福島敦子のアントレプレナー対談「洗濯革命」をミッションに掲げ
コイランドリーFCを急速拡大中!!

株式会社センカク 西山 由之代表

株式会社センカク(東京都新宿区)

株式会社センカク
●本本店登記地:東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル37階
●事業内容:コインランドリーのFC展開、トランクルーム、マイニング事業
●役員:代表取締役西山由之
●代表者現職:株式会社ナック(東証一部)名誉会長、社団法人日本経済団体連合会幹事、
 西山美術館館長
●代表者経歴:帝京短期大学客員教授、米国スタンフォード大学フーバー研究所客員研究員

「お掃除革命」とは!?

福島家事労働を軽減するという使命感から、これまでダスキンやクリクラなど、さまざまな事業を手掛けてこられました。現在は洗濯革命をミッションに、2016年に株式会社センカクを設立、コインランドリー事業を展開されています。設立の経緯から教えてください。

西山主婦の三大労働は炊事、掃除、洗濯です。そのうちの掃除はダスキンの加盟店として今、年商120億円です。2位が20億ぐらいしかやっていないので、FC2000店の中で断トツです。なぜそうなったかといえば「お掃除革命を起こす」と唱え続けてきたことに尽きます。

では、何をもってお掃除革命というか。それは水を使わずに、掃除をするからです。ダスキンが世の中に出るまでは、お掃除七つ道具という言葉がありました。姉さんかぶりにハタキ、ホーキ、前掛けにバケツ、チリトリにぞうきんです。

これを身に付けて「お掃除を始めましょう」といって、今時の35〜40坪クラスの2階建て住宅を掃除するのに2時間かかったんですよ。

それが、ダスキンが発明されてからは20分で終わる。しかも水を一滴も使わない。バケツもいらない。七つ道具の何もいらない。ダスキンモップ1本あればいい。これを革命といわずして何というのでしょうか。

では、どうやってお掃除革命を消費者に知らしめてきたかというと、テレビ宣伝などもなかった時代でしたから、言葉で伝えるしかない。今60万軒のお客様がいますが、すべて一軒ずつ訪問してきたお客様です。

学生バイトをチーム制で戦力化

福島ダスキンのスタート時は、いろいろとご苦労されたと思います。

西山ダスキンを始めてから今年で50年ですが、スタートは四畳半の事務所でした。当然、そんな会社に人なんかこないので、どうやったらきてもらえるかを考え、学生援護会(インテリジェンスと経営統合し、現在はパーソナルキャリアに商号変更)が発行していたアルバイト雑誌を利用したんです。

その原稿は自分で書きました。当時、学生アルバイトの日当が平均2800円。それを3500円払うと書いたんです。25%高い。それから「男女7歳にして席を同じくせずという言葉があるけれども、我が社は共に働く共学の会社で、席を同じくします」。そして「美人女子は日当が100円高い」。

当時はそういうこと書いても平気だった。何も規制がない。でも、美人か美人でないか、決まりがない。結局は来た人をすべて採用しました。女子11人を含めて全部で70人。四畳半の会社が70人になったら大変な話です。入り切れない。近所の空き地を借用して朝礼です。昔はおおらかでした。

その時に「4年生前へ出ろ。3年生はその後ろに並べ。2年生はその後ろ。1年生は一番後ろ」。4年生が4人いたので4班に分けました。営業第1部、2部、3部、4部です。

そして「営業1部は今日こういうことをやってくれ」「2部はこういうこと」と。商品を工場に借りに行く部門、仕入れに行く部門、名簿を作って事務作業をやる部門、レンタカーを借りる部門……。

福島チーム制ですね。

西山だから辞める人がいない。みんなが面白がって。しかも注文が取れて、取れてどうしようもない。注文を取るっていっても、売ってくるんじゃないんです。

学生諸君にセールスができるわけないので、学生証を持参させました。そして玄関で「○○大学の山田太郎です」と。それだけいえば開けてくれる。「学生さんが、何?」って。その上で初めて「ダスキンです」と名乗らせ、それから「失礼します」といって家に上がれと。タタミをモップで一気に拭かせました。

