A3BIJ複合機市場に本格参入を発表/キヤノン新開発のラインヘッドとインクを採用
オフィス向けA3複合機「WG7350F/WG7350FM」

キヤノンが、A3ビジネスインクジェット(BIJ)複合機市場に本格参入を発表。その第一弾となる製品として、新たに開発したラインヘッドとインクにより高生産性と高画質印刷を実現した「WG7350F/WG7350FM」を12月下旬から発売するとしました。

最速毎分80枚印刷の高速ビジネスインクジェット複合機

今回、発表されたWG7350F/WG7350FMは、「オフィス向けビジネスインクジェット複合機として、キヤノンで初めてラインヘッドを搭載し安定した高速印刷と共に、シンプルな印刷プロセスと本体構造により高いメンテナンス性を実現。インクを吹き付ける非接触印刷のため、凹凸のあるレザック紙などの多彩な用紙印刷が可能」(キヤノンのニュースリリースより引用)とのこと。

WG7350Fは買い取りモデル、WG7350FMは一定の月額費用のみで利用できる定額プランモデルです。定額プランの内容は、基本カウント3200枚(モノクロ2240枚/カラー960枚)までプリントが可能。月額1万3000円(税別)~となっています(*1)。
(*1)超過出力枚数の1枚あたりの単価は、税別でカラー5.0円/モノクロ1.5円

●A3ビジネスインクジェット複合機「WG7350F」。「2段カセットぺディスタル・CF10」装着時
型番 WG7350F/WG7350FM
プリント方式 ラインヘッドインクジェット
インク 4色(C/M/Y/BK)顔料
解像度 読み取り600×600dpi/書き込み1200×1200dpi
ウォームアップタイム 30秒以下/リカバリータイム8秒
ファーストコピータイム カラー/モノクロとも5.8秒
連続複写速度 カラー/モノクロとも毎分50枚(A4時)
給紙容量 1340枚(カセット640枚×2段/手差し60枚)/最大2620枚
最大消費電力 300W
TEC値(標準消費電力量) 1.25kWh
本体サイズ W560×D590×H880mm/機械占有寸法W925×D1208mm
質量(ADF含む) 約82.1kg

主な特徴

新モデルの主な特徴としては、「新開発ラインヘッドによる高生産性」「新開発インクによる高画質印刷」「信頼性の高い本体機構によりダウンタイムを低減」「5.0型カラー液晶タッチパネル」「セキュリティ性能や環境配慮」などさまざまなポイントが挙げられていますが、ポイントは高生産性やダウンタイム低減といった点でしょう。

高生産性では、新開発「FINEラインヘッド」の搭載により、連続印刷は高速モード時で最速毎分80枚(A4/普通紙)、標準モード時で最速毎分50枚(同前)の高速プリントを実現。また、待機時6.5秒、スリープモード時12.5秒以下でファーストプリントが可能です。大量印刷から少数枚多頻度印刷まで、さまざまな出力用途にも快適に使えるスペックを備えています。

スキャンは、原稿の両面を一度に読み取れる両面同時読み取りADFを搭載しており、片面毎分40枚/両面毎分65ページ(いずれもA4横)の連続スキャンに対応しています。

複合機のダウンタイム要因には故障や紙詰まりなどいくつかありますが、インクジェット機で指摘されていたのがインク交換頻度の多さです。この解決のために最近では大容量インクタンクモデルが増えつつあり、WG7350F/WG7350FMにも大容量インクタンクが採用されています。

各色1本で、ブラックは最大1200枚/カラーは最大6600枚を印刷できます。これによりインクタンクの交換頻度を低減でき、交換の手間や交換時に発生する業務ストップ時間の削減につながります。

群雄割拠のビジネスインクジェット市場

今回、キヤノンがWG7350F/WG7350FMでA3ビジネスインクジェット複合機市場へ本格的に参入したことについて、個人的には「ついに来たか」という印象です。ビジネスにおいてビジネスインクジェット機の認知度はかなり向上してきましたが、現場への普及はこれからが本番という状況です。

ビジネスインクジェット機の歴史をさかのぼれば、国内ではヒューレットパッカードがビジネス向けにインクジェット機を訴求していました。とはいえ、圧倒的に日本ではレーザーが主流となっていたため、ドキュメント印刷用途としてはインクジェットはほとんど認知されませんでした。

この潮目を変えたのが、ブラザーによるA3ビジネスインクジェット複合機の発売でした。圧倒的な省スペースでA3印刷やコピーができることをウリにした同シリーズは、それほど使う機会は多くないけれど、A3機を導入したいというSOHOや小規模事業者、中小企業の間で大ヒット。次いで、エプソンが同クラスのA3複合機を投入しました。

ほぼ、この2メーカーが競合する状況で、インクジェット機の課題であった印刷品質や速度、耐久性などが改良され業務用途を意識した製品が続々と登場し、ビジネスインクジェット機という新たなカテゴリーが形成されてきました。

現在、A3ビジネスインクジェット複合機では、エントリークラスが主流で、ブラザーとエプソンがさまざまなモデルをラインアップしています。特に、エプソンは自前のインクジェット技術力を背景に、幅広いモデルを用意。スタンダードクラスに加えて、ハイエンドクラスではレーザー機のセンターマシンに匹敵するモデルを揃えています。

そうした中、注目していたのがキヤノンの動向です。A4のビジネスインクジェット機では、すでにMAXIFYを投入。SOHOや小規模事業者に人気を博しています。そうした状況に対して、「この流れで、A3機も発売されたらかなりの人気になるだろうな」と感じていました。

そこに登場したのが、WG7350F/WG7350FM。このため、ついに来たかと思ったわけです。ただし、今回の新製品はスタンダードからハイエンドクラスに相当するモデルといえます。これ以降、ラインアップがどう展開されるかは未知数ですが、エントリークラスへキヤノンのモデルが投入されることとなれば、エントリー市場は大いに賑わいを見せるのではないでしょうか。

A3ビジネスインクジェット複合機のエントリー市場は、ブラザーのFIRST TANKシリーズやエプソンのecotankシリーズなど、コストパフォーマンスの高いモデルが揃っているだけに、個人的にはキヤノンによる同クラスへの製品展開に大いに期待を寄せているところです。(長谷川丈一)