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2008.02.20

脱サラして発電会社を起業 地球温暖化の緩和に挑む!

市民風力発電 鈴木  亨 社長

脱サラして発電会社を起業
地球温暖化の緩和に挑む!

(株)市民風力発電 設立:2001年2月 事業内容:市民や地域が主体となって取り組む風力発電事業の企画立案、調査、コンサルティング 本社所在地:札幌市中央区南1条西7丁目  岩倉ビル3F

連絡先:011-280-1550
eメール  cwp@h-greenfund.jp
URL:http://www.h-greenfund.jp/company/top.html

日本の市民風車第1号「はまかぜ」ちゃん

△日本の市民風車第1号「はまかぜ」ちゃん

 「“風”は地域個有の資源。これを電力に変えることで、地球温暖化の抑制や地域経済の活性化などに少しでも役立てたい」
 こう語るのは市 民風力発電の鈴木亨社長だ。同社は一般の投資家から募った資金や、関連NPOが徴収したグリーン電気料金制度(後述)の寄付金などを基に、風力発電事業を 運営している。

 風の力で発電機を回す風力発電は、周知のように地球温暖化の抑制効果などで、世界的に注目されているシステムだ。その中 で同社が手がける風車は「市民風車」と呼ばれるもの。企業や自治体ではなく、主に市民などの出資で取り組まれる発電事業の総称で、デンマークやドイツなど で盛んな発電事業形態だ。
 鈴木社長はこの事業形態を日本で初めて導入したのである。一般に発電事業は巨額の設備投資を必要とし、出力 1000kWhクラスの風車を1基建設するためには、2億円は必要だという。そのため新規参入する事業者は、ほとんどが大会社やその出資会社などである。

  鈴木社長のような脱サラの発電会社は、日本で初めてのケース。そのための建設資金を、一般市民からの投資として募ることで賄っているわけだ。そして、発電 した電気を電力会社に売却し、その売却益を出資者に分配する仕組みである。
 市民風車の第1号機が稼働したのは01年9月のこと。北海道浜頓別町 の「はまかぜ」ちゃんだ。現在では東北、関東に広がり、市民風車の数は11基に拡大(07年12月現在)、総設備容量は15,790kWである。これは一 般家庭約1万700世帯分の電力に相当し、CO2削減効果は2万4000t以上である。

 

グリー ン電気料金とは

 もともと電気とは無関係の会社に勤務していた鈴木社長が風力発電に関わったのは99 年のこと。環境負荷の少ない、持続可能なエネルギー未来を目指すNPO法人「北海道グリーンファンド(HGF)」を立ち上げたのである。
 きっか けは、ふと耳にした主婦のひと言だった。ある地域コミュニティのミーティングに参加した際、その主婦は「食品などは産地や生産方法を選べるのに、なぜ電気 だけは選べないの?」という素朴な疑問を投げかけたのである。鈴木社長は、この言葉が脳裏に焼き付いて離れなかったという。

 一般消費者 にとって電気は、各地域の電力会社1社から供給を受けることが当たり前だ。しかし、鈴木社長は「食品と同じように電気も、風力、火力、原子力などの生産方 法を、消費者が個々の考えに基づき自由に選べるべき」と考えたのである。
 原子力発電の是非の議論が長く続いているが、それを延々と続けるより も、最近では「Yesの人は原子力による電気を購入し、Noの人は風力など他の生産方法による電気を選ぶほうが、合理的ではないか」との意見が出始めてい るという。

 鈴木社長は電気を選べる社会の実現を志し、HGFを立ち上げたのである。そして、まず手がけたのが「グリーン電気料金制度」 だ。
 これはHGFが、会員になった一般消費者の電気料金支払いを代行するもの。会員から料金を回収する際、月々の電気料金に5%のグリーンファ ンド分(寄付金)を加えた額を徴収。そして、グリーンファンド分は自然エネルギーによる「市民共同発電所」を建設するための基金として積み立て、運用する のである。

 この制度には2つの大きな狙いがある。1つは建設資金の確保であり、もう1つは消費者の節電意識を高めることだ。電気代を単 純に5%余分に払うのではなく、5%分節電することで総額を変えずに寄付をする。このことを啓発することで、消費者は余分な負担なしに寄付を行なえ、しか も電力使用量が減ってCO2の発生量が抑制される。いわば一石三鳥ともいえる制度だ。

 ただし、寄付金だけでは風車建設に必要な額まで に、遠く及ばないのが実情。そこで一計を案じた鈴木社長は、一般市民から出資を募る「市民風車」システムの導入を決意。その運営会社として、市民風力発電 の前身である(株)北海道市民風力発電を01年2月に設立したのである。
 

 

利益創 出が重要

鈴木社長

 鈴木社長の考えに賛同して出資に応じた市民は、これまでのところ延べで約 3300人に及び、出資総額は18億円以上に達している(07年12月現在)。地球温暖化の抑制に少しでも役立ちたいという市民が、急速に増えていること の現れだろう。
 募集単位は一口50万円(06年募集の場合)と、敷居は決して高くない。将来のためにと、孫の名前で出資する高齢者も少なくない という。

 集めた資金で建設した風車には、地域住民から愛称を公募したり、全出資者の名前の一覧表を掲げたりと、市民参加を意識した演出 がなされている。また、そこで発電された電気を使ってのライブ演奏会を企画するなど、地域との一体化を目指したイベントも目白押しだ。
 こうした 活動を通じて鈴木社長が最も重視していることは「1人でも多くの市民に風力発電を知ってもらうこと」であり、「風車を通じて地球環境の大切さを認識しても らうこと」である。この狙いが今のところ的を射ていることは、着実に増加している一般出資者の数を見ても明らかだろう。

 その一方で、市 民風車への出資がもたらす経済的メリットも、出資者増加の重要ポイントである。
 これまでの分配実績を見ると、例えば01年9月に稼働を始めた 「はまかぜ」ちゃんの場合、一口50万円に対し6期分で24万3000円強、03年3月稼働の天風丸は一口50万円に対し4期分で17万6000円弱の現 金分配がなされている。この分配実績が今後も保証されるわけではないが、過去の実績が新たな出資者を増やしていることは確かだろう。

 環 境問題を論じる際、これによって生じる経済的メリットの話しをタブー視する傾向が一般にはある。
 だが、鈴木社長は「資金を運用したい人にも、ぜ ひ参加していただきたい」と話す。まずは資金運用を窓口として参加し、そこから環境問題を認識してもらえればいいと考えるからだ。また、そうした形で一般 投資家から注目されない限り、市民風車の活動が今以上に大きく広がらないとの認識も示している。
 今はまだ電気を電力会社に売る「発電事業者」に とどまっているが、将来は一般消費者に電気を売る「電気小売り事業者」に発展させる考えだ。この夢が実現したときこそ、起業の発端となった「電気を選んで 買う社会」が本格化することになる。

[ 写真 ]電気を選べる社会を目指す鈴木社長

風車には全出資者の名前を掲示△風車には全出資者の名前を掲示

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