福島実践しろと。

西山昔は割とおおらかでしたからね。そして掃除したモップをひっくり返して見せる。「いやだ、うちの畳こんなに汚いの? 毎日掃除しているのよ」「これがダスキンのお掃除革命です」。それしかいわせない。

こういう営業方法を発明したのは私です。その後、学生アルバイトを使うことがダスキン全体が当社のマネをして流行りになったのですが、ほとんど成功していません。

なぜかというと、チーム編成ができるほど学生がこない。そしてチーム編成が仮にできても、一体感が何もないんですよ。

うちは部課長会議を開くといって招集し、夜中までどんちゃん騒ぎをやるわけです。会社が金を出すのは一升瓶だけ。あとは女房の実家がすぐ近かったので、お婆ちゃんが「ダンナさんは面白いことをやるね」と、メザシやタクアンを毎日差し入れてくれたんです。

そんなふうに毎晩大宴会で飲みながら、「明日どうしようか」とか「今日は取れたの、取れなかったの」と反省会を開くわけです。それができない、普通の人は。表面だけ真似しているから。

福島そうした一体感がやっぱり加盟店日本一への…

西山成功の秘訣です。

すべて本部任せのFC展開

福島センカクの具体的な事業内容を教えてください。

西山コインランドリーのFC展開です。今2年目ですが、加盟店は252店です。センカクの経営方針は「人手間のかからない仕事」です。

福島人手間のかからない仕事?

西山例えば喫茶店は運ぶ人がいる。コーヒーいれる人もいる。キャッシャーさんも必要。センカクではそういうの、何もいらない。

ヘッドクォーターオフィスに、優秀な高学歴の人を38人集めています。彼らが作ったものが、そのまま投資家の手に渡る。投資家はスタッフを誰も必要としない。店のオープンの時に見にくるだけで、あとほとんど見にきません。

福島あとはもう全部、本部にお任せ。投資さえすればいいと。

西山一式お任せパックというのがあります。このお店はこれぐらいの値段で、これぐらいの利回りがありますよ。それで買ってくれる人がたくさんいるわけです。

福島FCオーナーは、どういう方が多いのでしょうか。

西山中小企業の社長が多いかな。我われのターゲットは4種類あって、自社を二元的な企業に育てていきたいという人たち。それから職業転換をする人、そして定年退職後の老夫婦、退職金でこれを月賦で買おうかとかね。あとは主婦です。今は簡単に経営者になれるのでね。

福島主婦ですか?

西山はい、一般の主婦です。お金はいらないんですよ、加盟金の50万円さえあれば。あとはもうほとんどがリース。月賦で買えるわけです。

福島お客様へのPRは本部が?

西山こっちがやる。売り上げが想定通りにいかない店もありますよ、いくつかは。その場合、本部がキャンペーンをやるんです。売り上げのパーセンテージによって、この店は年3回、この店は年2回という具合に。この店は1回ここでやれば、これぐらいは増えるというような基準ができています。

福島ではオーナーがコインランドリー事業を成功させるために、必要とされる努力や工夫などは?

西山ありません。あとの面倒は最初のオーナーがやっている限りは、本部がずっと見ます。

「洗濯革命」とは!?

福島ただ、今の洗濯は、家庭に全自動洗濯機が普及していますし、かつてのお掃除のような重労働という印象がないのですが。

西山そう思うでしょう。でも、アメリカのコインランドリー利用率は20%。

日本は5%ですよ。15ポイントも開きがある。アメリカの住宅にはもちろん、洗濯機も乾燥機もあります。では、どうしてか? 実はこれが洗濯革命なんです。

福島詳しくお願いします。

西山例えばサラリーマンで土日休みの4人家族を想定してください。1週間分の洗濯物を袋に入れて溜めておく。これをパパがコインランドリーへ持って行くと、1時間で洗濯、乾燥が終わるんです。主婦は洗濯しない。

