疑問を解決! 賢く選択!! 賢く活用!!ヒトに聞けない基礎知識「Q&A」:PART2 ビジネスプリンター

概要

PART2 ビジネスプリンター

Q.ビジネスプリンターの種類は?

A.単機能プリンター(シングル機)や複合機プリンター、ページプリンター、PostScriptプリンターといったように機能や印刷動作などの着目ポイントにより、さまざまにカテゴライズされているが、最も特徴が表れる分類が印刷方式によるもの(表1)。大きなくくりでは、「電子写真方式(レーザー/LED)」「インクジェット方式」「ドットインパクトプリンター」「昇華型プリンター」などがある。概要は、表1を参照してほしい。

 ビジネスでは、現在も電子写真方式が主流であることは変わらないが、需要が急拡大しているのがビジネスインクジェット機だ。性能や機能などが大きく進化すると共にラインアップも充実し、存在感が増している。

■表1 印刷方式の違いによるビジネスプリンターの種類と概要

種類 基本的な仕組みと特徴
電子写真方式 プリントヘッドにレーザーや発光ダイオード(LED)を採用したタイプ。帯電した感光ドラムにレーザーやLEDの光を当てて像を形成し、ドラムに付着させたトナーを用紙に転写して印刷する仕組み。業務向けのビジネスプリンターで主流の方式である。
ビジネス
インクジェット
圧力や熱を加えることで微粒子化したインクを、プリントヘッドから用紙にダイレクト噴射して印刷する仕組み。業務向けに生産性や耐久性が強化されており、コンシューマー機と区別してビジネスインクジェットと呼ばれる。
ドットインパクト 縦横に並んだピンが搭載されたプリントヘッドをインクリボンに叩き付けて、その圧力で用紙に印刷する仕組み。複写用紙(カーボン紙)への印字が必要な伝票など、一部の業務用途で限定的に使われている。
昇華型 インクリボンやフィルムに塗られた固形インクに熱を加えて気化(昇華)させ、それをプリントヘッドにより用紙に吹き付けて印刷する仕組み。気化させるインク量により濃淡の階調表現が可能だが、印刷コストが高い。

Q.レーザー方式とLED方式は違うものなの?

A.電子写真方式では、帯電した感光ドラムに光を当て(露光)て文字や図などの像を形成。さらに付着させたトナーを用紙に転写して定着させることで印刷を行う。レーザーもLEDも仕組みは同じだが、光源パーツ(プリントヘッド)が異なる。

 レーザー方式では、プリントヘッドにレーザーが使われる。1つのレーザー光をポリゴンミラーで拡散して露光するため細かい描画と印刷の速さが特徴だが、ヘッドが大きくなる。

 これに対して、LED方式ではプリントヘッドに発光ダイオード(LED)が採用されている。感光ドラムの横幅と同じ長さで一列に並んだLEDにより露光が行われるので、用紙の端までシャープな描画が可能。レーザーよりもスポット径が小さく、印字が高精細である。

 また、複数の発光点による露光で印刷が速く、設計がシンプルなので小型化しやすいなど利点は多いが、発光という特性から劣化による色ムラの発生などが指摘されている。

Q.ビジネスインクジェット機のメリットは?

A.業務向けに生産性や耐久性が追求されているが、ビジネスインクジェットも基本的な印刷の仕組みは通常のインクジェット方式と同じだ。このため、インクジェットのメリットをそのまま継承しており、電子写真方式に比べて印刷コストや電気代が安い。

 特に、印刷コストは後述の「インクの種類」でも述べているように、インクタンク機などの登場により、圧倒的な低印刷コストが実現されている。機種によっては、カラー/モノクロとも1枚あたり1円以下という安さだ。

 また、フォト専用紙などへ印刷した際の鮮やかな発色は、インクジェットの魅力。ビジュアル印刷用に染料系とモノクロの文書印刷用に顔料系ブラックを併載した、ハイブリッドのインクシステムを採用したビジネス向けモデルもある。

Q.インクには、いくつか種類があると聞いたけど?

A.これまではビジネスインクジェットでもカートリッジタイプが一般的だったが、「インクタンク」や「インクパック」などが追加された。
 インクタンクとは、機器に搭載された大容量タンクにインクボトルからインクを充填する方式。エプソンの「ecotank」やキヤノンの「Gシリーズ」が代表例で、インクボトルが機器購入時に同梱されている。初期コストは高くなるが、ランニングコストやインク交換の手間を大幅に削減できることがメリットだ。

 また、ブラザーはカートリッジ式の大容量インクシステム「ファーストタンク」を発表した。

 インクパックは、エプソンが展開している方式で袋状のパック容器を本体にセットする。本体サイズを小型化できるといった利点がある。

Q.ビジネスプリンターのTCOとは?

