クラウド連携用ツールをプリインストールしたNASを商品化/アイ・オー・データ機器BCP&災害対策、社外でのデータ共有に最適
NASとクラウドのハイブリッド運用を簡単構築

アイ・オー・データ機器は、同社の法人向けネットワーク接続型ハードディスク(NAS)「LAN DISK Zシリーズ」にオンラインストレージサービス用ツールを事前インストールしたモデルを発表。11月下旬から出荷を開始するとしました。働き方改革の環境整備に役立ちそうです。

NTT東日本のオンラインストレージ用ツールに対応

新商品は、Windows storage server搭載の「LAN DISK Zシリーズ」をベースに、NTT東日本が提供しているオンラインストレージサービス「フレッツ・あずけ~る PRO専用ツール」をあらかじめインストールした「HDL-Z2WQD/NEシリーズ」。ラインアップとしては、「HDL-Z2WQ2D/NE(2TBモデル)」と「HDL-Z2WQ4D/NE(4TBモデル)」が用意されています。

●オンラインストレージ用ツールをプレインストールした「HDL-Z2WQD/NEシリーズ」
製品名 HDL-Z2WQD/NE
搭載OS Windows Storage Server 2016 Workgroup Edition
CPU Intel Celeron Processor(1.60GHz Quad Core)
メモリー容量 4GB
バックアップ機能 Windows Server Backup/増分バックアップ/クローン for Windows対応
RAID RAID0/RAID1/マルチディスクモード対応
最大同時接続台数 50台(50台以内を推奨)
ポート LAN:RJ-45×2/USB:USB3.0 Aコネクター×4
外形サイズ W102×D217×H154mm(ゴム足含む/突起部除く)
保証期間 3年保証

利用イメージは下記の通りです。社内に設置したLAN DISK Zに保存されたファイルやデータは、NTT東日本のオンラインストレージサービスのフレッツ・あずけ~る PROに自動でバックアップ(*1)されます。
(*1)「フレッツ・あずけ~る PRO」の利用には申込と利用料が必要。自動バックアップが可能な1ファイルの容量は30GBまで。複数ファイルやフォルダー単位での容量制限はない

また、フレッツ・あずけ~る PROプランではオンラインストレージ内にバックアップ専用の「セキュリティバックアップ領域」と、データ共有のための「オンラインストレージ領域」の2つを用意。用途に適した最適な利用環境により、BCP(事業継続計画)/DR(災害普及)対策と業務効率化の両立を可能としています。

●「HDL-Z2WQD/NEシリーズ」の利用イメージ

推奨されるハイブリッド型による運用

NASは、ファイル共有やデータバックアップ用途に特化したサーバーです。安定した高速データ共有とバックアップ環境を簡単に整えられることや多彩なデータ管理機能が搭載されていることなどがメリットで、中小企業をはじめ多くの事業者において導入が進んでいます。ただし、社外からデータにアクセスするには設定などが面倒であったり、オフィス内に機器が設置されているためBCP用の災害対策としては十分でないといった点が指摘されていました。

最近は、災害に強いことや社内外で簡単に情報共有できることから、クラウド上のオンラインストレージを使ったバックアップやデータ共有環境の構築も増えていますが、その使い勝手はネットワーク環境や回線速度に左右されます。

それぞれメリットとデメリットがあるわけですが、これらを解決するソリューションとして注目されているのが、NASとオンラインストレージサービスを併用したハイブリット型ファイル共有環境です。

社内では安定した高速伝送により快適にファイルのバックアップや共有ができ、NAS内のデータはオンラインストレージに自動バックアップされるので、社外からはオンラインストレージにアクセスすることによりファイル共有が可能です。働き方改革で推奨されている、在宅勤務やサテライトオフィス、モバイルワークといったテレワーク環境の構築に最適といえるでしょう。

仮に、テレワークなど社外からデータを見る用途がなかったとしても、ハイブリッド型の環境は有用です。というのも、NASの運用ではバックアップが欠かせないからです。

この点について、「NASだから大丈夫」と誤解されているケースが多いようです。これは、NASに搭載されているRAIDに起因しているのでしょう。RAIDは複数のディスクを1台のHDDとして運用してデータの冗長性を構築する仕組みのことで、ディスク故障によるデータ消失のリスクを低減し、できるだけ業務を止めないための機能です。

設定した冗長性の範囲を超えたデータ破壊(RAID崩壊)が発生したり、ディスク以外の部品が故障したりした場合には、NASといえども保存されたデータの消失リスクがあります。そうしたリスク対策として、そうした場合でもリカバリーできるバックアップ体制がNASにも求められているわけです。

もっとも手っ取り早いのはNASにUSB経由で外付けHDDを接続することですが、データ自体は同じ場所にあるため、災害対策としては十分とはいえません。オフィスとは離れた場所にNAS内のデータをバックアップできるオンラインストレージが有用なのです。

NASとオンラインストレージの連携は、それほど新しいというわけでもありません。ここ数年で発売されたモデルであれば、NAS自体にオンラインストレージとの連携機能が搭載されています。しかし、その設定には知識が必要であったり手間がかかったりと活用するためには初期設定の工数を要しました。

アイ・オー・データ機器のHDL-Z2WQD/NEシリーズは、オンラインストレージ機能と連携させるためのツールをプリインストールすることで、活用の障壁ともなっていた設定工数の手間を削減したわけです。

今回のモデルはNTT東日本との協業による拡販を目指す戦略商品ともいえますが、今後はさまざまなオンラインストレージ専用ツールがプリインストールされたモデルが登場してくる可能性も考えられるでしょう。この点に限らず、NASは大きく進化しています。Windows Serverについては、2020年1月に「Windows Server 2008/2008 R2」のサポートが終了します。その対策に備えて、ハイブリッド型ファイルバックアップ/共有環境の構築ともどもNASに注目してはいかがでしょうか。(長谷川丈一)