パパが土曜日に1週間分の袋を担いで持って行く。これを「センタクロース」といいます。これ、はっきり書いておいてください(笑)。

福島家では1週間分をまとめては洗濯できない。といって、ちょこちょこやる時間もない、特に共稼ぎだと。

西山主婦の三大労働が、二大労働になったわけですね。これを洗濯革命といっています。

福島コインランドリーといいますと、昔は家に洗濯機がない学生などが使う、何となく暗いイメージの。

西山そう。風呂屋の隣にある。

福島ええ。それが今は非常に明るくて、カフェが隣にあったり、軽い食事ができたり。すごくおしゃれなものが増えていますよね。女性客も多いし。主婦がコインランドリーに行くのはなぜですか?

西山干すことの天気を気にしなくて良い。洗濯する労働がいらない。干したりする手間がないんです。家庭用の乾燥機もありますが、時間かかるんですよ、電気は。

福島コインランドリーの乾燥機はガスですね。そこが大きなメリットなんですね?

西山ええ。でも何よりやっぱり、うちでやらないということが気楽なんですよ。洗濯しなければ、というプレッシャーがないわけですから。土曜日になればパパがセンタクロースしてくれるわけですから。

福島日本のコインランドリーの在り方も、今後いろんな要素が加わって、すごく変わりそうですね。

西山そういうことです。いずれアメリカ風になっていく。利用率20%と5%でしょう。日本にはまだ15%の伸びしろがある。だから、まだまだたくさんできる。今はコンビニの数よりずっと少ないですが。

大学中退をバネに起業

福島資料を拝見すると、22歳の時に社員食堂請負業で起業されたということです。会社勤めではなく、最初から起業を選ばれたのは?

西山なんでもよかったんです。独立したかった。大学中退だから。当時、大学に1年しか行っていない若者を使う会社はありません。それで独立したいなと。しかし、金はない。どうやって独立するか–。

社員食堂請負って金がかからないんです。会社さんが福利厚生でどんぶり鉢とか、釜とか、食堂用の椅子とか、テーブルとか、全部用意してくださるわけですから。

こちらは米やみそなどの食材、箸や割り箸などの消耗品だけ。あとは労務の提供だけです、早くいえば。

それで従業員160人ぐらいの会社として独立はできたんだけれど、面白くない。売り上げは小さいし、利益は少ない。朝昼晩、ほとんど決まった数を作っていれば、それで終わり。伸びしろがどこにもない。

もっと伸ばす方法はないのかと思って、夏になるとね。豆腐に鰹節とネギをかけて、それを30円で出した。

冷やし中華も別メニューで出しました。でも、麺をその都度ゆでていられないので、ゆでておくしかなかった。だから、伸び切っちゃっているんです。それでも、安ければ食べてくれる。だから書いたんですよ。「その都度ゆでられません。ゆでてあるものですから伸びています」と。

福島それでも食べたい人はいるわけですね。伸びていますって書いてあるのがおかしい。

西山当時は、いろいろ書きましたよ。「いつものルミちゃんが今日は休みで、代わりのケイコちゃんがきています」とか。そうすると、「ケイコって誰だ?」って。だから、「高校2年生のケイコちゃん。〇〇町会議員さんの娘さんです。かわいいです」って書いて。

福島そういうアイデアで、人を集めることに、ものすごく長けていらっしゃる。ダスキンの学生アルバイトでも感じましたが。

西山コンセプトを持っています。それが出世できた秘密の一つかもしれない。

成功の秘訣は「神様を拝む」

福島実業家として多くの事業を成功させてきたご経験から、こういうことが大事だというポイントを、ぜひ教えてください。

西山みんなね、それらしいことを偉そうに語ると思います。

でも、本当はそんなことじゃない。心の持ち方ですよ、一番大切なことは。

福島心の持ち方?

