中小企業の“IT最新化”を支援/マイクロソフト中小企業のEOS認知率はまだ約6割
移行の後押しで経営の“悩み”を解決

2018年10月17日、日本マイクロソフトは「最新クラウド環境への移行」をテーマに記者説明会を開催。Windows 7とOffice 2010のサポート終了を控え、Microsoft 365をはじめとした同社クラウドサービスへの移行状況や移行支援への取り組みについて語りました。その模様をレポートします。

中小企業のEOS認知率は57%

記者説明会では、日本マイクロソフトの業務執行役員 Microsoft 365 ビジネス本部長である三上智子氏が登壇。同社が以前から掲げるキーワード「ITの最新化」について言及しました。

ITの最新化とはITモダナイゼーションともいい、古くなった情報システムを近代化する開発手法のこと。IT業界では2008年前後から使われ始めた言葉ですが、一般的に浸透したのは2015年頃からです。マイクロソフトでは、2020年にWindows 7(1月14日)とOffice 2010(10月13日)の延長サポート終了(EOS)を契機に、IT最新化の一環として同社が提供するMicrosoft 365やOffice 365への移行を積極的に進めています。

EOSの2年前という早いタイミングから移行を推進している理由は、Windows XPのサポート終了時に移行が集中した経験からです。「お客様から予算化や検証に時間がかかるのでもっと早くEOSを告知してほしかったとのフィードバックが多く寄せられた」(三上本部長)とのこと。今回、「これらの声を踏まえ、早い段階からEOSの周知徹底を行うと共に、中小企業が抱えるさまざまな課題解決の支援に取り組みたい」というわけです。

●日本マイクロソフト 業務執行役員 Microsoft 365 ビジネス本部長の三上智子氏
●日本マイクロソフトの執行役員でコンシューマー&デバイス事業本部・デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏も登壇。国内の中堅中小企業のIT環境の現状について解説した

早期の移行促進により、大企業や自治体においてはEOS認知や移行作業への着手、クラウドの活用が進んでいるとのこと。現状として、大企業で「Windows 10移行に向けた活動を開始した割合95%(*1)」「マイクロソフトのクラウドを利用している日本の主要企業の割合92%(*2)」、自治体で「県におけるWindows 7サポート終了時期の認知97%(*3)」「市、特別区におけるWindows 7サポート終了時期の認知95%(*4)」というデータを示しました。
(*1)楽天インサイト2018年9月
(*2)日経225銘柄の企業がOffice 365/Azure/Dynamics 365のいずれかを利用
(*3/*4)時事通信社:地方行財政調査会実施の調査を元に作成(2018年8月)

しかし、「中小企業に対してはもっと認知活動を積極的に推進することが必要」と三上本部長。その根拠として、「中小企業におけるWindows 7サポート終了時期の認知は57%(*5)」「中小企業のうちグループウェアを活用出来ている企業は12%」という現状を示しました。
(*5)楽天インサイト2018年9月

また、中小企業のクラウド利用の状況について地域格差が大きいとのこと。東京の活用状況に対して、地方ではその半分以下しか使われていなと指摘しています。さらに、アジア圏においても、働く環境のデジタル化への取り組みで日本企業は諸外国から大きく遅れていると指摘しました。

●マイクロソフトがアジア14カ国で実施した2020年に向けた仕事環境の調査「The Microsoft Asia Workplace 2020 Study」より

クラウドへの移行推進の理由

マイクロソフトがMicrosoft 365やOffice 365などのクラウド環境や最新デバイスを勧める背景には、前述したようなEOSの問題もありますが、中小企業が直面している人材不足や売上拡大、セキュリティなどの課題を解決できるといった理由が挙げられています。

「Windows 10とOffice 365の組み合わせは、PCとスマートフォンのシームレス連携やコミュニケーションツール『Microsoft Teams』による新しいコラボレーション環境などのさまざまな機能を、エンタープライズグレードの安全なIT環境で実現する」といい、「こうした機能を最大限に発揮するには最新デバイスが最適」としています。

●Microsoft 365やOffice 365では、利用者が急増しているコミュニケーションツール「Microsoft Teams」を活用できる
●AIによりOfficeの機能も便利に進化している

確かに、従来であれば高価なシステムを導入しなければならなかった先進的な機能をクラウドベースのアプリケーションとPCだけで簡単に実現できることは新しい技術導入のハードルを大きく下げたともいえます。しかもクラウドベースなので機能は日々進化しており、追加投資も抑えられます。「経営資源が限られた中小企業にこそ最適」との主張も納得できるでしょう。

以前、日本マイクロソフトの平野拓也社長が「これまでのIT最新化といえばPCを新しいものに変えるといった機器やバージョンの更新に過ぎなかったが、これからは新しい技術により業務の効率化、生産性や創造性の向上などビジネス変革を実現すること」と語っていましたが、まさにその通りだと思います。

三上本部長も、「EOSをきっかけに、ぜひ最新のOSやOffice、最新のデバイスを使ってほしい」といい、「中小企業のOS移行ではデバイスを買い替えるケースが多く、その際にはOfficeの買い替えを検討するケースが多い。Microsoft 365やOffice 365のクラウドサービスを選択肢に入れてほしい」と改めて強調しました。

中小企業向け施策を続々と展開

中小企業でのクラウド活用などを促すため、日本マイクロソフトはこれまでも助成金・補助金取得支援事業「Jマッチ(運営:ライトアップ)」と連携した経営支援サービスなど、さまざまな施策を講じていますが、さらなる後押しを目的に「早期導入企業向けキャッシュバックキャンペーン」や「全国10都市キャラバンwith『中小企業お助け隊』」といった新たな取り組みを発表しました。

●200社限定の「キャッシュバックキャンペーン」

中小企業お助け隊は、11月から12月にかけて全国10都市(札幌/仙台/金沢/香川/熊本など)で「クラウド活用による経営力強化セミナー」などを開催します。中小企業が抱えるビジネス課題の解決を支援するとしました。

記者発表会には、中小企業お助け隊の公式アンバサダーであるタレントの稲村亜美さんも出席。三上本部長から稲村さんへアンバサダー任命状の授与が行われました。また、稲村さんといえば、「神スイング」で有名。説明会の会場でも美しいバッティングフォームからのフルスイングを披露しました。

●三上本部長(左)から稲村さん(右)へアンバサダー任命状の授与が行われた。
●会場で“神スイング”を披露する稲村さん

説明会の最後、中小企業お助け隊をはじめとしたさまざまな支援策により、2020年のサポート終了時までに、「Windows 10の使用率を9割、Office 365の契約数を現在の10倍に増やしたい」(三上本部長)と以前から掲げている目標を改めて強調しました。(長谷川丈一)

●全国10カ所で展開される「クラウド活用による経営力強化セミナー」をアピール。左から梅田氏、稲村さん、三上氏