疑問を解決! 賢く選択!! 賢く活用!!ヒトに聞けない基礎知識「Q&A」:PART3 Wi-Fi

概要

PART3 Wi-Fi

Q.無線LANとWi-Fiは同じもの?

A.基本的には、同じと理解して差し支えない。厳密にいえば、Wi-Fiは無線LANという大きなくくりの中にある1つの規格のことだ。

 かつて、異なるメーカーの機器間では無線LANの接続ができなかった時代に業界団体(Wi-Fi Alliance)が設立され、無線LANの相互接続方式としてIEEE802.11が策定された。これがWi-Fi規格とよばれ、同規格に準拠した製品により無線LANが普及した背景から、今では無線LANとWi-Fiは同義として認識されている。

Q.ホーム用とビジネス用の違いは?

A.いずれもWi-Fiに準拠している製品は帯域や通信方式などは同じであり、主な相違点は表1にまとめた通りだ。

 上位モデルも含めて、ホーム用ではルーター(複数の端末を同時にネットワークに接続する)機能が内蔵されており、アクセスポイントとの一体型が一般的。このため、Wi-Fiルーターと呼ばれることも多い。

 家庭での使用を前提とした設計や機能が特徴だが、特に上位モデルは機器としての性能も高く、マンションやビルの一室を事務所としている小規模事業者やSOHOであれば、問題なく使えるスペックを備えている。

 一方、法人用はルーター機能を備えていないタイプがほとんどのため、Wi-Fiアクセスポイントと呼ばれる。多人数による同時接続を前提に、高性能CPUや処理負担を平準化する機能などによる通信品質の安定、信頼性や耐久性を最優先に設計されている。

 高性能モデルともなれば、最大同時接続台数は100台を超える。屋外や厳しい環境向けなどに、防水/防じん設計や腐食に強い内部基盤を採用した用途特化型モデルが揃うのも法人用の特徴だ。この他、複数台のアクセスポイントを一括管理できる拡張性や機能を持ち、使用環境に合わせて最適に活用できるように設定オプションなども充実する。

■表1 コンシューマー用と法人用の主な違い

コンシューマー用(Wi-Fiルーター) 法人用(Wi-Fiアクセスポイント)
同時接続数 10台前後の接続が想定されており、上位モデルでは十数台の接続も可能である。 多人数による同時接続の環境でも、安定した通信品質の確保が可能。学校やホテル向けなどでは、約100台の端末から同時アクセスできるモデルも揃う。
信頼性・耐久性 信頼性は、一般的な電子機器と同等。「ネットフィルタリング」など詐欺やマルウエア配布サイトをブロックスするセキュリティ機能を備えた製品も多い。 高耐久設計に加え、本体を保護するカバーを同梱するモデルが多い。腐食に強い内部基盤を採用した屋外向けモデルなども揃う。さらに、ネットリスクに対するセキュリティ機能も充実している。
拡張性 基本は1台設置が想定されているため、複数台を設置する場合は設定変更や管理が煩雑である。 複数台を一括管理する機能の標準搭載や専用ソフトが用意されている。
機能 ルーター機能が搭載されており、モードを切り替えることでアクセスポイントとしても活用が可能。設定の簡単さも追及されている。 基本的にルーター機能は非搭載。VLANやVPNなどの多彩な設定オプション、さまざまな管理機能、PoE給電などを備える。
設置 基本的に、ユーザー自身が設置や設定して導入する。 規模にもよるが、ネットワーク環境調査や工事、設置・設定は専門業者に依頼する。

Q.規格の種類は?

A.これまでWi-Fiでは数種類の規格が策定されており、現段階での主なものは表2の通りである。最新規格として普及しているのは11acまで。次世代規格の「IEEE802.11ax」や10m前後の近距離通信用途が想定された「IEEE802.11ad(最大7Gbps/60GHz帯/2009年策定)」などもあるが、対応製品はほとんどない。

 各規格の大きな違いは新しい規格ほど伝送スピードが速いことと、使用周波数帯により特性があること。具体的には、2.4GHzは障害物に強く遠距離まで電波は届くが、電子レンジなどの家電やBluetooth搭載の電子機器など同じ周波数帯を使う機器に近いと影響を受けて通信速度が不安定となりやすい。これに対して、5GHzは他の電子機器からの電波干渉を受けにくいが、壁などの障害物に弱いといった特徴がある。

 Wi-Fi製品は単独で一つの規格だけに対応しているわけではなく、下位規格もサポートしている。このため、現在は11ac対応のWi-Fiルーターやアクセスポイントを導入すれば、複数の規格が混在する端末環境でも困ることはない。

