「AV&IT機器 需要動向調査」を発表/JEITA国内テレビ市場は2020年まで“二けた”成長
今後の最重要課題は「テレビ離れの阻止」

 JEITA(一般社団法人電子情報技術産業界)が「AV&IT機器世界需要動向調査」の最新版を発表しました(調査協力・(株)富士キメラ総研)。これは映像機器、音響機器、IT機器、カーAVC機器について、2023年までの需要を国・地域別に予測したもので、毎年、この時期に欠かさず発表しています。世界を7つの国・地域に分けて予測していますが、特に日本国内の需要については詳細に予測されており、重要な指標となっています。今回はその中から、テレビ関連の国内需要を見てみましょう。

始まった!地デジ特需期の買い替え需要

 図は国内のテレビ出荷台数の推移です(2019年以降は予測値)。これによれば地デジ特需にわいた2010年の2519万台をピークに、以降は出荷が急減。2017年には433万台と、ピーク時の18%ほどにまでダウンしました。そしてようやく下げ止まったのが2018年で、出荷は前年比4.6%増の453万台に回復。さらに今後も、2019~2020年は二けた成長を続け、2021年以降も600万台前後で安定的に推移すると予測されています。
          ■図 国内テレビ出荷の推移

(単位:万台/出典:電子情報技術産業協会)

 まず2018年に需要が回復した要因としては、次のようなものをあげています。
 1.有機ELテレビによる需要喚起
 2.音声アシスタント搭載モデルへの買い替え需要
 3.サッカーワールドカップによる買い替え需要
 4.新4K8K衛星放送の開始による買い替え需要

 2に関してはいささか「?」の感も否めませんが、それ以外の要因については順当といえるでしょう。そして、それらの根底には4Kテレビの価格下落があったことは確かだと思われます。実際、2018年の全テレビタイプに占める4Kテレビの割合は44.4%にまで高まっています。これは前年比で10ポイント近い増加であり、4Kテレビがけん引役となったことを裏付けています。

 これに加えて2018年は、地デジ特需期(2009~2011年頃)に買われたテレビの買い替えが始まったことも、需要の増加要因としてあげています。

 一般にテレビの買い替えサイクルは9~10年といわれていますから、2018年からの3~5年がそのタイミングということになります。地デジ特需期の3年間だけで5800万台超が出荷されているだけに、少なくとも潜在需要は“バラ色”ともいえる情勢です。しかも、2019年から2020年にかけては、周知のようにスポーツのビッグイベントが目白押し。これらもテレビの需要喚起に拍車をかけることになりそうです。

今後のテレビ需要を阻む三つの要因

 ただし、これらの要素を見込んでいるにもかかわらず、2019年以降の需要は、地デジ特需期と比べればかなり控えめなものとなっています。調査書では今後のテレビ買い替えを阻む要素として、次の三つをあげています。
 1.買い替えサイクルの長期化
 2.ディスプレイの多様化
 3.若年層のテレビ離れ

 この三つの要素により、地デジ特需期に出荷された5800万台のすべてが買い替えに回ることにはならず、調査書では2500万台以上が”非”買い替え(継続使用、廃棄等)になると予測しています。

 まず1についてですが、テレビの買い替えサイクルは2014年以降、長期化が進展しており、2019年以降についても「製品の長寿命化、一定の画質/機能を有していることで長期化が継続する」と分析。2014年に6.3年だった買い替えサイクルが、2018年には9.5年にアップ。2023年には11年を突破すると予測しています。

 また2のディスプレイ多様化については、「見逃し配信の開始、フルセグ対応スマホの普及、テレビ以外の端末によるテレビ視聴の普及などから、一世帯におけるテレビの複数台所有の必要性が低下している」としています。

 そして3の若年層のテレビ離れについて、調査書では次のようなデータを掲載しています。
●リアルタイムのテレビ行為者率(平日)
     2012年 → 2017年
 60代  93.3% →  94.2%
 50代  94.1% →  91.7%
 40代  89.6% →  83.0%
 30代  86.0% →  76.5%
 20代  78.7% →  63.7%
 10代  76.3% →  60.4%

 このデータは総務省情報通信政策研究所の調査報告書から引用したもので、テレビ放送をリアルタイムで視聴している人の割合を示したもの。10~20代のテレビ離れが大きいことは明らかですが、これを見ると60代以外はすべてが低下基調にあります。では、その分の時間が何にシフトしているのかといえば、言わずもがなのインターネット。この潮流がテレビの買い替え長期化の、最大要因といえるかもしれません。テレビ業界としてはもはや、この流れに真っ向から抗うことはかなり難しいと思われます。

 当面の対策としてはやはり、始まったばかりの4K・8Kをどこまで魅力的なものへとブラッシュアップできるか、ではないでしょうか。調査書は、2018年に44.5%だった4K・8Kテレビの出荷比率が、2019年には50%を超え、2023年には74.7%に達すると予測しています。メーカー、放送局、そして番組制作者にとっては、この予測を現実のものとするためにも、テレビ需要の二けた成長が予測され、追い風が吹くはずの2020年までが、一つの大きな正念場となりそうです。この間に4Kのよさ・魅力・可能性をどこまで拡大し、広く浸透させられるのかが非常に重要になるはずです。(征矢野毅彦)