主力4社のモデルが出揃った有機ELテレビ売価40万未満でHDD内蔵のFUNAI
画質&音質に磨きかけたパナ&ソニー

 FUNAIが有機ELテレビ「7010シリーズ」を発表し、7月14日からヤマダ電機で販売を開始したことで、国内主要メーカーの有機ELテレビ2018年モデルが出揃いました。表は各社の65インチ有機ELテレビの比較表です。

 有機ELテレビの特徴といえば、やはり高画質でしょう。液晶テレビのようにバックライトを使用せず、画素自体が自発光する構造のため、特に黒色の締まり感を評価する声が多くなっています。液晶はバックライトをシャッター幕で制御して黒色を表現するため、黒浮き(光の漏れにより黒色が白く浮いたような状態になる)の課題が指摘されています。

 最新のハイエンド液晶テレビは、直下型バックライトやエリア制御技術などでこの課題を大きく払しょくしていますが、自発光の有機ELテレビには最初からこの課題がなく、そこが大きなメリット。その特性は映画鑑賞で特に有効とされており、デジタル一眼レフで撮影した静止画の再生などでも威力を発揮するといわれています。

 しかも、漆黒を再現できることなどからコントラスト比(暗部と明部の差を示す指標)が高いことも特徴といえ、有機ELテレビは一般に1万:1程度といわれます。これは液晶(3000~5000:1程度)の倍以上で、画像の鮮やかさの違いになって現れます。また、約180度といわれる視野角の広さもポイントであり、液晶(176度程度)よりも複数人数での視聴に向いています。

買いやすくなった有機ELテレビ

 これらのメリットが有機ELテレビを、長く次世代テレビの本命と言わしめてきた要因なのですが、これまでの最大のネックは価格でした。100万円を超えるモデルも珍しくはなかったのですが、この課題を大きく払しょくしたことが、2018年モデル全般にいえる特徴でしょう。65インチで50万円前後が主流となってきており、FUNAIにいたっては40万円を切っています(すべて税別)。多くの人にとって、もはや“手の届かない商品”ではなくなりつつあるといえるでしょう。

 その中でも各モデルの売価差が、ずいぶんと大きいことも注目ポイントです。各社とも有機ELパネル自体はLGディスプレイから調達している同等品。にもかかわらず、例えばFUNAIの価格は最高値の東芝の七掛け以下。FUNAIは有機ELテレビメーカーとしては最後発であり、価格が重要な戦略の一つであることは確か。とはいえ、各社の最新フラッグシップモデルの価格がここまで開くというのは、なかなか珍しい状況のようにも感じます。

 東芝の場合は、4社の中で唯一、BS/CS 4Kチューナーを搭載していることが、最高値の要因の一つです。4Kチューナー単体モデルの売価は3万~4万円といわれていますので、その分の価格がアップするのは当然でしょうか。しかも、別売りHDDを接続すれば全録も可能という独自機能も搭載しており、いわば4Kフルスペックの有機ELテレビ。「有機EL+録画」を重視するのであれば有力な選択肢だと思います。

 録画機能についてはFUNAIも看過できません。有機ELテレビで初めてハードディスクを内蔵。容量は1TBで、地デジなら最大128時間を録画できます。全録機能こそ非搭載ですが、「おまかせ録画」機能により好みのジャンルや番組などを自動録画できます。これで40万円を切る売価はかなりの魅力といえるでしょう。有機ELテレビを庶民レベルにまで、一気に引き下げた画期的モデルだと思います。

 一方、録画などの付加機能は持たず、“高画質+高音質の直球勝負”を仕掛けてきたのがパナソニックとソニー。パナソニックは独自のパネル制御技術の進化により実現した、「明るさ感の向上」を評価する声が多いようです。一般に有機ELテレビは、黒再現には強いが、明部の表現力を課題視する声もあります。それに対するパナソニックの回答が2018年モデルといった感じでしょうか。テクニクスのチューンによるサウンドシステムにも高い評価があります。

 対するソニーは大好評だった2017年モデル「A1シリーズ」の流れをくむ高画質プロセッサー「X1 Extreme」や「HDRリマスター」などを、さらにブラッシュアップして搭載。特にコントラスト感に一、層の磨きがかかったことを評価する声が多いようです。またソニーならではの、画面から音が出てくる「アコースティックサーフェイス」を搭載。映像と音との一体感を自然に堪能することが可能です。なお、個人的には2018年中に対応予定とされている、「Googleアシスタントbuilt-in」にも注目しています。Google Homeなどのスマートスピーカーと同等の機能を持つとのこと。テレビの新しい可能性を感じさせてくれそうです。

 各社のフラッグシップモデルの特徴をざっと紹介しましたが、有機ELテレビの最大の特徴である高画質については、メーカー間で再現性に差異があることは確か。その良否はあくまでも個々人の好みや用途、設置場所などによって変わってくるものですから、自身の目でしっかりとチェックすることが重要でしょう。いずれにしてもラインアップが強化された有機ELテレビ市場は、2018年が大きな節目の年となることは確かなようです。(征矢野毅彦)