■表2 Wi-Fi規格の種類と概要

規格 概要
IEEE802.11ax 伝送速度:最大9.6Gbps/周波数帯域:2.4GHz帯・5GHz帯。標準化に向けて策定中。理論上、11acの約1.5倍の高速化や、多数のユーザーが同時に接続するような環境で平均通信スピードを低下させないといったことが特徴。高効率無線LANともいう。
EEE802.11ac 伝送速度:最大6.8Gbps/周波数帯:5GHz帯。2014年1月に策定された最新規格。帯域幅の拡大やMIMO(複数のアンテナによりデータを同時通信する技術)の拡張により、従来規格で最も高速の「11n」と比べて理論値で約11.5倍も速い。家電製品などの電波干渉を受けにくく、遠距離や障害物が多くとも、安定した通信環境を確保できる。
IEEE802.11n 伝送速度:最大600Mbps/周波数帯:2.4GHz帯と5GHz帯。2009年9月に策定。チャネルボンディング(2チャンネルを束ねて通信する技術)とMIMOという2つの技術により高速化を実現。2つの周波数帯域を使用できる。
IEEE802.11g 伝送速度:最大54Mbps/周波数帯:2.4GHz帯。2003年6月策定。壁や床などの障害物に強く電波も遠くまで飛ぶが、同一周波数帯を使う家電製品やオフィス機器、Bluetooth搭載端末などの電波干渉を受けやすい。
IEEE802.11b 伝送速度:最大11Mbps/周波数帯:2.4GHz帯。1999年10月に策定。概要は「IEEE802.11g」と同じ。
IEEE802.11a 伝送速度:最大54Mbps/周波数帯:5GHz。1999年10月に策定。オフィス機器や家電製品、Bluetooth搭載端末などとは使う周波数帯が異なるため電波干渉を受けにくいが、壁や床などの障害物に弱い。

※伝送速度は理論値における最大値。実効速度はここまで到達しない

Q.カタログやパッケージに表記されているストリーム数とは?

A.ストリームとは電波が通る道(通信経路)のことだが、端的にいえば搭載されているアンテナ数のこと。「4×4」や「2×2」と表記され、「送信アンテナ数×受信アンテナ数」を意味している。例えば、4×4は4つのアンテナで送信し4つのアンテナで受信することで、これを4ストリームという。

 送受信の双方で複数のストリームを束ねて、通信を高速化(MIMO技術)しているため、基本的にアンテナ数が多いほど通信速度が速い(表3)。同じ規格に対応していても製品ごとにスピードが異なるのは、搭載されたストリーム数に違いがあるからだ。

 なお、通信速度はストリーム数が少ない方に制限される。例えば、Wi-Fiの親機が2ストリームで端末側が4ストリームの場合は、2ストリームでの通信となる。

■表3 IEEE802.11acのストリーム数と通信速度の関係

ストリーム数 最大通信速度(理論値)
1×1 433Mbps
2×2 867Mbps(866Mbpsの表記も)
3×3 1300Mbps
4×4 1733Mbps(1734Mbpsの表記も)

Q.スペックより速度が遅かったり通信が安定しない理由は?

A.カタログなどに表記された伝送速度は規格上の理論値であり、実際にはさまざまな環境要因により、スペック通りのスピードが出ることはない。さらに、通信経路は接続された端末で分け合うため、アクセスが集中して回線が混雑すれば速度が低下したり通信が安定しなくなる。

 これは、道路で車両が増えれば渋滞し、車線変更により車の流れが常に変化することをイメージすれば理解しやすいだろう。

Q.最近、IPv6という単語をよく聞くがWi-Fiと関係あるの?

A.Wi-Fiルーターに関係するポイントである。IPv6(IPv6 IPoE方式)とは、「インターネット・プロトコル(送受信の手順を定めた規格)・バージョン6」の略称でインターネット通信の接続方式の最新規格だ。

 これまでの主流はIPv4(IPv4 PPPoE方式)だった。だが、PCやスマートフォン、タブレット、IT家電などネットワークに接続される端末が膨大になり、IPアドレス(ネットワーク上での機器識別番号)が枯渇。

 道路に例えると常に渋滞しているようなイメージであり、通信方式として飽和状態にある。このため、通信機器の性能向上では対応できず限界が来ている。

 そこで登場したのがIPv6だ。通信経路が広く、本格普及がこれからなので接続端末数も少ない。車線数の多い高速道路をデータが流れるようなものなので、通信も速く品質も安定する。

 これまでWi-Fiルーターの進化といえば、無線に関する新規格への対応、性能や機能の向上が中心だった。IPv6はインターネットの根幹となる有線側通信経路の進化であり、Wi-Fi機器にとっても大きな変化というわけだ。

 IPv6化は自然な流れ。Wi-Fiの導入や買い替えではIPv6対応モデルを選んでおけば間違いないだろう。

 なお、IPv6による通信を実現するにはWi-Fiルーターだけでなく、回線サービスなども対応が必要となる。

Q.IPv4対応端末は、IPv6対応のWi-Fiルーターでは通信できない?

A.確かに、IPv6とIPv4では互換性がないため、IPv4端末をIPv6環境で使うことはできない。だが、Wi-Fiルーターが「IPv4 over IPv6」通信方式に対応していれば通信が可能なので、この点を確認したい。

Q.Wi-Fiルーターの買い替えのタイミングは?

A.常に快適な無線環境を実現したい場合、2年間といわれている。これはスマートフォンの買い替えサイクルを基準としたもの。スマートフォンやタブレットの技術進化は速く、その性能を最大限に活用するには最新のWi-Fi機器が必要というわけだ。

 少なくとも、この5~6年間でWi-Fiルーターを買い替えていないのであれば、ぜひともリプレイスを勧めたい。最新モデルと以前の機種では設計思想が根本的に変化していることが理由である。

 PCだけでなく、スマートフォンやタブレット、IT家電など、Wi-Fiルーターに接続される端末が、ここ数年で急増。コンテンツデータの大容量化も進んでおり、通信負荷が急速に大きくなっている。

 古い機種では、こうした接続環境が想定されていないため、通信パフォーマンスを最大限に発揮できない。快適性を高めるには、多台数同時接続などを前提に開発された最新モデルが適している。