジュールイメージなどは下記の通りです。7月初旬に公募開始の予定で、実際に経営者交代(Ⅰ型の場合)、実際に経営革新や事業転換を行う補助事業期間が2018年12月末日まで。その後に、確定検査や請求が実施され補助金が交付されるのは2019年となります。

●公募・事業実施のスケジュールイメージ(中小企業庁の資料より抜粋)
●公募から補助金交付までの手続きの流れ(中小企業庁の資料より抜粋)

申請窓口・問い合わせ先

平成29年度補正 事業承継補助金事務局
電話番号:03-6264-2670(受付時間:10:00~12:00/13:00~17:00/土日祝日除く)

関連情報や応募書類などの入手については、「事業承継補助金サイト」も参考にしてください。補助金の申請は要件設定などが複雑であることも多く、自社だけで応募を行うことは難しいものです。ポイントは、早めの準備と認定支援機関への相談(積極的に活用)です。申請を検討するなら、今すぐに取りかかることが重要でしょう。(長谷川丈一)