BIJの新モデル7機種を発表/エプソン「エコタンク」と「インクパック」に新モデル
需要が増加中のモバイルプリンターも刷新

業務向けインクジェット方式に注力するエプソンは、ビジネスインクジェットプリンター(以下、BIJ)の新モデル7機種を発表(2019年5月17日発売予定)しました。いずれもBIJの課題を解決し、働き方改革や現場での生産性を高める特徴を備えています。

今回、エプソンが発表したのはビジネス向け大容量インク(エコタンク)搭載のA4対応モノクロ機「PX-270シリーズ」、大容量インクパック搭載のA4カラー機「PX-885シリーズ」、モバイルプリンター「PX-S06シリーズ」です。このうち最注目は、A4対応モノクロ機「PX-270シリーズ」ではないでしょうか。

エコタンク搭載のA4モノクロ機「PX-270シリーズ」

ビジネス現場で注目度が増しているモデルが、エコタンク搭載のBIJです。エコタンクは複合機やプリンター本体に大容量インクタンクを搭載。ボトルからインクを充填する方式で、1度の充填で5000~6000枚程度を印刷できます。従来、BIJではカートリッジによる消耗品の交換頻度が高い点が課題視されていましたが、エコタンクはそれを解決し交換の手間を削減することで、低印刷コストというBIJの強みをいかしながらレーザー機と同等の使いやすいさを実現したものです。

このエコタンクの新モデルとして新たに発表したのは、A4モノクロ複合機「PX-M270FT」と「PX-M270T」、A4モノクロプリンター「PX-S270T」の3機種です。PX-M270FTとPX-M270Tは印刷スピードや複写速度、ファーストプリントタイムといった基本性能は同じ。PX-M270FTはファクス機能やADFを搭載していますが、PX-M270Tは非搭載という点などで異なっています。

●ファクスやADFなどの機能をフル装備した「PX-M270FT」
型番 PX-M270FT
連続プリント速度 約20ipm(A4縦)/最速:毎分約39枚
両面プリント速度 約9ipm(A4縦)
連続複写速度 約17ipm(A4)
ウォームアップタイム 14.0秒以下
リカバリータイム 2.0秒以下
ファーストプリントタイム(A4) 約6.0秒
給紙容量 用紙カセット:最大250枚/手差しトレイ:1枚
インターフェイス Hi-Speed USB/有線LAN/無線LAN
ADF 原稿積載枚数:35枚/原稿読み取り速度:約7.0ipm(モノクロ/カラーとも)
TEC値 0.3kWh
耐久性 10万ページ、または5年
本体サイズ 大きさ:W375×D347×H346mm(使用/収納時とも)/質量:約7.5kg
●A4モノクロのシングル機「PX-S270T」
型番 PX-S270T
連続プリント速度 約20ipm(A4縦)/最速:毎分約39枚
両面プリント速度 約9ipm(A4縦)
ウォームアップタイム 電源ON時:14.0秒以下/節電復帰時:2.0秒以下
ファーストプリントタイム(A4) 約6.0秒
給紙容量 用紙カセット:最大250枚/手差しトレイ:1枚
インターフェイス Hi-Speed USB/有線LAN/無線LAN
TEC値 0.2kWh
耐久性 10万ページ、または5年
本体サイズ 大きさ:W375×D347×H151mm(使用時/収納時とも)/質量:約4.5kg

「PX-270シリーズ」の注目ポイントは、「A4モノクロレーザー機を強く意識したモデル」であるという点といえます。印刷コストの安さや低消費電力、消耗品交換の手間削減といったエコタンクの強みは、ビジネスユーザーの間でも認知が向上していますが、レーザー機に慣れているだけに使い勝手の面で違和感もあるようです。

新モデルのPX-270シリーズは、この点が大きく改善されました。プリンター上部からの天面排紙を採用することで、インクジェットにありがちな排紙トレイが突出するようなことがありません。コンパクトな筐体は店舗のバックヤードや受付カウンターなどの狭い場所でもストレスなく使えるでしょう。また、エコタンク搭載モデルとしては、初めてS字形給紙経路を実現。これにより印刷面を下向きに排紙するフェイスダウン排紙が可能となり、複数枚印刷の場合などにページの入れ替えが必要なくなりました。

さらに、ボトル充填タイプの大容量タンク方式ではインク注入時に「手が汚れそう」というイメージが付きまとっていました。この点、インクボトルに「挿すだけ満タン」インク方式を採用。本体のインクタンクが満タンになると自動的に補充が完了するので、手が汚れにくくインク補充作業も簡単です。

レーザー機と同等の使い勝手を実現した上での、印刷コストの安さや低消費電力などのエコタンクの特徴はさらにアピール力が強まりそうです。しかも、A4モノクロ機といえば、ビジネス現場ではまだまだ大きなボリュームゾーンだけに、PX-270シリーズによりシェア構造が動くのかどうか、気になるところです。

