誕生15周年、「TeraStation」新モデル&新サービス発表/バッファローモノ売りから“ソリューション”提供へ転換
新サービス「キキNavi」&新モデルも投入

バッファローは、都内でメディア向けに「TeraStation15周年発表会」を開催。大容量NAS製品「TeraStation(テラステーション)」のプロダクト誕生から15年の歴史を振り返ると共に、新サービスと新商品を発表しました。「モノ売りからコト売り」への転換を掲げる新ソリューションと発表会の模様をレポートします。

ユーザーの声と共に歩んだ15年

まず、発表会では取締役兼ストレージプロダクト&サービス事業部長の石丸正弥氏が登壇。テラステーションの15年にわたる歴史について振り返りました。

●バッファローの取締役兼ストレージプロダクト&サービス事業部長・石丸正弥氏

「日本ではWi-FiルーターやWi-Fiアクセスポイントのイメージが強いが、海外ではバッファローといえばストレージが代名詞。2000年以降のインターネットの加速的な普及やデータ共有ニーズの高まりなどを背景に初代テラステーションは登場し、その歴史を積み重ねてきた」(石丸氏)。

同社が、NASを製品化したのは2003年のこと。高価なビジネス向けモデルしかなかった時代に、世界で初めて家庭用NAS「LinkStation」を発売し、「LAN接続ハードディスク」をコンセプトに展開し、家庭用NASという市場ジャンルを切り開きました。

さらなる大容量ニーズを受けて、翌年の12月には初代テラステーションとなる「HD-HTGL/R5シリーズ」の発売を開始しました。当時、外付けHDDの価格は300GBで約4万円の時代。同シリーズは1TBで10万円を切る価格設定されたことで、SOHOから大規模ユーザーまで幅広い層に導入される大ヒットとなりました。「一般的に、コーポレート向けでは検証期間などの必要性から新製品の売れ行きが動き始めるのは発売から6カ月から1年程度。しかし、HD-HTGL/R5シリーズは発売直後から販売台数は垂直的に立ち上がった。それだけニーズが高かった」(石丸氏)。

●1年で3万台以上を出荷するヒット製品となった“銀テラ”と呼ばれた初代テラステーション「HD-HTGL/R5シリーズ」

HD-HTGL/R5シリーズは大ヒットとなったものの、ビジネスユーザーからは、「HDD交換がほぼ不可能」といった不満の声が寄せられました。こうした声を反映させたのが簡易カートリッジの採用によりHDD交換を可能とした2代目テラステーション「TS-HTGL/R5シリーズ」です。以降、地道にユーザーからの声を反映しながら世代を重ねるごとに機能に磨きをかけ、2011年以降は多彩な用途向けに展開すると共に容量の幅を拡充させるなどラインアップの充実に取り組んできました。

●テラステーションの歩み:2004年~2008年
●テラステーションの歩み:20011年~2017年

2018年には、累計出荷台数は100万台を突破。「このことは、単に100万台が売れたというだけでなく100万人のお客様の声を聞いたということ」と強調する石丸氏。今後も、ユーザーからの声を反映しながら、より快適で使いやすい製品提供に取り組む姿勢を見せました。

クラウド経由のリモート管理サービス「キキNavi」

15年の歴史において、「テラステーションの転換期」と石丸氏が語ったのが2017年に提供を開始したデータ復旧サービス。それまでメーカーとしてハードだけを販売してきたビジネススタイルを、サービスまで含めたソリューション的なビジネスへ進化させていく起点となったとしています。

このソリューション展開の延長として、新たに提供するのがリモート管理サービス「キキNavi」です。キキNaviは、クラウド経由のリモート管理によりテラステーションの稼働状態を監視したり遠隔操作したりすることを可能とするもの。すでに、アイ・オー・データ機器(NarSus)やエレコム(Nas見る)などが自社NAS向けに同様のサービスを提供していますが、いずれもエンドユーザー向けのサービスです。一方、キキNaviはシステムの保守や管理を請け負うSIerなど向けである点で大きく異なるといえます。

管理者の負担削減を目的に、SIerなどからNASの保守サポートを行う上での課題をヒアリング。これを解決するために開発されたサービスがキキNaviというわけです。

●開発にあたってはSIerなど保守・管理者の困り事をヒアリング
●「稼働状況の把握」「遠隔簡易操作」「稼働状況の共有」「設定情報の保存」により保守・管理の工数を削減

具体的には、死活監視やシステム状態の把握、障害通知、復旧ガイダンスなどはもちろん、100台近いNASの状態監視をWebブラウザーから行うことができます。再起動やシャットダウン、ファームウェアのアップデートなども遠隔で操作できるので、現場まで出向いてオンサイト対応する必要がありません。さらに、マルチアカウント対応なので、保守管理会社とビジネスユーザーがNASを共同管理したり、保守管理会社の担当者全員で稼働状況を共有したりといったことが可能です。また、設定情報をクラウド上に自動保存できるので、リプレイス時にも以前の情報をそのまま引き継げるなどさまざまな利便性が提供されています。

サービスの提供は2019年4月17日から。TS5210シリーズなどLinuxの最新モデルを中心に対応し、順次範囲を広げていくとしています。また、当初は保守・管理サービス会社向けですが、エンドユーザーとなる事業者も利用できるサービスを準備中とのこと。マルチアカウントなど他社にはない特徴を持つだけに、どのようなサービスが提供されるのか期待されます。

●キキNavi対応商品。現行、市場に出回っている製品はほぼカバーする予定という

ユーザーニーズ反映の新商品

発表会では、2つの新機能を搭載したニューモデル「TS6000シリーズ」も発表されました。新機能は「スナップショット」と「iSCSIボリュームバックアップ」への対応です。

●新機能を搭載した「TS6000シリーズ」

スナップショットバックアップとは、ストレージ上に置かれている「ある時点」におけるイメージを保存するもの。ファイル単位で順次保存を行うバックアップではバックアップ開始時とバックアップデータが異なるケース(下記の図参照)がありますが、スナップショットではスナップ開始時のデータが保存されるため、誤削除や誤編集などの人為的ミスから容易に復元できます。

また、フルバックアップに比べて保存が短時間であることや、保存領域を節約できることながメリットとして挙げられます。スナップショットはフルバックアップと併用されるものですが、ここ最近ユーザーニーズが高まっていることから新機能として追加されたというわけです。

●スナップショットは時間的整合性が取れたバックアップを実現
●誤削除や誤編集などの人為的ミスから容易に復元が可能

一方、iSCSIボリュームバックアップはPCサーバー負荷軽減に対するニーズに応えたもの。従来のサーバー経由でのデータ転送ではサーバーに負荷がかかりバックアップ効率も悪化します。これに対して、サーバーを経由せずにデータを転送できるiSCSIボリュームバックアップでは、サーバー負荷を軽減し効率的にデータを保存できるとしています。

●iSCSIボリュームバックアップのイメージ

働き方改革の実現を背景に、SOHOから中小企業、大手企業のワークグループなどNASの導入ニーズは高くなっています。メーカー各社とも単にハードを売るだけでなく、さまざまな安心や信頼性を付加価値にストレージソリューションとしてNASを位置付けるようになりました。今後、ますますNASは使いやすくなることが期待できることでしょう。(長谷川丈一)