地方発!世界で活躍する会社世界で初めて誕生した「鼻マスク」
花粉症や大気汚染で苦しむ人が大注目!

バイオインターナショナル 株式会社[愛媛県]

愛媛県松山市美沢1丁目8番57号

代表取締役社長 東原 松秀

TEL. 089-927-0237

URL. http://bio-international.jp/

「マスク」なしで花粉症を防ぐ!

毎年、花粉症に悩まされる人は、シーズンにはマスクでしっかりガードすることが欠かせない。しかし、マスクを装着すると、何かと不便なことがある。口元が隠れるので表情がよく分からない、メガネをかけていると息でくもる、視界が狭まって車の運転がしづらい……。

こうした欠点をなくしたのが、鼻に直接装着する画期的な鼻マスク「ノーズマスクピット」だ。花粉レベルの粒子を99%以上カットするフィルターを、鼻に差し込む仕組み。左右のフィルターは細くて軟らかいツルで結ばれている。この世界初のアイデア商品は、愛媛県松山市のバイオインターナショナルが開発した。

「ちょっと装着してみましょうか」と鼻マスクを手に取ったのは東原松秀社長。「どうですか、目立たないでしょう」と言う通り、穴の内部にすっぽり収まるのでフィルターは見えず、ツルの部分も目立たない。

記者も自分で装着してみたが、想像した以上に刺激は少ない。コンタクトレンズを最初にはめた時のような感じだろうか。そのうち、つけていることを忘れる程度の違和感だ。

この鼻マスクは、日本以上に海外の国々に受け入れられた。今では売り上げの半分を海外が占めるという。どういう経緯で、このオリジナル商品は生まれ、世界から注目されるようになったのだろうか。

水と油関連では開発を頓挫…

バイオインターナショナルは、東原の父親である現会長の会社を前身とする。東原は1988年、24歳で父の跡を継ぎ、バイオインターナショナルを立ち上げて社長に就任した。

「人が生きていくのに不可欠な水・空気・油の3分野で、人の役に立つオリジナル商品を開発し、世界に広めていこうというのが会社の目指すところです」と東原は語る。商品開発は技術畑出身の会長が担当し、東原が会社のかじ取り役になって会社は動き出した。

最初に手掛けたのは水関連だ。当時はまだ家庭用浄水器が普及していなかった時代。マンションなどの業務用浄水器を開発し、より体に良い水を建物全体に提供できないかと取り組んだ。だが、同じ分野に大手が参入したことなどにより、開発を断念せざるを得なくなった。

次は油関連の商品開発に着手。排気ガスを減らす燃料改質装置を開発しようとした。しかし、自動車業界にエコを重視する時代が到来し、大手が取り組むようになって、この油関連事業も頓挫する。

会社の方向性は正しく、勇ましいが、肝心の商品開発がなかなか成功しない。収益にまったくつながらないのだ。この間、会社をつないでいたのは、商品開発とは別に行っていた総合商社的な事業。加えて、ある特許を売却して得た収益で物件を購入し、不動産事業も行った。

「当時、商品開発はひたすら投資のみでした。しかし、あくまでもこれがメイン事業だという気持ちで取り組んできました」と東原は苦しい時代を振り替える。

4年間の試行錯誤を経て完成!

いよいよ残されたのは、空気の分野。目をつけたのが、花粉症や大気汚染から守る商品だ。マスクをつければガードできるが、冒頭であげたような様々なデメリットがある。そこで、鼻をダイレクトに守る商品を作ろうと、鼻マスクの開発がスタート。会社を立ち上げて13年目の2001年のことだ。しかし、この開発が一筋縄ではいかなかった。

「鼻の穴は形状が様々なんです。三角形に近い鼻、卵型、ほぼ真円の鼻もある。大きさも人それぞれで、鼻毛の多さもバラバラ。固い鼻も軟らかい鼻もある。全部組み合わせていくと、ジャストサイズがなかなか見つからなかった」

改良に改良を重ね、約50型に及ぶ試作品を手作りし、試行錯誤すること4年。ようやく商品として完成し、2005年9月の「東京インターナショナル・ギフトショー」に出品した。誰も見たことのないユニークな鼻マスクは、国内外から訪れたバイヤーたちの目に留まった。

真っ先に注目したのは、常に先鋭的な商品を探している東急ハンズだ。商談はすぐにまとまり、その年の年末から渋谷店で販売開始。取り引きはその後も継続し、今では全国の約50店舗で販売されている。

鼻マスクの改良はその後も続く。最初のモデルは、微粒子をガードする不織布のフィルターがむき出しだったため、鼻毛や粘膜が刺激されて違和感を覚える人が多かった。そこで、不織布に軟らかいゴム状のカバーをつけることを発案した。

ところが、今度は鼻水によって滑り、鼻の穴に収まりにくい。これも試行錯誤を繰り返し、 “返し”をつけて抜けにくい仕組みに改良した。2008年から、このモデルがイオンをはじめ、全国展開している代表的なチェーン店で販売されている。

さらに、中国で大きな問題になったPM2.5に対応し、それまでの100分の1の微粒子もガードするモデルや、ガードをより軟らかくして一層装着感のない新タイプも開発に成功した。

「開発を続けるうちに、化学物質過敏症のことも知りました。花粉に様々な超微粒子が付着し、花粉と一緒に吸い込むことで、体に悪影響を与えているそうです。こうしたことを知ると、何が何でもより良いものを作り、普及させる義務があると考えました」と東原は声を大にする。

日本よりも海外で勝負!

鼻マスクが海外で初めて販売されたのは2006年。開発した翌年のことだった。「こちらから打って出る前に、先方から問い合わせが入るようになったんです」と東原。東京のギフトショーは海外でも注目されており、商品力のあるものは各国のバイヤーが見逃さない。

鼻マスクの存在が一層広まったのは。ある世界的なブロガーがウェブ版の製品レポートで紹介してくれたおかげだという。このレポートが各国の言語で翻訳されて拡散し、さらに数多くの国のバイヤーからメールが送られるようになった。

手ごたえを感じた東原は、2013年と14年の2回、ジェトロ主催の中国市場開拓を図る「アジア・キャラバン」に参加。上海、北京、重慶を回って、現地企業と直接契約することに成功した。現在、最も実績の上がっている国はロシアで、ほかにも台湾、中国、韓国などで鼻マスクは販売されている。

「実は、日本よりも海外にマーケットがあると感じています。海外でマスクをしても許されるのはアジアぐらいで、欧米ではまず許されない。重病患者か犯罪者だと思われてしまうからです。この慣習から、目立たない鼻マスクは受け入れられる可能性が大きいと考えています」

ただし、現状では欧米には進出できない。今のモデルはSサイズとMサイズの展開だが、鼻の大きな欧米人にはLサイズが必要だという。サイズと形状を考え直し、次のステップで欧米へ──。その日もそう遠くはなさそうだ。(敬称略)