中小企業等経営強化法とは!?実質2枚の「経営力向上計画」を提出
税制や金融の特例措置の適用が可能

中小企業等経営強化法(2016年7月施行)をご存知でしょうか。同法にもとづく「経営力向上計画」の認定を取得することにより、その計画実行のための減税や金融支援などの特例措置を受けることができます。改めて、その概要を見てみたいと思います。

認定取得で優遇措置

中小企業等経営強化法とは、中小企業や小規模事業者などの「稼ぐ力」の強化を行政が支援することを目的に、2016年7月1日に施行されたものです。事業分野ごとに策定された「事業分野別指針」を踏まえ、中小企業や小規模事業者が「経営力向上計画(人材育成やコスト管理などのマネジメント向上、設備投資といった自社の経営力を向上させるための事業計画)」を作成。経営力向上計画の認定を受けることで、この計画を実行するための支援として、以下のような税制や金融支援の優遇を受けることができます。

税制の特例措置

●固定資産税の特例

中小企業等経営強化法にもとづく経営向上計画の認定取得により適用できる「固定資産税の特例」は、「事業計画に従い取得する新規の機械装置について、3年間は固定資産税を2分の1に軽減する」という制度。2019年3月末までの時限措置ですが、赤字決算の中小企業でも減税効果が得られるメリットがあります。

なお、同制度は2017年度税制改正で対象設備が追加(適用地域などが限定)されるなどが一部改正されています。

また、固定資産税の特例については2018年度税制改正において、中小企業等経営強化法にもとづく特例とは別に、市町村計画に基づく特例が新たに創設されました。それぞれ根拠法が異なるので注意が必要でしょう。

●中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制は2017年度税制で創設されたもの。中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定取得を条件に、「対象設備に対し全額即時償却か税額控除を選択適用できる」ようになります。

税額控除額は7%を基本とし、資本金3000万円以下の企業と個人事業主は10%を控除できます。適用期限は、2019年3月末日までの予定です。

金融支援の優遇措置

税制の軽減以外の特例措置として挙げられるのが、金融支援です。政策金融機関による低利融資、民間金融機関による通常融資とは別枠の信用保証や債務保証などの支援があります。

具体的には、商工中金による低利融資/中小企業信用保険法の特例(別枠の追加保証や保守枠の拡大など)/中小企業投資育成株式会社法の特例/日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット(日本公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合、信用状の発行による債務保証)/中小企業基盤整備機構による債務保証といった資金調達の支援を受けることが可能となります。

 

施行後、約2年が経過しましたが、経営力向上計画の認定件数は2018年5月31日時点で6万157件に達しているとのこと。業種別では、製造業2万8707件/卸・小売業4746件/建設業1万1707件/医療・福祉業3268件のほか、学術研究・専門・技術サービス業や農業・林業、漁業など多岐にわたる業種で認定が取得されています。

2018年7月9日には、中小企業等経営強化法の一部が改正され、「経営力向上計画の対象としてM&A等による再編統合を新たに追加し、税制優遇や法的な許認可の引継ぎ等の支援を構ずる」としており、さらに幅広い事業計画で認定を受けることが可能となりました。

「経営力向上計画」作成の流れ

中小企業等経営強化法による特例措置を受けるには、経営力向上計画の作成が不可欠です。「経営力向上計画を策定しなければならない」と聞くと、面倒で難しそうにも思えますが、実質的には用意された2枚(*1)の申請書を提出すれば済みます。
(*1)旧様式の場合。認定申請様式は新しくなりましたが、事業承継等の取り組み以外の場合、当面は旧様式での申請が可能

●認定申請様式の新バージョン。旧様式よりも提出枚数は増えたが、それでも2枚半程度である

現状の認識や目標、事業分野別指針から選択した取り組みを記載するなど様式もほぼ決まっているので、事業分野別指針を読んだり、関係機関に相談が必要になる場合があるなど手間はかかりますが、計画作成そのものは思っているほど難しくはありません。

経営力向上計画を作成する流れは、下記の通りです。「経営力向上計画策定の手引き(2018年6月1日版)」などを参考にすることで作成は可能ですが、別に工業会証明書や経産局の確認書が必要な場合(税制特例を受ける場合)、関係機関に相談が必要となる場合(金融支援を受ける場合)など、各支援措置で適用の要件があるケースもあるので、認定支援機関に相談するのがよいようです。

●経営力向上計画作成の流れ。「経営力向上計画策定の手引き(2018年6月1日版)」より抜粋

中小企業等経営強化法や経営力向上計画に関する詳細については、中小企業庁ホームページ内の『経営サポート「経営強化法による支援」』を参照してください。経営力向上計画策定の手引きや認定申請様式書、認定事例など必要書類や資料などの情報を入手できます。(長谷川丈一)