CANON「EOS R」/使用体験レポート使い慣れているミラー式にはもう戻れない!?
異次元の進化を実感!!フルサイズミラーレス

CANON EOS R:EF70-200 f4 Ⅱ:SS1/500:f11:ISO 1600

 話題のフルサイズ・ミラーレスカメラ「CANON EOS R」を購入して1カ月強。この間、何度か鉄道の撮影に出かけたので、今回はその体験レポートをお届けしましょう。

 まず結論からいいますと、「ミラー式のデジタル一眼レフには、もう戻れないかもしれない」ということです。EOS R導入前まではEOS 5D markⅣ(以下5D4)をメインとして使っており、非常に気に入っていました。

 5D4はキヤノンのフルサイズ一眼レフとして初めてタッチ&ドラッグの液晶モニターを採用。5Dシリーズならではの高画質に、先進の操作性が加わったことで、個人的にはこれ以上ないベストな一眼レフだと考えていました。撮影時のタッチ操作の利便性は。このカメラで学んだこと。5D4を超えるカメラは、いずれ出るであろう5D5しかないだろうと思っていたわけです。

 ところがこの考えは、EOS Rの登場で、もろくも打ち砕かれました。何といいましょうか――。5D5が出てくれば、それは5D4以上のハイスペック機となることは間違いありません。しかしながら、それはあくまでも光学式ファインダーを使った従来型ミラー式一眼レフ内での進化。

 ところがEOS Rは、ミラーレスとしてのポテンシャルを最大限に引き出したことで、カメラそのものの進化を、別次元に移行させたといっても過言ではないほどです。キャッチコピーは「写真は進化する。」ですが、まさしくおっしゃる通り。今まで抱いていたミラーレスへの偏見が、すべて払しょくされました。

ファインダーをのぞいたまま…

 このことは、特に操作性で強く実感すること。まずはファインダー内のほぼ全面に広がった5655ものAFフレームポジション。これによりピントを合わせたい被写体を、ファインダーのどこに置いても(正確には縦約100%×横約88%の範囲内)、正確なオートフォーカスが可能です。その一番のメリットは、フォーカスロックの頻度が激減したこと。一般的なAFカメラでよくある「シャッター半押し」→「ピント合わせ」→「フォーカスロック(半押しのまま構図作り)」という動作から、ほぼ解放されたわけです。

 しかもEOS Rが素晴らしい点は、5655ものAFフレームポジションの中から選択する1点を、ファインダーをのぞいたまま、液晶モニターを親指でなぞるだけで自在に移動させられることです。これは電子ビューファインダー(EVF)だからこその機能。この「ファインダーをのぞいたまま」というのが非常に重要。撮影のリズムが損なわれることなく、AFフレームを最適位置に設置できるからです。

 例えば5D4で似たようなことをする場合、まずファインダーから目を離して液晶パネルを使ったライブビュー撮影に切り替える作業が必要になります。このワンクッションは撮影のリズムを分断し、けっこうなストレスになるもの。しかも、AFフレームポジションの分布がEOS Rのように広くはないため、フォーカスロックが必要なケースも少なくありませんでした。

 とはいえ従来はそれしかなかったので、そういうものだと割り切っていました。AFフレームポジションの移動作業は、可能な限り撮影初期段階に済ませ、撮影中の移動は必要最小限にとどめていました。

 それだけにファインダーをのぞいたままでのポジション移動は、撮影の幅を画期的に広げてくれる“夢のような”といっても過言ではないほどの機能だと思います。この操作に慣れてくれば、多分、動体を追いかけながらのAFフレームポジション移動も簡単なはず。いずれ習得したいテクニックの一つです。

ファインダー内の画像を瞬時に拡大

 さらに特筆できることは、移動したAFフレームポジションをファインダーの中で瞬時に拡大できること(5倍または10倍)。これはファインダー右横に配置されたマルチファンクションバーを右手親指で操作するもの。バーの表面を親指でスライドするだけで、ファインダーから目を離すことなく被写体を拡大でき、小さな被写体へのピントが合わせやすくなったり、ピントの状況を即座に確認できます。

 つまりEOS Rは「ファインダーをのぞく」→「AFフレームポジションを選ぶ」→「ピントを合わせる」→「拡大してピントを確認する(または拡大してピントを合わせる)」→「シャッターを切る」といった一連の撮影行動が、一度も寸断されることなく流れるように実行できるわけです。これはEVFを搭載したミラーレスカメラならでは。その意味でいえばEOS Rは、ミラー式一眼レフカメラとの比較でカメラマンに一歩も二歩も寄り添ったカメラであることは確かです。

 もっとも考えてみれば2016年秋の5D4発表時には、フルサイズ機でありながら、タッチ式液晶モニターを採用。ファインダーをのぞいたままではありませんが、指の操作によるAFフレームポジションの任意選択や、被写体を拡大してのピント合わせなどが簡単にできることを、素直に画期的だと感動したわけです。あれからわずか2年。技術進化の早さを改めて感じさせられます。

ISO12800が常用感度に!

