経済界で注目される「健康経営」とは!?従業員の健康管理を戦略的に策定
健康経営優良法人認定の取得がオススメ

「健康経営」という言葉を、ご存知でしょうか。シャニムNo.65では「働き方改革」を取り上げていますが、これと併せて促進されている取り組みが健康経営です。まだ認知度は低いですが、働き方改革とセットで導入すべきともいわれる健康経営の概要をレポートします。

健康経営とは

健康経営とは、経済産業省の定義を引用すると「従業員などの健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」であり、「従業員と共に健康の維持や増進に取り組むことで会社の活性化やイメージ、業績を向上させていく取り組み」です。

企業にとって、経営資源といえば「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といわれます。いずれも重要な要素ですが、健康経営は働き方改革と共に、“人”に焦点を当てた取り組みといえるでしょう。働き方改革が体制や環境の整備を主体としたものに対し、健康経営は従業員自身の健康状態の管理を目的としたものといえます。

従来、従業員の健康は個人で管理するものとされ、これに関わる支出はコストだと考えられてきました。しかし、企業にとって事業成長の推進力がヒトであることは間違いありません。常に、最高のパフォーマンスで働いてもらうことは、企業にとって大きなプラスとなるはずです。このため、従業員の健康増進に関わる管理を個人だけに任せるのではなく企業全体として取り組み、それに関わる支出を投資として捉えて実践する経営手法が健康経営というわけです。

その効果としては、「生産性の向上」「離職率の低下」「企業イメージの向上」などが期待されています。また、健康経営に取り組む事業者は、事業資金融資の金利優遇や公共調達の入札加点、保証料率の低減といったインセンティブも受けられます。

健康経営に関連して、毎年健康経営に取り組む企業を顕彰する「健康経営アワード」が開催されています。同アワードでは、従業員などの健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組んでいる上場企業を「健康経営銘柄(*1)」として選定し公表、さらに「健康経営優良法人制度」の認定法人が公表されています。
(*1)東京証券取引所の上場企業から1業種1社を選定。「国民の健康寿命の延伸」に向けた施策の一つ

健康経営優良法人認定制度とは

とはいえ、健康経営といっても何にどう取り組めばよいのかイメージしにくいのが実際のところ。単に「健康診断を受けましょう」「しっかりと休みましょう」といった程度の取り組みでは健康経営といえません。前述したように、会社の戦略として従業員の健康増進を行うには、経営者など企業のトップ層が主体となってけん引することが求められると共に、定期的なイベントやセミナーの開催、福利厚生なども含めて従業員の興味を促すような施策などの環境づくりが求められます。

健康経営の実現にはさまざまな手法はありますが、中小企業にとって大きな指針となるのは「健康経営優良法人認定制度」です。これは「健康経営に取り組む企業などの『見える化』を進めるため、上場企業に限らず、未上場企業や医療法人などの法人を健康優良法人として認める制度」(経済産業省)。経済産業省が制度設計を行い、日本健康会議が認定しています。「中小規模法人部門」と「大規模法人部門」があり、それぞれで健康経営優良法人が認定されます。

●健康経営優良法人、健康経営銘柄の定義(東京商工会議所「健康経営ハンドブック」2018より引用)

2018年は、同年2月20日に開催された健康経営アワード2018において「健康経営優良法人2018」が発表され、中小規模法人部門で776法人が認定されました。

取得の起点となるのは、自社が所属する加入保険者。加入している保険者が実施している「健康宣言事業」などに参加することで、さまざまなサポートを受けながら健康経営の実現を目指すことが可能です。

健康宣言事業で推進されているさまざまな「健康づくりメニュー」に取り組み、実現できた段階で申請様式に必要事項を記載して認定申請書を提出。審査の上、日本健康会議により認定されます。なお、健康経営優良法人に申請する条件は都道府県で異なっているので、取り組む前に確認した方がよいでしょう。

行政は中小企業への普及を積極促進

健康経営については、さまざまな関連資料などが用意されています。下記にピックアップしたものが参考になりそうです。

健康経営ハンドブック2018
東京商工会議所が発行する健康経営に関するガイドブック。中小企業への健康経営の普及と促進を目的に、中小企業の実践事例や健康経営に取り組む企業へのインセンティブ情報をまとめたもの。2018年の最新版。

企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~
厚生労働省が進める「データヘルス計画」と連携し、企業・経営者向けに「健康経営」のポイントまとめたガイドブック。平成28年改訂第1版。

元気な会社は始めている「健康経営を考える会議。」
経済産業省の読むワークショップ。大企業を中心とした健康経営の取り組み事例、ヘルスケア企業やサービスなどを紹介。

健康経営オフィスレポート
平成27年度健康寿命延伸産業創出事業と健康経営に貢献するオフィス環境の調査事業に基づくレポート。働く人の心身の調和と活力向上を図り、一人ひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる職場を構築するために必要な健康を保持・増進する行動を誘発する方法などを紹介。

中小企業での実践はこれから

経済産業省が実施した調査によると、健康経営に関する中小企業の認知度は50%に満たない状況(「中小企業における健康経営に関する認知度調査」平成29年度12月実施)で、実際に健康経営に取り組む中小企業は2割弱。その一方、健康経営に「今後取り組みたい」とする中小企業は53%と、高い関心がもたれています。

●健康経営に対する認知度(経済産業省「中小企業への健康経営の普及」平成30年7月より抜粋)
●健康経営実践の現状と意向(経済産業省「中小企業への健康経営の普及」平成30年7月より抜粋)

働き方改革と共に、その取り組みが推進される健康経営については一層の支援体制やインセンティブの強化などが図られる方向にあります。人的な経済基盤を盤石なものとするためにも、新年に向けて導入を検討してみるのもよいかもしれません。(長谷川丈一)