業務用掃除ロボットを発表/ソフトバンク3時間で500坪のパワフルな掃除能力
ヒトの掃除作業を支援する「ウィズ」

 ソフトバンクロボティクスは、ペッパーに続く第2弾のロボット「Whiz(ウィズ)」を披露。2019年3月からレンタルでの提供を開始すると発表しました。

 ウィズはオフィスや業務フロア向けの「バキューム清掃ロボット」。ペッパーとの比較では、より実務型で、用途を明確化したロボットです。レンタルプランは月額2万5000円で5年契約。消耗品等のぞいたメンテナンス代込みの設定です。

 掃除ロボットといえば今時珍しくはありませんが、ウィズは完全業務用。重量は32kgとヘビーですが、その清掃能力は1時間で約500㎡。最大駆動時間は約3時間なので、1充電当たり1500㎡を掃除可能なプロ仕様のモデルです。1500㎡といえば、一昔前の郊外型量販店の平均売り場サイズ。その清掃能力は他を寄せ付けないものといえます。

 実際、ソフトバンクロボティクスの冨澤文秀代表取締役は「家庭用の掃除ロボットでは1充電でこれだけの面積を掃除することは不可能。たとえできたとしても、紙パックが小さすぎて集めたゴミをためることができない」といい、「現状の業務用市場では競合モデルはない」と自信をのぞかせていました。

ヒトの清掃作業を支援するロボット

 ソフトバンクロボティクスがウィズの主なターゲットとしているのは「清掃会社」と「テナント企業」の二つ。その中で特に印象的だったことは、ウィズを“ヒトにとって代わる”掃除ロボットとしては位置付けておらず、ヒトの作業を支援するロボットと位置付けていることです。

 例えば清掃会社の場合、従来は「3名・1回3時間×週5回」の掃除作業(床清掃・ゴミ捨て・トイレ掃除等)を、床掃除だけをウィズに任せることにより、「2名・1回3時間×週5回」に短縮可能とのこと。

 同様に掃除全般を業者委託していたテナント企業についても、現状の「1名・1回3時間×週5回」の委託掃除作業(同前)を、床清掃のみウィズによる自社清掃シフトすることで「1名・2時間×週5回」に抑制できるとしています。ヒトの作業が減った分、費用がカットでき、その中からウィズの月額レンタル料を支払っても、なお剰余金が残るという計算です。

 両者に共通することは、ウィズはヒトに代わって掃除を全面的に請け負うのではなく、清掃作業の一部を肩代わりするのみということ。あくませも、ヒトとロボットの共存を目指す戦略です。

 これは二つの面で、理にかなった戦略といえるでしょう。

 まず一つは、今後ますますの減少が予測されている清掃作業員について、ウィズはその代替要員としての位置付けであること。清掃業界の人出不足や高齢化はかなりの深刻な状態にあり、厚労省の調査では清掃業界の有効求人倍率は2.1倍にも達しているとのこと。全業界平均が1.35倍ですから、相当深刻な状態。ウィズでその深刻さを抑制しようというわけです。

 また、企業のマネジメント層は、ヒトの作業を代替するロボットの導入に、非常にナーバスになっていることも、ウィズの戦略を効果的と感じるもう一つの要因です。これは大手になるほど顕著な傾向ですが、ロボットの導入は今働いてるヒトの職を奪うのではないという姿勢を明確にするためです。

 先日も某大手鉄鋼メーカーを取材しました、あるソリューションの導入に際して、本来は完全フルオートにすることも可能でありながら、あえてヒトの作業余地を残した開発を実践。ヒトとソリューションとが共存できるシステムにしたと話していました。大企業はこうしたナーバスな状況にあるだけに、ヒトと共存し、ヒトの支援をメインとするロボットは、それだけで導入のハードルが下がると考えられます。

 このあたりはロボット事業で先行する同社ならではの、ヒトに寄り添ったロボットマーケティングといえるかもしれません。そして深刻化する人出不足の問題をクリアする一つの方法として、同社の手法や方向性は今後、ますます重要度が高くなりそうです。(征矢野毅彦)

SBロボティクスの冨澤文秀代表取締役(右)とゲストの河北麻友子さん。