消費税率アップ前に使いたい「補助金&支援策」キャッシュレス決済の端末導入費「ゼロ円」
ポイント還元制度はレジ・スマート化の好機!

 中小小売業や飲食業の皆さん、本年10月1日からスタートする消費税率アップへの対策は、おすみでしょうか? 今回の税率改正は我が国始まって以来の、複数税率の適用。レジ周辺や会計などは、従来システムでは対応が厳しいことは確かです。

 もっともここへきて、与党の一部から「延期」との声も聞かれており、現段階では流動的な情勢がなきにしもあらず。そのため今は様子見を決め込んでいる事業者さんもあるやに聞いています。が、いざスタートとなってから、あわてて対策するのでは間に合わない可能性も!? ここはシステム刷新の好機と前向きに受け止める方が得策のように感じます。何より今なら、税率改正に関連した中小事業者向けの「支援策」や「補助金」が用意されています。これを上手に使って最小限のコストでシステム刷新することが賢明ではないでしょうか。

 今回の税率改正は、それに関連したさまざまな施策が講じられていますが、それらが複雑で多岐にわたり分かりにくい。軽減税率、ポイント還元、プレミアム商品券にはじまり、高等・幼児教育無償化や年金生活者支援、そして国土強靭化まで。これだけ広範な施策を、消費税率アップの名のもと、一緒くたにして語られるケースが多いので、分かりにくいのでしょう。これらは各々、受益者や対策すべき人たちが違うわけであり、本来であればまずここを明確にし、その上で必要な対策や受けるべき支援策などを論じることが、重要ではないかと考えます。

 ということで表は、主に中小事業者が対策を必要とする施策項目と、そのための支援策をまとめたものです。それは「軽減税率の適用」と「消費者へのポイント還元」の二つ(なお、本来であればもう一つ「経過措置」を加えるべきなのですが、これは上記2項目とは性質がやや異なる項目のため、別の機会に改めて解説したいと思います)。

軽減税率対応レジの3/4は補助金でカバー

 まず一つ目の「軽減税率」は、低所得者支援のための目玉とされる施策。外食・酒類を除いた食料品と週2回以上発行される新聞には旧税率の8%をそのまま適用するもので、主に飲食業や食品関連事業者などにその対応策が求められます。持ち帰り非対応の飲食店や持ち帰り専門の弁当店なら対応は難しくありませんが、現実にはその両方を混在させている飲食店が大半でしょう。例えば仕事帰りに入った寿司屋で一杯やってから、帰りに家族の土産として折り詰めを注文した場合、課せられる消費税率は店内飲食分が10%で、土産分は8%。寿司屋がこれに円滑対応するには、会計段階で両税率の区分けができるレジが、基本的には不可欠となります。

 この状況に対応した事業者支援策が「軽減税率対策補助金」です。これはレジの入れ替え(または新規導入)に必要なイニシャルコストを補助するもの。補助率はレジ代金の原則4分の3で、補助上限額はレジ1台につき20万円まで。レジの入れ替えに関わるサポート費やトレーニング費なども補助対象になっています。

 これなどは消費税率アップを機会として、最新型レジへ低コストで入れ替える絶好の制度ではないでしょうか。消費税率は今後もさらに変動する可能性もあるだけに、そうした将来的な事態にも柔軟対応できるシステムがおすすめです。

 同補助金で注意すべきポイントは、レジ導入(入れ替え)期限が2019年9月30日までとなっていること。さらには申請期限も2019年12月16日まで。つまりは10月1日前のギリギリのタイミングで発注した場合、在庫の有無によっては導入期限に間に合わないというケースも想定されるわけです。ここはやはり余裕のある今の段階からの導入が確実でしょう。そして9月30日までを新型レジのトレーニング期間などとして活用することで、スムーズに10月1日の本番開始を迎えることができます。

キャッシュレス決済端末を0円導入する好機

 二つ目の「消費者へのポイント還元」。こちらは税率アップ後の、消費落ち込み抑制のための目玉とされる施策。ポイント還元のポスターのある店でキャッシュレス決済をすれば、消費者には購入金額の最大5%がポイントとして還元されるもの。2019年10月1日から2020年6月30日までの期間限定で実施されます。こちらは飲食業のみならず、幅広い小売業が対応を迫られる施策といえるでしょう。

 ここで事業者に求められるのがキャッシュレス決済端末の導入であり、そのための支援策が「キャッシュレス・消費者還元事業」です。こちらはキャッシュレス決済端末の導入費が無料(国が3分の2、決済事業者が3分の1を負担)となり、決済事業者に支払う決済手数料も期間中は2.16%以下と低率に抑えられています(期間終了後は3.25%以下)。補助金のように、導入後に改めて申請するものではないので、使いやすさにも優れます。

 無料の端末導入のスキームは本稿執筆時点では確定していませんが、決済事業者を通じて国にポイント還元対応事業者として登録する形になりそうです。詳細については当該HPのチェックをおすすめします。

 こちらの支援策もポイント還元への対応以前に単純に、中小事業者がキャッシュレス決済に、低コストで対応するための絶好の機会といえるのではないでしょうか。確かに低率とはいえ、売り上げの2~3パーセントほどを確実に失うことになり、それを良しとはしないオーナーも少なくないかもしれません。

 しかしながら、キャッシュレス決済が急速に浸透していることは確かであり、この流れはますます加速するでしょう。その一方でキャッシュレス決済には、売り上げ管理の簡素化や確実な代金回収などのメリットもあります。この事実をいかにとらえ、どう対応するか考えるという意味でも、「キャッシュレス・消費者還元事業」はよい機会になると感じます。(征矢野毅彦)