大容量インクパック搭載のA4カラー機「PX-885シリーズ」

幅広くBIJのインク方式を展開しているエプソンが、エコタンクと共に打ち出しているタイプが「インクパック」です。これはインクの入った袋状のパックを複合機やプリンター本体の下部に内蔵することによる省スペース設計(特に縦方向のコンパクト化に効果)と、インク交換頻度の軽減を実現したもの。堅牢性も重視されており、エコタンクよりも措置寿命は長くなっています。このため、よりプリントやコピー枚数の多いニーズに適したモデルといえるでしょう。

また、機能や性能、給紙能力、用紙対応性などの点でもインクパック機はエコタンクよりもビジネス性を重視したコンセプトを持っており、幅広い用途での活用を意識している点にも違いが見られます。

このインクパック方式の新モデルに、A4カラー複合機「PX-M885F」とA4カラープリンター「PX-S885」の2機種が追加されました。2018年1月に発売されたPX-M884FとPX-S884の後継機の位置づけです。

●大容量インクパック搭載のA4カラー複合機「PX-M885F」
型番 PX-M885F
連続プリント速度 カラー/モノクロとも約24ipm(A4縦)、最速:毎分約34枚
両面プリント速度 カラー/モノクロとも約15ipm(A4縦)
連続複写速度 カラー/モノクロとも約22ipm(A4)
ウォームアップタイム 15.5秒以下
リカバリータイム 1.0秒以下
ファーストプリントタイム(A4) カラー:約5.3秒/モノクロ:約4.8秒
給紙容量 標準:330枚(用紙カセット250枚/背面MPトレイ80枚)/最大:880枚
※最大時はオプションの用紙カセット1台追加
インターフェイス Hi-Speed USB/有線LAN/無線LAN
ADF 原稿積載枚数:50枚/原稿読み取り速度:24ipm(モノクロ/カラーとも)
TEC値 0.2kWh
耐久性 15万ページ、または5年
本体サイズ 大きさ:W425×D578×H449mm(使用時)/質量:約19.1kg

新モデルとなるPX-M885FとPX-S885は、前機種の基本仕様をそのまま継承しながら、ユーザーからの要望が多いWi-Fi規格への対応を強化。5GHz帯に対応することで電波干渉が起きにくく、電子レンジなどを使う飲食店などでも安定した通信が可能です。

1度のインクパック装着により、モノクロ最大1万枚、カラー最大5000枚を印刷でき、オプションの用紙カセットを追加することで最大880枚を収納できます。はがきや封筒などは背面MPトレイだけでなく、用紙カセット(標準)から給紙できるなど、さまざまな業務に適した用紙対応力を備えています。

モバイルプリンター「PX-S06シリーズ」

今回、モバイルプリンターも刷新されました。従来機PX-S05の後継モデルとなる「PX-S06」です。ブラックモデル(PX-S06B)とホワイトモデル(PX-S06W)がラインアップされています。

型番 PX-S06B/W
印刷スピード カラー:約4.0ipm(A4縦)/モノクロ:約7.0ipm(A4縦)
※ACアダプター使用時/外付けバッテリー駆動時
ウォームアップタイム 電源ON時:22.0秒以下/節電復帰時:3.0秒以下
※ACアダプター使用時/外付けバッテリー駆動時
ファーストプリントタイム(A4) カラー:約21.0秒/モノクロ:約14.0秒
※ACアダプター使用時/外付けバッテリー駆動時
給紙容量 背面MPトレイ:最大20枚
インターフェイス Hi-Speed USB/無線LAN
TEC値 0.1kWh
耐久性 1.5万ページ、または5年
本体サイズ 大きさ:W309×D159×H61mm(収納時)/質量:約1.7kg
※外付けバッテリー装着時:約2.0kg

これまでモバイルプリンターといえば、外回りに営業担当者が持ち歩いて、商談現場で提案書や見積書などをプリントして手渡すといった活用が主でした。今後もそれは変わらないでしょうが、働き方改革を背景としたモバイルワーク導入の推奨により、オフィス外におけるプリントニーズが増えています。また、一般的なデスクトッププリンターが設置できない狭小スペースなどでのプリンター活用も求められており、モバイルプリンターへのニーズは高まっています。

新モデルのPX-S06は従来機で好評だった内蔵バッテリーの標準搭載を継承しながら、ドライバーなどの工具不要で着脱が可能な外付けバッテリーを別売オプションで用意。内蔵/外付けバッテリー併用時は約410枚のカラー印刷が可能となり、印刷スピードもACアダプター使用時と同等のスペックが実現されています。

インターフェイスは、USBとWi-Fiを搭載。Wi-Fiは2.4GHz/5GHz帯に対応しているので、無線規格が混在する環境でも電波干渉を抑えた安定した通信が可能です。さらに、設定済みWi-Fiへの自動接続機能により、設定したWi-Fi環境においては本機とPCなどが自動接続されるため、再設定の手間がかからないなど、屋外でより便利に活用できるように改善されました。

「新モデルを含めたBIJ全体の販売台数は、今後1年間で28万台を予定している」というエプソン。キヤノンやブラザーなどもレーザー機だけでなくBIJに力を入れており、ビジネスにおけるBIJの勢いはますます強まりそうです。(長谷川丈一)