ジアイーノに小型モデルが登場/パナソニック除菌成分「次亜塩素酸」とは何か?
一般の空気清浄機やナノイーとの違いは?

 パナソニックが次亜塩素酸空間除菌脱臭機「ジアイーノ」のニューモデル“F-MV1000”を発表。9月20日から発売を開始します(市場想定価格は税別8万円前後)。今回のニューモデルは適用面積の目安が8畳(13㎡)までというコンパクトサイズ。主に寝室や子ども部屋、在宅介護の個室などに適したモデルとなっています。

 パナソニックは独自の次亜塩素酸生成技術を用いた同シリーズを、2017年から家庭用「空間清浄機」として大きくプッシュしていますが、もともとは業務用の機器として開発したもの。1980年代に登場したカップ式自販機用の電解除菌装置がスタートですから、すでに30年以上にわたって培ってきている技術です。

 2006年には業務用の空間清浄システムを発売開始し、多数の医療機関や介護施設、保育園などに納入。2013年に業務用「ジアイーノ」シリーズが誕生し、2017年に満を持して家庭用「ジアイーノ」をデビューさせたという歴史があります。

一般的な空気清浄機とはどう違う?

 そこで疑問となるのは「そもそも次亜塩素酸とは何か?」ということ。これを一言でいえば「各種の菌やウイルス対策に有効な除菌成分」となります。

 次亜塩素酸は古くからプールやほ乳瓶の除菌、野菜の洗浄などに使われており、水道水の浄化処理にも使用されているなど、暮らしに密着した身近な除菌成分といえます。専門家は「次亜塩素酸は適切に使用することで安全かつ高い効果を示す」といい、「除菌以外にも脱臭効果にも優れている」としています。

 パナソニックはこの除菌成分を、水道水と塩タブレットにより機器内で生成する技術を開発。その小型化に成功したことから、家庭用の空間清浄機として今、大攻勢をかけているわけです。

 では、同社が現在でも発売している「一般的な空気清浄機」とはどのように違うのでしょうか。

 パナソニックはジアイーノを「空間除菌脱臭機」と分類しており、一般的な空気清浄機とは明確に区別しています。それはジアイーノが「除菌と脱臭に特化した機器」だからです。一般的な空気清浄機は花粉や煙、ハウスダストなどを集じんし、空気清浄フィルターを通過させて空気を浄化しますが、ジアイーノにはそうした機能はありません。

 その代わりに機器内に吸引した空気を、内部の次亜塩素酸水を含んだ除菌フィルターに通過させることで、空気に含まれた菌やウイルス、ニオイなどを着実に除菌・脱臭します。これは「室内の空気を吸い込んで洗う」という発想。しかも、除菌・脱臭した空気を室内に再放出する際、揮発した次亜塩素酸を同時に放出。室内に付着した菌やウイルスまでを除菌するというダブルの除菌効果を発揮します。

除菌・脱臭技術「ナノイー」との違いは?

 除菌・脱臭の技術としてパナソニックには、微粒子イオンを室内に放出する「ナノイー」もありますが、これとの効果の違いはどうなのでしょうか。一番の違いは「放出だけのナノイー」に対して、ジアイーノは「放出と吸引を同時に行う」ということ。これが除菌・脱臭の効果に要する時間の違いなどとなって現れます。

 一般論でいえば、室内に放出する除菌成分は、安全性をより高めるために濃度を抑える傾向にあり、その分、効果の発揮までに時間を要します。実際、ジアイーノの次亜塩素酸濃度も本体トレー内の10±5PPMに対して、放出分は0.1PPM未満。空気中の塩素ガス環境基準の0.5PPMよりも低い濃度になっています。

 そのためジアイーノが仮に放出機能だけだったとすれば、効果の発揮までに相当数の時間を要することは確かでしょう。しかしながら、吸引と放出のダブル機能を搭載したことで、除菌・脱臭機能の大幅な強化を実現。これにより病院やペットショップ、介護施設や保育所など、菌やニオイの抑制がより切実な課題となっているプロの現場で、非常に注目される存在となったわけです。

 ただしナノイーには、除菌・脱臭以外にも花粉抑制や肌への潤い効果などもあります。しかも、その生成・放出機能は空気清浄機以外にも、エアコンや冷蔵庫、洗濯機や温水洗浄便座、扇風機など各種機器に搭載できることも大きなメリット。その意味でナノイーはより身近で手軽な除菌・脱臭機であり、除菌・脱臭に特化しているジアイーノとは適材適所で使い分けることが最も効果的な使用法といえます。(征矢野毅彦)