中小企業と小規模事業者向け「3大補助金」解説新製品開発向けの「ものづくり補助金」
「小規模事業者持続化補助金」は販路開拓に

例年、新年度の補助金公募は3月~5月にかけて開始されますが、2019年度は一部遅れており、間もなくスタートすることと思われます。そこで、今回は中小企業や小規模事業者向けの3大補助金といわれる制度について概要や違いを解説しましょう。どれを活用すべきか、参考にしてください。

新製品開発や販路開拓、業務効率化など目的に違い

中小企業と小規模事業者向けに用意されている3大補助金といわれている制度は、「中小企業生産性革命推進事業」の枠組みで予算が組まれている「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」「小規模事業者持続的発展支援事業(小規模事業者持続化補助金)」「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」の3つです。以前は、それぞれで予算額が組まれていましたが、2019年度では中小企業生産性革命推進事業として集約され、平成30年度第2次補正予算として合計1100億円が計上されています。

3大補助金の2019年度予算案(経済産業省「平成30年第2次補正予算の概要/PR資料)」より抜粋)

3つの補助金は、いずれもITシステムやツールなどの機器を導入する場合に活用できる制度ですが、導入目的や規模感などにより活用に適した制度が異なっています。大きくは、ものづくり補助金は「新製品を開発するために必要となる製造機器やシステム構築」、小規模事業者持続化補助金は「販促や宣伝、プロモーションなど向上に関わる機器やツールの導入」、IT導入補助金は「主にバックオフィスなどの業務を効率化するためのIT機器やツールの導入」を目的としており、自社が取り組む内容に合わせて選ぶことが採択されるポイントでしょう。

補助金 ものづくり補助金 小規模事業化補助金 IT導入補助金
想定用途 新事業にチャレンジ
生産ライン増強
サービス品質向上
ブランド力向上
商品宣伝
ホームページ開設
ITによる経営状況「見える化」
ITによる業務自動化
ITによる働き方改革
対象機器 新製品開発のための製造機器購入やシステムの構築など ホームページ作成や決済・会計ツール、外国人対応(翻訳など)ツールなど バックオフィス効率化のためのITツール
補助内容 金額:100万円~1000万円
補助率:最大2/3
金額:最大50万円
補助率:2/3~※共同申請化(補助上限額×事業者数)
金額:40万円~450万円
補助率:1/2
申請支援機関など 認定経営革新等支援機関
※金融機関、商工会や商工会議所など
商工会や商工会議所など IT導入支援事業者(ITベンダー)
※ホームページに掲載

各制度の概要

では、それぞれの補助金制度の概要をざっと見ていきましょう。ものづくり補助金はすでに公募が始まっていますが、小規模事業者持続化補助金とIT導入補助金については公募の開始はこれから。このため、本稿執筆時点での情報に基づく内容となっています。詳細は公募開始時の要領などを参照してください。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は「ものづくり補助金」といわれ、国際的な経済社会情勢の変化に対応できる足腰の強い経済構築を目的としてスタートした制度です。中小企業や小規模事業者が生産性向上につながる革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に取り組むための設備投資を支援します。

ものづくり補助金と呼ばれるため、製造業向けの補助金とイメージされがちですが、新製品開発に関わる取り組みであれば製造業以外の業種でも活用が可能です。

対象要件は、認定経営革新等支援機関の全面バックアップ得た事業を行う中小企業と小規模事業者で、以下の要件のいずれかを目指す取り組みであることとされています。
・「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法で行う革新的なサービスの創出やサービス提供プロセスの改善であり、3~5年で付加価値額で年率3%、および経常利益で年率1%以上の向上を達成できる計画
・「中小ものづくり高度化法」にもとづく特定ものづくり基盤技術を活用した革新的な試作品開発や生産プロセスの改善であり、3~5年で付加価値額で年率3%、および経常利益で年率1%以上の向上を達成できる計画

補助内容には、「一般型」と「小規模型」があります。
●一般型
・中小企業と小規模事業者が行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等
・補助額は100万円~1000万円/補助率は2分の1以内(※1)
●小規模型
・小規模な額で中小企業・小規模事業者が行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善などを支援。設備投資を伴わない試作開発等も対象
・補助額は100万円~500万円/補助率は2分の1以内(※1)
(※1)付随要件などにより、補助率は最大3分の2以内となります

