新マウントのミラーレスを開発中:ニコンボディのみならず新方式のレンズも開発中
再参入を機にレンズ・シリーズを刷新か!?

 ニコンが「新たなマウント方式のミラーレスカメラ&レンズを開発中」と発表しました。しかも同製品の発表会を8月23日PM1時に開催し、その模様をホームページでライブ配信するとのこと。このニュース、家電IT業界に身を置く者、そして個人的にカメラを愛好する者としても、非常に気になります。

 ニコンもかつてはミラーレスカメラをラインアップしていましたが、2015年以降は新製品を出しておらず、2017年には生産も中止。カメラの世界ブランド「ニコン」はこの先、商品戦略をどうするのだろう? と本気で思っていました。カメラ市場における成長分野は、もはやミラーレスが唯一の砦だからです。スマホに完全に食われてしまったコンパクトデジカメはもちろん、最近では(ミラー式)一眼レフの市場縮小も本格化しています。

 図はCIPA(カメラ映像機器工業会)が発表した2018年の月別出荷推移(国内/以下同)を前年同月比で表したもの。ミラーレスと一眼レフの需要の違いが、一目で明らかになっています。

 しかも、1-5月の累計出荷台数でもミラーレスがついに逆転。20万台強の一眼レフに対して、ミラーレスは24万台以上。2017年までの一眼レフは、伸び率こそ前年割れが続いたものの、出荷総数ではミラーレスを上回っていただけに、2018年はいよいよ主役交代が鮮明となってきました。にもかかわらずニコンは、ミラーレスなしで戦い続けるのだろうか--? そう考えていた人は、自分に限らず非常に多かったことと思います。

新マウント方式のレンズに注目:ニコン

 BCNが発表したミラーレスカメラの2017年シェアによれば、トップはこの市場をけん引し続けるオリンパスで27.7%。以下、キヤノン(21.3%)、ソニー(20.2%)と続いています。

 一眼レフでは2位をキープするニコンが、ミラーレスには消極的だった理由は、「世界的に高いシェアを持ち、豊富な交換レンズ群やアクセサリー類をラインアップする一眼レフ市場を、自ら浸食するような本格的ミラーレスモデルを出せない」からだといわれています。実際、一眼レフでは後発だったオリンパスやソニーは、商品の競争軸をミラーレスにシフト。一眼レフからのユーザー取り込みに成功したことで、シェアを伸ばしたといえます。

 ではニコンと同じように一眼レフ市場に君臨し続けているキヤノンが、ミラーレスでも2位に付けているのは――? その理由は、「商品戦略の変化」でしょう。それまでの一眼レフ一辺倒から、入門機~普及機はミラーレス、中級機以上は一眼レフという戦略にシフト。それにともない、BCNのミラーレス・シェアランキングでも、2016年からトップ3に食い込み始めています。今年は一眼レフのドル箱「KISSシリーズ」でもミラーレスモデルを投入し、さらなるシェア拡大が見込まれています。

 こうした競争環境下で、ミラーレス市場への再参入を発表したニコン。フルサイズセンサー搭載とのことですから、現状ではソニーの独壇場である高級ゾーンで勝負をかけることになります。

 そこで個人的に注目している点は、「新マウントを採用したNIKKORレンズ」です。レンズ交換式カメラにおけるマウント(ボディとレンズの接合部)は、ボディとレンズを制御するための基幹部品。現行の一眼レフ・マウントでもミラーレスの開発は可能でしょうが、やはり基本設計が古く、機能的な限界があるのでしょう。ここを新開発するということは、カメラの可能性を大きく広げることにつながります(※1)。

しかしながら新マウントの採用は、新たなレンズ・シリーズを構築することにもつながるため、メーカーとしては簡単には取り組めない部分でもあります。オリンパスやソニーはミラーレス化を機にマウントも刷新。デジカメとしての能力を大きくアップさせた上で、新たなレンズ・シリーズを構築し、新マウントを採用した魅力的なミラーレス専用レンズを続々と発表していることが、今日の人気の大きな要因です。

 逆にいえばキヤノンのミラーレスは、そこがモノ足りない部分。ミラーレス専用マウントのレンズはまだ種類が少なく、しかも高性能なLレンズ(キヤノン一眼レフ用の高性能レンズ・シリーズ)に匹敵するモデルはありません。アダプターを介せばミラーレスでもLレンズを使用できますが、それではレンズが大きすぎて、ミラーレスのせっかくのコンパクトボディを生かせないと感じます。

 この点をニコンが新マウントの開発で、どう対処するのかが非常に興味深いポイントです。ニコンが開発中のミラーレスは最上位のフルサイズセンサー搭載とのことですから、やはりそれに見合った小型でハイグレードなミラーレス専用レンズと考えるのが妥当でしょう(※2)。

 では、近未来的にはオリンパスやソニー並みの、新たなレンズ・シリーズ化までを計画しているのでしょうか。そうであるならば、ミラーレス市場のシェア競争はまだまだ波乱含み。市場が伸びている時期だけに、ニコン拡大の余地は十分にあるはずです。まずは8月23日の発表会を、じっくりと見させていただきましょう。(征矢野毅彦)

※1)ニコンをはじめ各社は、自社製非ミラーレス用レンズの大半を、アダプターを介してミラーレスカメラへ装着・使用が可能としている。
※2)キヤノンの現行ミラーレスは普及タイプのAPS-Cセンサーを搭載。ただし年内にフルサイズセンサー搭載ミラーレスを発表との情報もある。