66号に登場! JX通信社・米重克洋社長「報道の機械化」で注目の次世代通信社
起業家への志を抱いたのは中学三年生の時

 2月28日発行のシャニム66号は現在、順調に編集作業を進めています。次回の「福島敦子のアントレプレナー対談」には、(株)JX通信社の米重克洋社長にご登場いただきました。米重社長は1988年生まれの30歳という新進気鋭の若手経営者。しかも、学生時代の2008年にJX通信社を設立したという根っからのアントレプレナーでもあります。

「報道の機械化」とは何か!?

 JX通信社は今、NHKや民放キー局、大手新聞社などがこぞってパートナーに選んでいる次世代の通信社。既存メディアにニュースのネタを提供する「ファストアラート」サービスで大きな脚光を浴びています。

 その仕組みを簡単に説明すると、同社ではツイッターなどの有力SNSサイトを24時間ウォッチ。そしてひとたびSNSサイトに事件・事故・災害の関連情報やツイート・画像・映像などが、その場に居合わせている目撃者からアップされると、それらをAIで解析。情報の真偽を確認したうえで、正しい情報についてはさらにAIで掘り下げ、「いつ・どこで・どんな事件がおきたのか」を抽出して、その情報を契約するメディアに配信。各メディアはその情報をもとに取材に出向くという流れになっています。

 米重社長によれば、こうした一次情報は従来、警察や消防などがメディアに発信していたとのこと。ファストアラートはそれよりもかなり早いタイミングで情報発信できることが、既存メディアにとっての大きなメリットになっているわけです。

 なぜ迅速に配信できるのかといえば、おおもとの発信源が現場に居合わせた目撃者だからです。大半のSNSユーザーは目の前で起こった事件・事故・災害をリアルタイムでサイトにアップすることが当たり前になっています。これを、AIを用いることで、その真偽や場所、内容などを解析するので、従来のように人手に頼った一次情報発信よりも数段早くて正確な発信が可能になっています。

 JX通信社ではこれを「報道の機械化」と命名していますが、SNSが隆盛を極め、AIの精度が飛躍的にアップしている今だからこその、画期的なビジネスモデルといえるでしょう。実際、同社は“通信社”と名乗ってはいるものの、30名ほどの社員の大半がエンジニアで、記者はゼロ。まさしく次世代の通信社ということができます。

中学時代に感じた航空業界の問題点

 設立のきっかけや、フェイクニュース対策などの詳細については、ぜひとも2月末発行のシャニム66号をお読みいただければと思います。ここでは対談記事には掲載できなかった米重社長の“秘話”をご紹介しましょう。

 もともと米重社長が起業家を志したのは中学3年生の時といいますから、まさしく「せん檀は双葉よりかんばし」ということに尽きるでしょう。しかも、それが航空会社だといいますから、二度ビックリでした。

 中学に入って航空業界に詳しい友人ができた米重社長は、その影響を受けて自身も航空業界への興味を膨らませていったとのこと。しかも、その内容は「パイロットに憧れて」とか「飛行機のカッコよさに魅せられて」といった類のものではなく、航空業界の構造そのものに問題点を感じたからだといいます。

 例えば、その当時、日本の航空業界は運賃の高さが大きくクローズアップされていました。その動きがやがて、2010年代のLCCの設立につながるわけですが、LCCが国内に参入するはるか以前に中学生だった米重“少年”は、「日本の航空運賃の1/3は税金等。これを何とかしなければいけない」との問題意識を抱き、航空会社の設立を真剣に思い描き始めたそうです。

 ちなみにその想いは今も抱き続けているとのこと。現状では複数のLCCが国内で運営しており、航空運賃も世界的な水準にまで下がってきているように思えます。ところが米重社長にすれば、「LCCの離発着はそのほとんどが羽田以外の空港。しかし、旅客航空需要の約6割は羽田に集中しており、そのギャップが続く限り日本の航空業界は、真の意味での世界水準には到達できない」というわけです。

 中学時代に感じた航空業界への疑念は、いささかも払しょくされてはいないということでしょう。実際、JX通信社の経営にまい進している現状でも、航空会社設立の気持ちはまったく衰えてはいないといい、「今後5~10年ぐらいで、なんとかやりたいなと思っています」と語っていました。

 非常に物静かで冷静な語り口なのですが、その内側では常に「課題や問題を解決する」との強い情熱が燃えたぎっているという印象。話を聞けば聞くほど、「米重さんなら、日本の航空業界に本気で風穴を開けてくれるのでは」との思いが強くなる一方でした。新進気鋭の若手経営者・米重克洋氏の対談、ぜひともお楽しみに!(征矢野毅彦)