大判プリンターのラインアップ拡充/エプソン幅広い用途向け全34モデル投入!
4色機市場でのシェア拡大を狙う

2018年8月28日、エプソンは同社が展開するビジネス向け大判インクジェットプリンター「SureColor(シュアカラー)」シリーズの新製品を発表。ユーザーの業務や用途に合った3シリーズを同年9月11日から順次発売するとしました。これにより、SureColorシリーズはラインアップが大幅に拡充されることになります。

フルラインアップ揃え、多彩なニーズに対応

今回、発表された新シリーズは、いずれも耐水性に優れる水性顔料インクを採用した4色機で全34モデル。大きくは、クラス最小の省スペースを実現した「エントリーシリーズ」、CAD図面やポスターなどの高速印刷を特徴とする「スタンダードシリーズ」、POPやポスターなどの高品質な出力に対応する「ハイパフォーマンスシリーズ」の3カテゴリーとなっています。

エントリーシリーズ

●エントリーシリーズの代表モデル「SC-T3150」。A1プラスサイズ対応ながら省スペースを実現

エントリーシリーズ(SC-T3150/SC-T5150シリーズ)の特徴は、小型軽量設計が実現されていることです。その省スペース性はかなりのもので、例えばA1プラスサイズ対応の「SC-T3150」は、W970×D505×H230mmで設置面積は約0.49㎡、本体重量は約27kgとクラス最小(*1)。本体をデスクトップ上に設置して使うことも可能なため、スタンド付属モデルの他に、スタンドなしのモデル(SC-T3150N)も用意されています。
(*1)エプソン調べ。2018年8月。日本国内販売中のA1サイズ大判プリンター製品のプリンター本体占有面積(W×D)の比較による

 さらに、オートシートフィーダーを搭載しており、単票(カット)紙とロール紙をセットしたままで、自動切り替えにより印刷できます。普通紙を約50枚セットできるので、例えばA4やA3サイズを給紙してくことで、図面やPOP、ポスターから通常のビジネス文書まで幅広い印刷物を効率的に作成することが可能です。

●ロール紙と単票紙の同時セットしたまま自動切り替えが可能なオートシードフィーダー機能(エプソン発表会資料より)

スタンドを使わずに設置した場合、気になるのが印刷物の落下。大判プリンターではスタンド付属のラックで排出された印刷物を受けるタイプが多いですが、新モデルでは用紙落下防止保持機能を搭載しており、大判印刷時にも用紙が床に落ちることはないそうです。

この他、用途に応じたインクカートリッジサイズなど、SOHOや個人事務所などでの活用を想定した特徴を備えています(主な特徴は下記画像を参照)。

●エントリーシリーズの主な特徴(エプソン発表会資料より)

スタンダードシリーズ

●スタンダードシリーズのシングルロールモデル「SC-T5450」

スタンダードシリーズ(SC-T3450/SC-T5450シリーズ)の基本コンセプトは、やや規模の大きいオフィスで複数ユーザーが活用することを想定した性能や機能が実現されていること。「待たせない高速プリント」「誰でも使える操作性」「大容量ロール紙」といった特徴を備えています。

印刷速度は、A1サイズCAD図面を約22秒(「SC-T5450」の場合)で出力できるスペックを実現。ロール交換の手間を削減する「最大φ170mm径のロール紙対応」、ポスター印刷時の後加工の手間を軽減する「フチなし印刷」、離れた場所からでもプリンターの状態を確認できる「大型警告灯」、プリンターの備品や小物をしまっておける「収納ボックス」など、複数人でも快適に使えるようになっています。

●スタンダードシリーズの主な特徴(エプソン発表会資料より)

ハイパフォーマンスシリーズ

●ハイパフォーマンスシリーズの44インチ機「SC-T7255」。シングルロールタイプやダブルロールタイプなど数モデルが揃う

ハイパフォーマンスシリーズ(SC-T3255/SC-T5255/SC-T7255シリーズ)は、基本的に現行モデルのマイナーチェンジとなっています。現行のSC-Tシリーズとの互換性を維持しながら、豊富な機能やオプションに対応。

印刷用途に合わせて切り替えできる2種類のブラックインク(フォトブラック/マットブラック)を搭載し、CAD図面からPOPやポスターまで幅広い用途での高品位出力を実現。また、ロール紙を2本同時にセットできるダブルロールモデル、手書きや修正したCAD図面のデジタル化などに適した大判複合機など幅広いラインアップが用意されています。

●ハイパフォーマンスシリーズの主な特徴(エプソン発表会資料より)

ボリュームゾーンの4色機でシェア拡大へ

エプソンが大判プリンター市場に本格参入したのは、現行のSureColor-Tシリーズを投入した2012年のこと。2014年には、ダブルロールモデルや複合機を追加することでラインアップを拡充しました。

しかし、「多色機は一定のシェアを保持しているが、市場で台数構成比が高い4色機ではシェアが低い」といい、この大きな要因として「ボリュームゾーンの4色機でラインアップが不足している」ことを挙げています。

こうした背景から、4色機市場向けの新商品を投入してシェアを広げていくこと狙いとして、今回のラインアップの大幅拡充となったわけです。

特に、エントリーとスタンダードシリーズは新規カテゴリーとして追加されたもの。同社では、ユーザーが抱える課題を「普及帯として低価格モデルが用意されていない」「SOHOクラスでは既存モデルは設置スペースが大きい」「使い勝手がよくない(操作が難しい/使い方がわからない/思い通りに印刷できない等)」などと分析。これを解決する商品として、エントリーとスタンダードシリーズを位置付けています。

新ラインアップで個人的に注目したのは、エントリーシリーズのSC-T3150N。都内で開催された発表会で実機を見た際、「大判プリンターとしてはずいぶんとコンパクトだな」という印象を受けました。また、事務机に設置されていましたが、大判プリンターはスタンドが必須と認識していただけに何か不思議な感じもしました。

●デスクトップ設置された「SC-T3150N」。新製品発表会の会場にて

店舗などを中心に、大判プリンターへの需要は高まっています。しかし、従来の大判プリンターでは設置スペースがとられるため、簡単には導入できない課題がありました。そこに登場したSC-T3150は、スタンド不要のコンパクトさやオートシードフィーダーによる幅広い用紙サイズ対応など、これまでスペース的な理由で大判プリンターを敬遠してきたSOHOや小規模事業者に注目されるのではないでしょうか。同モデルも含めて、エプソンの新しいラインアップが市場でどう評価されるのか――その反応が楽しみです。(長谷川丈一)