また、一般型と小規模型とも「生産性向上に資する専門家を活用する場合」は、補助上限額は30万円アップするとされています。

ものづくり補助金の公募は開始されており、すでに第1次公募は終了。第2次公募の締め切りも2019年5月8日(水)に迫っています。中小企業生産性革命推進事業において、ものづくり補助金には最も予算が割り当てられるとも見られており追加公募の可能性はありますが、間に合うのであれば今回の公募で申請する方が安心といえます。

公募期間/要領/問い合わせ先など
・公募期間:2019年2月18日(月)~2019年5月8日(水)
・全国中小企業団体中央会の各都道府県事務局
https://www.chuokai.or.jp/hotinfo/mh_koubo20190218new.html
・公募要領:平成30年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」
https://www.chuokai.or.jp/hotinfo/30mh_koubo20190218.pdf

小規模事業者持続的発展支援事業(小規模事業者持続化補助金)

小規模事業者持続的発展支援事業にもとづく制度が、小規模事業者持続化補助金です。小規模事業者の持続的な経営推進を目的としたもので、商工会や商工会議所の支援を受けて作成した経営計画により国内外で取り組む販路開拓に関わる経費の一部を支援します。

例年であれば、2月下旬から3月上旬にかけて公募が始まっているはずですが、2019年度は前年度から募集されている被災地向け小規模事業者持続化補助金の関係もあって遅れているようです。小規模事業者持続化補助金については、毎年要件などは大きく変わっていないので、例年ベースで概要をまとめまておきます。詳細は公募開始後に確認してください。

対象要件は、常時使用する従業員数が原則5名以下(製造業・建設業などは20名以下)の小規模事業者で、申請にあたっては「経営計画」や「補助事業の計画書」などが必要となります。また、誤解されていることも多いようですが、商工会や商工会議所の会員である必要はありません。

補助内容は、補助上限額50万円/補助率3分の2以内です。昨年度は海外展開や雇用増、移動販売などによる買い物弱者対策などの取り組みは重点支援策として、上限は100万円に増額されましたが、今年度は未定のようです。複数事業者が連携した共同事業による申請も可能で、その場合は「補助上限額×事業者数」が上限金額に。昨年度の共同申請では最大500万円とされました。共同申請を検討している場合、今年度の上限額に注目しておきたいところです。

対象経費は販路開拓に関係したもの。新規顧客層を取り込むために配布するチラシ作成に必要な広告宣伝費、集客力アップを目指す店舗改装費、国内外での商談会や展示会への出展費、新市場を狙った商品パッケージや包装紙のデザイン開発費、さらに、インターネットでの販路開拓を目的としたホームページ作成の費用なども対象です。

公募期間/要領/問い合わせ先など
・公募期間:未定(2019年4月8日時点)
・商工会の管轄地域で事業を営んでいる小規模事業者
全国商工会連合会
http://www.shokokai.or.jp/
電話:03-6268-0082
・商工会議所の管轄地域で事業を営んでいる小規模事業者
https://www.jcci.or.jp/
電話:03-3283-7873

サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)

サービス等生産性向上IT導入支援事業は、いわゆる「IT導入補助金」のことです。「中小企業や小規模事業者などの生産性向上を実現するため、バックオフィス業務の効率化や新たな顧客獲得などの付加価値向上(売上アップ)に貢献するITツール導入を支援する」ことを目的とした制度となっています。

IT導入補助金は毎年、対象要件や補助内容が変更されており、2019年度も前年度から金額要件などが変わっている点はチェックしておく必要があります。同補助金も公募開始は、これからの予定。変更点なども含めて最新動向については『2019年度「IT導入補助金」最新動向』にて解説しているので、そちらも参考にしてください。

変更点はいくつかありますが、小規模事業者が留意しておくべきポイントは、ホームページ作成などに関わる費用が対象外となりそうなことでしょう。これは、ホームページ作成は販路開拓など意味合いが強いことから小規模事業者持続化補助金に集約されるようです。

公募期間/要領/問い合わせ先など
・公募期間:未定(2019年4月8日時点)
・IT導入補助金2019
https://www.it-hojo.jp/
※最新情報は、随時上記サイトに掲載されます

3大補助金の活用で注意すべきは、いずれも補助事業として採択された後に導入する機器や契約サービスなどが対象となると共に、決められた期間内に補助事業を完了することが必要です。また、一定期間にわたって状況報告なども必要となる事業もあるので、申請を予定している補助事業の計画性と集中が求められることとなります。申請支援機関などをフルに活用した早めの着手が、採択されるポイントといえるでしょう。(長谷川丈一)