A.TCOとは、トータル・コスト・オブ・オーナーシップの略で総所有コストを意味する。ITシステムの導入や運用、廃棄、人件費などの総費用のことで、これを抑制することが効果的なコスト削減につながる。

 もともとはコンピューターシステムについて使われていたが、さまざまなオフィス機器でも使われるようになり、ランニングコストや保守の占める比率が大きいビジネスプリンターでは積極的に導入されている。

 初期費用が安くとも、印刷費が高ければTCOも大きくなるだけに、複合機やプリンターでは日常的な印刷ボリュームから印刷費を加味してトータルコストを考えることが必要だ。

■図 ビジネスプリンターのTCOの考え方

Q.機器の生産性を知るには連続印刷のスペックだけを見ればよい?

A.ページ数の多い資料のプリントでは、連続印刷スピードは重要なスペックである。だが、業務では1~2枚程度の文書を印刷する機会も多い。

 この場合に、見るべきポイントはファーストプリントタイムだ。ジョブ指示から1枚目の出力までにかかる時間のことで、少数枚プリント時の生産性を知ることができる。もちろん、時間が速いほど快適だ。

 さらに、電子写真方式ではリカバリータイム(*1)もチェックしたい。これはスリープなどの節電状態から印刷可能な状態に復帰するために必要な時間のこと。機器が節電モードとなっている場合、1枚目の出力にかかる時間はファーストプリントタイムとリカバリータイムの合計時間となり、これが短いほど生産性は高い。

 複写についても考え方は同じ。連続複写速度だけでなく、ファーストコピータイムやリカバリータイムを考慮することがポイントだ。

Q.機械占有サイズとは?

A.機器本体の給紙・排紙トレイや手差しトレイなどを広げて実際に使用する状態で計測したもの、あるいはオプション類を取り付けた場合の機器サイズのこと。設置面積はフットプリントともいう。

 カタログなどに記載された「外形サイズ」はトレイ類を収納した大きさを示すのが一般的で、これを参考に設置すると使い勝手が悪くなることがある。実際に使うシーンを想定できる機械占有サイズから、複合機やプリンターの設置場所を検討したい。メンテナンススペースを含むサイズ表記が掲載されている場合、それも参考にするとよいだろう。

Q.ドラムは交換しなければいけないもの?

A.長く複合機やプリンターを使っていると、液晶パネルに「ドラムを交換してください」とメッセージが表示される。トナーは粉がなくなるため交換しなければならないと理解できても、ドラムは交換が必要なのかという疑問が少なくない。

 そもそも、ドラムとは感光ドラムやドラムカートリッジともいい、電子写真方式の複合機やプリンターでトナーを印刷用紙に転写するパーツのこと。トナーと同じく消耗品で、使い続けると劣化により印刷品質が低下する。このため、定期的に交換が必要となるわけだ。

 ドラムとトナーの構成方式には2通りある。両部品が一体型となったカートリッジ方式では、トナー交換時にドラムも一緒に新しくなるため交換の負担が少なく、常に印刷品質を保てる。

 一方、分離型タイプのトナー/ドラム方式では、それぞれを個別に交換する必要はあるが、ムダなく使い切れるのでコスト削減につながることがメリットだ。

Q.保守パックの仕組みは、どうなっている?

A.最近の複合機やプリンターは堅牢とはいえ、機器である以上は不具合や経年劣化による故障の可能性はある。

 そこで必要となるのが保守パックだ。3年や5年といった年単位での契約が主流で、この間に故障や不具合が発生した場合、修理対応や修理中の代替機器の提供などが行われる。

 ただし、注意したいのは内容。保守は故障修理からヒーターユニットや定着ユニット、転写ユニットといった部品の定期交換までさまざまだが、部品代や交換作業費、出張費などがどこまでパックに含まれているかを確認したい。せっかく保守パックを購入しても、追加料金が発生してはTCOが悪化してしまうからだ。

 また、OKIデータのように、故障や定期交換部品について購入から5年間無償サービスを提供しているメーカーもある。

(*1)カタログによってはウォームアップタイム(スリープから)などと記載