 EOS Rで素晴らしいと感じるのは操作性だけではありません。画質の面でも優れており、特に高感度撮影時のノイズの少なさは驚異的といえるかもしれません。

CANON EOS R:EF70-200 F4Ⅱ:SS1/50:f10:ISO12800

 上の写真はISO12800、SS1/50、絞り10で撮影したもの。日の出前の一番列車で、周囲はまだ漆黒の闇といっていいほどの時間帯でした。これを見て、どうでしょうか? ノイズの多少は見る人によって感じ方が違うもの。いろいろなご意見があろうかと思いますが、個人的には、ISO12800という条件で、ここまでクリアに撮れるのであれば十分に合格だと考えます。

 何より漆黒に近い環境下でも、ISO12800まで上げればシャッタースピードが1/50まで上げられるので、手持ちでの撮影が十分に可能です。しかも絞りが10ですから、これをもっと開ければさらに速いシャッタースピードで切ることも可能。この写真では列車の疾走感を出したかったために、あえて1/50にとどめました。そして、この写真の踏切信号部分を拡大したものが下の写真です。

 ここまで拡大すると、さすがに黄色部分に若干のノイズ感が感じられますが、それを指摘してはさすがにEOS Rが可哀そうでしょう。ISO12800の写真をここまでトリミング拡大するということは通常では考えにくいですし、ここはむしろ、この悪条件下でよくぞここまでの描写ができたものだと、ほめて遣わすことが正しいように思うのですが、いかがでしょうか? EOS RにとってISO12800は常用感度といっても差し支えないレベルだと思います。

ミラーレス特有の懸念材料を払しょく

 EOS Rを導入するにあたっては、実はミラーレスカメラならではの、いくつかの懸念材料もありました。最後にその点についてまとめましょう。

①バッテリーの消耗が激しいのではないか。
 一般にミラーレスカメラはファインダーにも電子式のEVFを使用しているため、バッテリー消耗の激しさが泣き所の一つ。EOS Rも同様なのですが、感覚的にいうと、5DRとの比較でいえば、消耗速度は1.3倍~1.5倍ぐらいではないかと感じています。

 EOS Rと5D4は同じバッテリーを使っているので分かりやすいのですが、5D4だとバッテリー交換なしで1日を乗り切れるような撮影量の場合(500~700枚程度)、EOS Rは夕方ぐらいに交換するというイメージ。感覚的な言い方で恐縮ですが、そんな感じがしており、ミラーレスとしてはまずまずではないかと思います。

 というのも先日、某社の最新式ミラーレスカメラのフラッグシップ機をお借りした時のこと。昼過ぎぐらいにはバッテリー残量が30%を切るサインが出てきてしまい、あわてたことがあるからです。少なくともEOS Rには、そこまでの消耗度はありません。

②EVFは動体の追従性が悪いのではないか。
 これについては、まったく問題ないと断言できます。確かに一昔前のEVFの中には、ファインダー内にとらえた動体の動きが、カクカクするような不自然なものも見受けられました。しかし、その部分は完全に克服されており、特にEOS Rは有機ELですから非常にスムーズ。ファインダーをのぞいている限りはEVFであることを忘れるほど自然です。

③撮影直後に(特に連写直後)ファインダー内がブラックアウトするのではないか。
 これはシャッターを切った直後に画像をメモリーに書き込むためのタイムラグが生じ、ファインダー内が一瞬ブラックアウトするという現象ですが、これもEOS Rに限らず、最近のミラーレスではほとんど克服されているはずです。EOS Rについては、まったくそうした現象は生じないと断言できます。

 ただし初期設定では、撮影した画像を瞬時にファインダー内で確認できるように、2秒間再生される設定がなされています。これはブラックアウトではありませんが、これを解除しなければ、次の撮影までに2秒間のタイムラグが生じることは確かです。自分はこの機能をカットしていますが、気になる場合は解除をおすすめします。

 ここまでEOS Rの機能で、個人的に便利だと感じる部分だけを紹介しましたが、このカメラのポテンシャルはこんなものではありません。それらについては、また次の機会に紹介させていただきます。(征矢野毅彦)