西山どんな人にも神様が宿っている。その神様を拝むんです。

福島神様を拝むのですか…。

西山神様は日本にいくつぐらいあると思いますか? ヤオヨロズの神といって、800万いるといわれています。つまり、どこにも神様がいる。

昔の田舎では川の水で生活をしていたわけですね。川が自分の庭に引き込んである。それが生活用水だった。そこは汚してはならないので、そこに幣束(へいそく。神に供えるものの総称)を立てる。

それから、トイレもそう、お風呂場もそう。かまどもそう、多分火事の神様なんだろうね。そう考えれば、神様は一軒の家でも10ぐらいはありますよ。

同じように、どんな人にも神様が宿っている。この人にも、あの人にも、その人にも。

だから、この人を拝み、あの人を拝み、その人に感謝する。それが成功の、絶対の秘訣だと思います。それをしないで金儲けばかり考えたり、自分の主義主張ばかりを押し付けている人は偉くはなれません。

福島誰に対しても感謝の気持ちを持ってビジネスをすると。

西山感謝というと、あまり一般的な言葉で、それで終わっちゃう。

福島何といえば。

西山だから神様がいるんです。その神様を拝むんです。別な言葉でいえば感謝かもしれないけれど、「感謝の気持ちです」なんて、みんないっているじゃないですか。

それはたいていの場合、うわべだけ。そうではなく、心底から拝む。そうすれば、やっぱり相手の神様もびっくりするんです。「こんなに丁寧に拝んでくれているのか」と。

例えば「福島さん、ありがとうございました」という時でも、普通は「ありがとうございました。ありがとうございました」「いやあ、こんなにお買い求めいただいて、ありがとうございました」と、こういうんですよ。

でも「ありがとうございました! 福島さん!!」と90度頭を下げると、100回下げたのよりも感動が大きいんです。「いや、よかったな、この人に10万円払って」と。

こういう場合、福島様に宿っている神様に対してだから頭を下げられる。神様にはどんなに頭を下げても普通ですからね。腹も立たないし。

福島なるほど。その精神で今後も新しいビジネスを立ち上げて行かれるのでしょう。ただ、その一方で「もうそろそろのんびりしよう」とか、そういうお気持ちには?

西山女房にはよく聞かれますよ。「お父さんという人は、どういう人なの? いくつになったらゆっくりするのよ」と。その時にはいつもこう答えています。
「休養はゆっくりとろう。死んでから……」と。(敬称略)

西山 由之(にしやま・よしゆき)氏
株式会社ナック(東証一部上場)創業者・名誉会長。経団連幹事。22歳で社員食堂請負業を起業、事業は順調だったが、ダスキン創業者鈴木清一翁に出会い、ダスキンの販売ディーラーに転身。1971年、東京町田に株式会社ナックを設立し多角経営に乗り出す。’95年ジャスダック上場、2年後に東証二部に上場、さらに2年後、東証一部昇格、そのまた2年後、経団連入会、続いて2年後、経団連理事となる。’10年紺綬褒章受章。’14年経団連幹事、’16年日本コインランドリー協会理事長。著書は「今やれ すぐやれ 早くやれ!!」「改革の波濤」など6冊。
福島敦子(ふくしま・あつこ)
ジャーナリスト / 津田塾大学英文科卒。中部日本放送を経て1988年独立。NHK、TBSで報道番組を担当。テレビ東京の経済番組や週刊誌「サンデー毎日」でのトップ対談をはじめ、日本経済新聞、経済誌など、これまでに600人を超える経営者を取材。現在、BSジャパンの経済番組「マゼランの遺伝子」のキャスターを担当。経済・経営の他、環境、コミュニケーション、地域再生、農業・食などをテーマにした講演やフォーラムでも活躍。上場企業の社外取締役や経営アドバイザーも務める。島根大学経営協議会委員。1997年にはワインアドバイザーの資格を取得。主な著書に「愛が企業を繁栄させる」(リックテレコム)をはじめ、「それでもあきらめない経営」「ききわけの悪い経営者が成功する」「就職・無職・転職」「これが美味しい世界のワイン」などがある。
URL: http://www.atsuko-fukushima.com/